湧別購買を過ぎて、鬱蒼とした森の中より現れたのは、湧別炭鉱病院。
柔らかなカーブを描いた空色の2階建の建物は、説明が無ければアメリカの古き良き時代のモーテルとも見紛うような、モダンなデザイン。
人々が最も活動的になる昼過ぎに、かなりの規模を誇る元大病院、森の中。たったひとりで挑むというのは本当に寂しくて心細い限りだが、意を決して一歩を踏み出す。
末広の種馬参上!
こちらが入り口です。
日差しだけだったら絶好のお散歩日和。。。
この落書きだらけの状態にはちょっとたじろぐ。
受付があった場所に訪問者が置いていったお~いお茶。
暗い廊下。
どこも本当に落書きだらけ。
入ってすぐ、ニューヨークにあるグッゲンハイム美術館のような、渦巻き状の傾斜したスロープがある。
コスト的にエレベーターの設置が無理な場合に、骨折した炭坑夫が車椅子で昇り降りするには重宝したのかも。
いずれにしても洗練されて美しいデザインだ。
トイレの手洗い場。
ここで用を足していた人達は、これより数十年後、日本人以上に金を持った中国人が、物価が安いと日本に押し寄せて、ウオシュレット付き便座を買い漁るとは、想像できたでしょうか。
惚れぼれする湾曲。
自然と隣合わせの小便は心地よかったのか、寂しかったのか。
原型を留めない部屋。
流麗なデザインも風前のともしび。
近所迷惑にならないとはいえ、花火なんかやってるんですね。
大森カムリひで。
十年後にでも振り返ってみれば「本当に恥ずかしい行為なんだよ」
の意味も込めて、あえて晒し続けることにする。
大自然の大きな廃病院にひとりぼっち。
あっ、いい~!
給湯器でもあったのでしょうか。
平成元年の記憶。
察するにカップルが二組。
まさ&けい とも&たこ
廃院になるにあたって、一切合切持ち去った様子。
階段下の出口。別棟の小さな建物。
廃墟でもタイルと便器だけは艶を放ち続ける。
この電話番号は、札幌の固定電話らしい。
日の差し込む、かつて病室のあった場所。
一つの部屋が仕切られていた、その残骸。
コンクリート製の建物に鉄の窓枠は、当時の北海道でも贅沢な造りだったことでしょう。
スロープに一面のガラス壁面。
ギリシャ神殿を思わせる柱群。
お風呂横の流し場。
狭いが、眺めは抜群のお風呂。
浴槽の中。
破壊行為。
作品の中のオブジェのような。
今更ながら、死体が転がっていても不思議じゃない光景。
80年代は2.8のターボで速度189キロぐらいが限界だったんでしょうか。
その時代でもちょっと遅いような感じが・・・
セクシーソアラ。
緩やかで優雅なスロープを堪能しながら上へ上へと…
廃病院に潜む物陰の死角、その先にあるなにか。
自分以外の侵入者、得体のしれない動物。
細心の注意を払いながら先へと進み続ける・・・
続く…
「スペクター復活」 雄別炭鉱・病院と訪問者の証し3
こんな記事も読まれています
コメント
コメント一覧 (4)
冝保愛子効果でしょうね。いまだにこの記事が多くの人に読まれているのは。有り難いことです。
>ヒグマがでてもおかしくないこの場所をたった一人で探索
腰に鐘をぶら下げていたので、必要以上に体をよじらせながら歩き、鐘の音色を響き渡らせていました。その効果があったのかもしれません。
>のうえ超貴重な写真をこんなにたくさん掲載してくれている
管理されていないもとでの施設では異様な世界観が味わえます。なかなか無い荒廃感。地域の歴代ヤンキー語録としても貴重かも。また見に来てください。こちらこそ、ありがとうございました。
「阿寒に果つ」が愛読書とは、多面性を持つ大人びたあの謎めいた少女に惹かれているのでしょうか。 古い記事だろうが、コメント込みで読まれる方が多いので、いくらでも歓迎します。内容の厚みがより増すので。
>あの中国の旅行者も一人でこの場所に訪れたのでしょうか。まして若い女性ですし・・
主人公の芸術家の少女に、自分を重ね合わせたのかもしれないですね。現実のモデルとなった人は、そんなに美人ではないみたいですが。
>旅行代金を川島なおみに出させたり、あの旅行者も実際に会っていたら自殺を思いとどまったのかもしれないです
人間的には破綻していたんですね。枕でドラマ「失楽園」の主人公として川島なお美を出演させたのではなく、川島なお美の方から迫ったという噂もありますよね。晩年の彼女ならどうかと思いますが。当時なら、エロ親爺作家には、たまらなかったのでしょう。
>私は子供のころ読んだ蔵前仁一さんのゴーゴー・インドという本を読んでいつかは
インドに行ってみたいと思ったものです。
インドでインド人も驚くのですが、僕はドミトリーにいた日本人に一番驚きました。インドまで来て、一日中寝ている人とか、半年のビザが切れると、国境を越えてすぐ戻ってきて、結果、一年中、そのドミトリーに住み続けいていて、その人は作家になるんだと、ワープロ専用機を持ち込んでいましたが、数年後、バンコクで車に轢かれて死んでしまいました。結構有名だったバックパッカーです。
駄目人間さんも今からインドに行って、ドミトリーに泊まってみては。年齢は様々なので、溶け込みやすいですよ。
>本の置き場所が無くなってきたのでメルカリで文庫本4冊1200位でどんどん処分してます。
文庫本って、そんな高額で売れるんですか? 新しいやつですよね。古いのならたくさんあるので、数十冊単位で売りに出してみることにします。
思い出されついコメントしてしまいすいません。(古い記事にコメントすると嫌がる人が多いようなので) あの中国の旅行者も一人でこの場所に訪れたのでしょうか。まして若い女性ですし・・
渡辺淳一さんは人間としては苦手なタイプです。自由席のチケットで指定席に座り注意した
駅員を「俺は渡辺だぞ!」と恫喝したり、缶コーヒーやタバコ(一本くれ)をたかるし、旅行代金を川島なおみに出させたり、あの旅行者も実際に会っていたら自殺を思いとどまったのかもしれないです。私は子供のころ読んだ蔵前仁一さんのゴーゴー・インドという本を読んでいつかは
インドに行ってみたいと思ったものです。
本の置き場所が無くなってきたのでメルカリで文庫本4冊1200位でどんどん処分してます。
ブックオフだと二束三文なので。