巨大な建造物の中央に配置されたスロープを伝い、更に奥へと進み続ける。。。
TZR最速の文字。
現在のリッターバイクなら、300キロ以上普通に出てしまいますね。
スクーターでは最速と律儀に記す、緑高の三上君。
ドラえもんとこのマークは廃墟のお約束。
建物全体を覆い尽くそうとする触手のような枝。
最上階にあった、明らかに豪華仕様の風呂場とバスタブ。
院長か炭鉱会社の役員用?
キャンバスに描かれた絵画のようにみえる。
それに引きかえ、内部の有り様といったら…
トシユキ オガ です。
陽の当たる廊下。
突き当りのシャッター。
夏の午後五時ならまだ明るかったに違いない。
本当に巨額の建築費が掛けられた、森に消え行くには惜しい建物。
スロープはどこまで続く・・・
スロープの行き着いた先。
勝手な想像をすると、入院患者の炭鉱夫さん達が、円をなぞりながらてれつつ不器用そうにフォークダンスを踊った場所。
柱のその先は、
人里離れた奥深い森に作られた炭鉱街の病院、患者さんにとって太陽が一番近い場所、
屋上だった。
屋上からの眺望が楽しめる優雅な部屋ですね。
森の中にデンとある存在感には改めて驚く。
下へのスロープ。
車椅子患者が一番輝く瞬間。
紛うことなき、美術館のようなデザイン。
ここらはいかにもな病院然としている。
監禁部屋か。
鉄柵とクロス鉄棒で密閉された部屋。
侵入者達も察してか遠慮気味。
枯れ葉が満載。
DQNに褒めてもらった。
FPSのゲームだったら、顔が覗いた瞬間、ヘッドショットを決めるだろう。
いよいよ出口がみえてきた。
ちなみに、映画007のスペクターも近く復活するらしい。
枯れ葉で埋まった庭には、木を囲むように並ぶ廃タイヤのベンチ。
一休みしようとしたが「浅っ!」となるのは目に見えているのでやめる。
昼下がりの森の廃病院。優美な建築デザインも虚しく、朽ち果て続け、侵入者によりその趣を更に故意に変えられ愚弄され続ける。
もし、スプレーで落書きをしているヤンキー達をみかけたら、
「この素晴らしい建物をデザインした設計士や、かつての医師や患者に大変失礼な行為じゃないのかい?やめておけよ」
そんなふうに言える強い大人になりたい。。。ひそかに心に誓いつつ、雄別炭鉱病院を後にする。
おわり
カテゴリ:廃墟
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コメント
コメント一覧 (14)
Mr.Jさん
師走の雪に埋まった廃病院、さぞ幻想的なんでしょうね。いつかは経験してみたいです。
>日本の建築技術がいかに進んでいたかを体感してきました。
森の中にコンクリート造の曲面を内包した巨大建造物、技術と贅を尽くした、あの時代ならではの産物。恐竜が滅んだように、ここも相応の理由でこうなってしまった。
>冬の夜に廃病院の前でエンジンが始動しないとかもうシャレになりませんからね…
夏だったらヤンキーが肝試しに来るかもしれませんが、冬は待ち人来ず、エンジン不動なら命取りになりかねないでしょう。
>風雨凌げる場所で営巣するので夏季の廃墟探索訪はくれぐれもご注意ください。
ご忠告ありがとうございます。探索でハチと熊はやっかいですね。注意したいと思います。
>そのうちまた時間を作って再訪したいと思ってます。
最近ではロープが張られて車両での接近は出来ないようです。一般の人はガイドさんに従わないと行けないようになっているとか。まあ、山の中ですので、綻びを見つけつつ、行ってみてください。
辺り一面銀世界の中で朽ちてなお存在感を放っていたこの建物を前に、そこだけ
時間が止まったような感覚を覚えたのは今も記憶に新しいです。
構造がブーメラン形状であることは現地で初めて知りました。中央のスロープを
上がっていくと背面側がよく見渡せることに気付き、日本の建築技術がいかに
進んでいたかを体感してきました。
ただすでに夕暮れに近い時間で、30分ほどで外が闇に包まれ始めると辺りの空気が
ザワついてきたので探索もそこそに引き揚げてきました。冬の夜に廃病院の前で
エンジンが始動しないとかもうシャレになりませんからね…
そういえば天井にまだ新しいスズメバチの巣がありました。
風雨凌げる場所で営巣するので夏季の廃墟探索訪はくれぐれもご注意ください。
そのうちまた時間を作って再訪したいと思ってます。
原チャリさん
雄別炭鉱生まれでしたか。作家の渡辺淳一の医師時代にあっていたかもしれませんね。今でこそ炭鉱のイメージはあれですけど、当時は今のIT企業みたいなものでしたから、恵まれていたのでは。軍艦島出身の人も口々に良かったと証言していますよ。
>だから、あの落書きはやめてほしいなあ。
僕は部外者として落書きには寛容的ですけど、出身者なら戸惑うでしょうね。汚されているような気がして。今は綺麗になっているそうです。
>kwsk教徒なのでkwskバイクの名が出てこないことでさらにムカつく。
カワサキをそういう風に表現することを今知りました。今でこそカワサキの大型バイクは売れていますが、当時はホンダ、ヤマハに比べればマイナーイメージがあったような。落書きにもそれが反映されているんでしょうね。
>廃鉄マニアとしても雄別炭鉱は気になります。
今では鎖が張ってあって車では行けないようになっているようです。行く場合はご注意ください。
生まれた場所はここ、雄別炭鉱だったそうです。
確率はものすごく低いですけど、この病院で産まれた可能性はあります。
だから、あの落書きはやめてほしいなあ。
kwsk教徒なのでkwskバイクの名が出てこないことでさらにムカつく。
廃鉄マニアとしても雄別炭鉱は気になります。
青春時代を送っている時に仲間で行くのには、最高の場所だったのかもしれないですね。無料で色々な意味で楽しめますから。
>バイト先の女の子二人と男二人の四人で行き、雄別の中でスタックしてしまい、男二人で走って下界まで助けを求めました
あそこでスタックは冷や汗もんです。まぁ、心霊巡りの季節なら、見捨てられたままは無いですね。
>どこからか来た若い連中に助け出されてて記念撮影に加わりました
雄別で助け合い、記念になると思います。僕は朝に行ったのですが、人が来る気配はゼロでした。
>雄別は今後も残るのでしょうね
今は、地元のガイドみたいな人が案内をしてくれるみたいです。いずれ、軍艦島みたいな、観光地化してしまいそうです。多少の背徳感を感じながら行くのが面白いんですが、仕方ないですね。
>アラフォーになった今もまた行ってみたいです 妻子がいるので無理はできませんが青春を過ごした釧路にまた行きたいです
場所が場所だけに行く機会はそう無いと思いますが、格安航空のチケットが入手できたりしたら、行ってみてください。街の活気に多少貢献できるのでは。
二十世紀末に何回も行きました
バイト先の女の子二人と男二人の四人で行き、雄別の中でスタックしてしまい、男二人で走って下界まで助けを求めました
で民家に辿り着いて地元の方に現場まで戻ったのですがどこからか来た若い連中に助け出されてて記念撮影に加わりました
地元の方には大変迷惑掛けましたと反省しています
雄別は今後も残るのでしょうね
アラフォーになった今もまた行ってみたいです
妻子がいるので無理はできませんが青春を過ごした釧路にまた行きたいです
当初は純粋に肝試しをする人が訪問していたので、マナーも良かったということですか。やがて、冷やかしや、発散のために破壊行為に及ぶ人が増えて来たと。
>正面玄関を入ったところのホールの受付?みたいなところに、訪問者が飲み物をお供えする習慣があって
皆さん、律儀だったんですね。わかるような気がします。罪悪感はあるので、せめてお供えをさせて欲しいと。
>病院に通じる道には砂利がうず高く山と積まれていて車では入れませんでした。
行政も、いろいろと策を講じたのでしょうか。何もやっていなかったわけではなさそうです。
>当時一世を風靡した宜保愛子さんや、北海道ローカルでは超人気霊媒師のカンさんジンさんという姉妹が雄別を訪れるTV番組が放映され
宜保愛子の訪問は知ってました。ジンさんとかいう人は、存在自体初聞きです。北海道限定の人気だったようですね。道内最恐とかいう触れ込みは、その二人によって醸成されたのでしょう。
>それで行政の手が入るようになって、まだ多く残っていた他の建物とかも解体されたと記憶しています
そういうことでしたか。ネットの普及以前は、やはり、テレビの影響が大きいですね。廃墟後にも、歴史が刻まれていく様が面白いです。
>宜保さんは「ここには私では入ることができない」と言ってギブアップしてしまい
ネット普及前で、まだ世間がかろうじてオカルトのたぐいを信じていた頃。今なら、マツコが「これ、旨いわよ」と言うようなものだと思います。権威による箔付けに大衆は弱いですね。
今でも雄別炭鉱の記事がよく読まれる理由がよくわかったような気がします。また、是非、よろしくおねがいします。
場所も病院ということで、誰が始めたものかよく判りませんが、正面玄関を入ったところのホールの受付?みたいなところに、訪問者が飲み物をお供えする習慣があって(線香なんかもあったと思います)、結構な数の飲料缶がならんでいました。こういう点からも、お邪魔します、的な感覚だったんだと思います。
初訪問から数年後、10年後くらいだったか、もう一度行ったことがあります。
その時は、病院に通じる道には砂利がうず高く山と積まれていて車では入れませんでした。歩いて近くまで行こうとしたのですが、スズメバチに追いかけられて病院の中までは入れませんでしたが、その時はもう、ガラスも割れ、病院の外観がめちゃめちゃになってました。
平成になってからすぐ位に、当時一世を風靡した宜保愛子さんや、北海道ローカルでは超人気霊媒師のカンさんジンさんという姉妹が雄別を訪れるTV番組が放映され、それから一気に有名になって、荒らされるようになったんだと思います。それで行政の手が入るようになって、まだ多く残っていた他の建物とかも解体されたと記憶しています。
ちなみに宜保さんは「ここには私では入ることができない」と言ってギブアップしてしまい、結果的に心霊スポットとして箔がついちゃって、血気盛んな若者たちを「じゃ、俺が」みたいに焚きつけるような形になってしまったのでしょう。
いなせランドに関しても思い出話があるので、またお邪魔させてもらいますw
病院がやっていた頃の資料はあるかもしれませんが、廃墟になり、残留物が潤沢にあった時期は他では見られないので、pianissimoさんの語られる描写は、本当に有り難いです。ここの医師でもあった渡辺淳一の作品は読みましたが、廃墟当時の描写はタクシーでちょと寄っただけのもの。
>入り口のドアもあり、手術室やレントゲン、その他いろいろな器具、書類などもあり、病室に至ってはカーテンやベッドなどもありました。
そんな時代もあったんですね。どのような変遷があり、あそこまで空になったのか。
>病室のベッドに血の跡がついていて怖かった事を思い出します。
あの狂気じみた落書きに、消されてしまいましたか。
>当時は病院入口の車寄せまで道路が通じていて
これは、渡辺淳一の小説でも同じでした。
>ライターを明かり代わりに点けて十数人で病院を探索しました。
ドラクエⅠの世界ですね。
>皆がそれぞれ誰かを掴んで一丸となって廊下の中央を歩きましたw
僕の頃でさえそうだったので、北海道の山の中の環境が、人工物を急速に朽ちさせるのでしょうね。
>その地下に霊安室があり、
当時なら原型をとどめていたみたいですね。僕の時は判別がつかずでした。
>「ワーッ!」誰ともなく声を出し、皆で廊下を走って、
いやぁ、青春ですね。みなぎる活力がそうさせたに違いないです。
>今度は三台あった車の三台ともがエンジンがかからなくなり、この世の終わりな空気が漂いました。
野晒し廃車も、そのなれの果てだったり。地層の含有物が、点火プラグのスパークを抑えるような、いや、気候などの諸条件が重なったのでしょうか。
>懐かしくなって、つい、
廃墟ブームの前のお話なので、語られることもなく、様子が不明でしたが、今回、臨場感のある描写を読ませてもらい、空白だった部分が埋まったような気がします。貴重な体験談、ありがとうございました。
30年以上前の昭和末期に初めて行きました。当時から肝試しスポットとして近隣では有名でした。
当時はまだ、病院そのもので、ガラスも割れてなく入り口のドアもあり、手術室やレントゲン、その他いろいろな器具、書類などもあり、病室に至ってはカーテンやベッドなどもありました。
病室のベッドに血の跡がついていて怖かった事を思い出します。
行ったのは深夜で、車三台を連ねて行き、当時は病院入口の車寄せまで道路が通じていて(砂利道でしたが)、病院の正面玄関真ん前に車を停め、携帯なども無い時代で手元の明かりもなく、ライターを明かり代わりに点けて十数人で病院を探索しました。
当時から、床に穴が空いていて落ちたらヤバイと言われていたので、廊下の端っこには行かないようにという出処不明の言い伝えがあり、皆がそれぞれ誰かを掴んで一丸となって廊下の中央を歩きましたw
スロープの下に地下に行く道があって、その地下に霊安室があり、そこが日によって水に浸かっていて行けなかったり、水が無くなってて地下に入れたりするという噂がありましたが、自分が行ったときには地下通路に水が溜まっていて降りれませんでした。
病院内の一階から二階を周っていた時、突然誰かが「外で叫び声が聞こえた!」と言ったものですから、「ワーッ!」誰ともなく声を出し、皆で廊下を走って、二階に当時はあった非常口から外へ出て階段を駆け下り、急いで車にもどり安堵したのも束の間、今度は三台あった車の三台ともがエンジンがかからなくなり、この世の終わりな空気が漂いました。おそらく10分位かかったでしょうか、なんとか三台ともエンジンがかかって一目散に麓の国道まで降りて帰りました。
懐かしくなって、つい、取り留めもない思い出話をコメしてしまいました・・・
これらの落書きも半世紀経つと味わいが出て来そうですね。古い車の名前の落書きなど、すでにその兆候があったりして。
その二つの映画の世界観が好きということなら、退廃的な中に取り残された前衛的なデザインの雄別病院の建物にjam uncleさんが引き寄せられるのはわかる気がします。
コメント、どうもありがとうございます。
野晒しの放置された車は大好物なので、その赤い軽自動車は見てみたかったです。
>ここでの最大の敵は幽霊でもDQNでもなく熊です。
一応、熊用の鈴を北海道のホームセンターで購入して腰に付けていました。一説によると効果はないらしいですが。
>あと、病院のどこかに地下室へ落ちる穴があるので再来する時は気をつけてください
総コンクリートが崩れているとなるとかなりのものですね。落ちたら夜にヤンキー達に助けられたなんて情けないことになりそうなので、注意します。
自分が行った時は炭鉱町の入り口あたりにベコベコになった赤い軽自動車があって不気味でした。
この町のシンボルは病院の他に巨大煙突もありますがまだあるのかな?
ここでの最大の敵は幽霊でもDQNでもなく熊です。熊に殴られたら怪我で済まないのでご注意を。
あと、病院のどこかに地下室へ落ちる穴があるので再来する時は気をつけてくださいね。