ペンギン
 建物を正面から見た段階では、状態は良さそうだと思っていたものの、中へと侵入してみたら、これが大間違い。

 今にも崩れ落ちそうな階段を、優しく踏みしめながら、2階へと行ってみることに・・・・
屋根
 この家の周囲には、人家は無さそうで、おかけで気兼ねなく、散策ができている。


 では、2階へと    



階段
 この階段が使用されたのは、もしかして、数十年ぶり?



天井
 2階へとやって来て、まず目についたのが、吊るし系の飾り。

 女性趣味による、コレクションかなんかだろうか。



畳フィギュア
 真ん中がもげている、ペンギンの置物。

 女性の趣味といったら、そうかもしれない。



写真
 どうやら、この部屋のご本人の物のようだ。
 オカッパ頭のセーラー服姿の女子高生。

 廃屋巡りをしている時に出遭う、最大の謎、何故にこんなものを置いて家を去るのか?・・・・・・、というのが私的にあるが、これがまさにそう。

 友達からの手紙やら、自分の記念写真    


 ここも、やっぱり夜逃げなんだろうか    

 或いは・・・



はがき
 女性友達からの、イラスト入りの手紙。
 偶然かまたは狙いなのか、吊るされた飾りのイラストが多く描かれている。

 女子高生なのに、  いかがおすごし?  というのが、昭和30年ぐらいっぽい。
 
 
 これを書いた彼女も、まさか数十年後、東京から来た見ず知らずの他人によって、手紙の内容をあれこれ詮索されようとは、夢にも思わなかったはず。



ひかり
 再び1階へ戻り、台所や居間付近へと。



茶箪笥
 茶箪笥の硝子戸を覆う薄い板飾りは水気を含んでシワシワ。



ケース
 おかっぱ女子高生の 『人にも是非見てもらいたい珠玉のコレクション』 だったかもしれない、ガラスケースへと大事に収められたお人形たち。



ころがり
 暗い眼をした、まるで、助けを乞うな、憐れみさえ感じる、腕をもがれた、ベビー服を着たお人形。



油紙
 おかっぱ女子高生が生を受けた時に使用されたのか、分娩用の油紙。

 それとも、お婆さんはお産婆さんだったんだろうか。



レコード
 無造作にあった、青江三奈の『長崎ブルース』。

長崎ブルース (MEG-CD)
 1968年7月5日に発売され、紅白では発売から5年後の、1973年『第24回NHK紅白歌合戦』で披露。



マッチ
 ガソリンスタンドのマッチを、



裏
裏返してみる。

 ダイアナ妃かとも思っだが、時代が全然違うのに気づく。



絵葉書
 乱雑に散らばるお料理のレシピカードと、『伊豆シャボテン公園』の絵葉書セット。

 旅行やお料理にと、趣味を楽しみ、友だち関係も良好で、人生を謳歌していただろう、何不自由もなさそうな一家が、大事な家を、大事な思い出とともに投げ捨て出て行ったのは何故なのか。



バス
 今は亡き『サンヨー』の電子ジャーの箱の上には、錆だらけの子供用のブリキ製バスが、悲しげに外へと視線を向けている。



ケロリン
 今もあるあの頭痛薬『ケロリン』とはどうやら違うもののようだ。『ケロリン屋本店 明盛堂』とある。



ホイール
 壁に目をやると、立派なホイールカバーが掛けられていた。

 カローラなどの小型の庶民車にはちょっと似合わなさそうだが、もしかして、あのカレンダーはやはり、オーナーとしての誇り、クラウン愛ゆえの、ポスター的意味合いがあったのかもしれない。



横
 そのクラウンオーナーが誇らしげに掲げるホイールの横に、有名人からの”サイン”のようなものを見つける。

 そこには、こう書かれていた。



筆
 時代遅れの 男が通る  時次郎

 達筆のようでいて、よく見ると書き慣れてない感が結構感じられ、お世辞にも上手ではない字だが、問題はその内容だ。

 世間から逸脱した、浮世離れの、世間知らずで時代錯誤の男が通るよ、関わらない方がいいよ、と思われる内容だが、図らずも、これより数十年後、このメッセージが、まるでブーメランのように、時次郎さんを軽く飛び越え、この家族、この家に、グッサリと突き刺ささることになる。

 着の身着のまま出て行ったような状態で、まるでタイムカプセルのように、家族の思い出が詰まったまま封印され、朽ちて自然の中に消滅しようとしていた、北の果ての片隅にあった廃屋。

 時代遅れなんてものではなく、時から抹殺されようかというその刹那、通ったのは、なんとも、廃墟散策者の自分であったという、皮肉。


  
すりガラス
 ところで、時次郎さんて一体、”誰なんだろう”ということが、頭をよぎる。

 羽幌炭鉱の最盛期には、三波春夫がやって来たぐらいだから、この辺りにあっただろう、公民館に、旅芸人の一座が来てもなんの不思議でもないか…



床
 おそらく、クラウン婦人のセンスによる、床の粘着タイプ・ビニールシート。

 女性の何気ない主張が認められていた、ほのぼのとした家庭だったことがなんとなくわかる。




恵比寿大黒
 家族の行末を知ってか知らずか、この時代の廃屋ではあるあるになりつつある『恵比寿様と大黒様』。



板
 正面からみた封印された玄関を内側からみた光景。

 釘を打ち付けているその時、あの言葉が脳裏に浮かんだか、浮かばなかったのか。



木々
 廃屋散策は、いつもながらに、何かが重くのしかかってくることを、再確認する。



電灯
 ニ度と帰らぬ家の表札を、そのままにしていくだろうか。



最期
 そもそも、板を打ち付けたのは、この家族ではない可能性の方が、今回の検証で、強くなってきたようなきがする。



廃屋、クラウンハウス婦人のこだわり

おわり…

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