へり
 車中泊からの早朝探索による疲労に加え、あまり意味が無いと内心薄々気づいている『全戸訪問』の自己縛り。

 これといった達成感にありつけそうもなく、半ば惰性で部屋から部屋を巡り繰り返す中、思わず立ち止まり、自分の足元を見つめ直す良い機会を与えてくれるような部屋と、出遭うことになる。

ベランダ壁
 どこの部屋でもこの仕切り壁は大抵割れている。
 現在集合住宅に住んでいる人は、今更ながら隣人に注意した方がいいですね。



窓枠
 FXで大儲けをしている人間。

 銀座で爆買いをしている中国人。

 スキャンダル発覚で音信不通の人気アイドル。

 2兆円超の資産を持つ、アリババのジャック・マー氏。


 僕は、この景色を、かれこれ数時間、”独占”している!!・・・・・・。



柵
 空き家有ります。その全てが空き家なんです。

 「空き家ありますよぉ!!!!!!っ」と窓から叫んでも、すぐさま静寂に掻き消されるほど、静まりかえっている。



神棚
 もし誰かがバードウォッチングでもしていて、『あの廃墟アパートの窓から叫んでいるバカがいる』となるのも恥ずかしいので   内なる叫びを轟かしていたその時、荒ぶった内面のほとぼりを冷ましてくれるような、先人が残していってくれた”物”と、対面する。


 直立不動。

 両手をあわせ、決してこれまでの行いが物見遊山による野次馬的徘徊行為ではないことを伝える。
 「では、なんなんだ」と問われても、咄嗟に浮かぶ言葉もない。



外枝
 結局、最後の方の棟では、いくつかの部屋を飛ばし見てやりすごした。
 一部屋覗いたら500円といったノルマがあるわけでもなく、勝手に自分へ課したモチベーションを高める標榜だったので、どうこうしようが自由だ。

 山奥で、都合よく振る舞う男が、廃墟高層アパートの外観最終チェックを行う   
 


階段
 この階段を昇って、屋上からの眺めを楽しみたいと思ったが、もうそんな気力も体力残ってない。

 早朝の段階でやるべきだった。
 


階段上
 あの高みに達し、雄叫びを上げるのは、何年後・・・



果物
 よく見ると山葡萄。



外ベランダ
 自分と似たような境遇の男が顔を出したらどうしようかと、考えただけでも震えてくる。
 「こんにちわ~、廃墟散策ですか?」でいいのか、視界に入っていないふりをして、すっとぼけるのか。

 誰でもわかるような質問をして、相手の自尊心を満たしてあげつつ、自己のキャラは極力抑え、くれぐれも記憶に残るような出逢いとはならぬようにしようと、心に誓う。



1階
 山奥の共同体、かつては人々で溢れ活気があったとはいえ、下着ドロボーやトレンチコートを着込んだ不審者など、いたのだろうかと、ふと、思う。



下
 拾った有害図書のキープ場所によさげなスペース。



ベランd角
 布団は勿論、たまには、その羽毛シュラフも干してあげて下さい。
 モンベルのダウンハガーなら、真冬の北海道車中泊でも、パンツ一丁で熱々の汗だくになること請け合い・・・



雑木林
 雪降る時にここへ来る人は、くれぐれも、ハリアーやエクストレイルのような、”なんちゃって4WD”で行かないように。

 除雪車もここまでは来ていないだろうから、スタックをしたら致命的。
 ジムニーなんかは最強です。



側面
 69R-3

 69Rの配列の謎。このアパートが完成したのは昭和44年(1969年)。
 あとは棟の配置場所によって、RやLが割り振られていると推測する。



杉
 杉はあるものの、北海道で花粉症の症状が出たことはない。
 ゴキブリも見ないし、仕事さえあれば、自分を含めてかなりの人が移住をしたいと思っているのではないでしょうか・・・



遠望
 「見上げて魚卵(ぎょらん)」

 最近聞いていて、一番ムカムカとするフレーズ。
 松前漬けのテレビショッピングですが、北海道だからと諸手を挙げて良かろうと思っているわけでもない。

 彦摩呂と山田邦子。どちらもまともな形で体に栄養が行き届いているとは思われない二人。深夜によく流れる吉牛パックも、二人のせいで、あまり美味しそうに見えません・・・



森林棟
 幻想的な森に、朽ち果て消えつつある、廃墟高層アパート群。

 更にその様式美を堪能しつつ、周辺施設へも切り込んで行こうと、足が棒のようになり筋肉痛に耐えながらも、天を仰ぎほくそ笑み、セイコーマートのおにぎりを頬張り一息、廃墟散策者   


つづく…
 
 「廃イニシエーション・アーチ」 廃墟高層アパート戸別訪問、羽幌炭鉱跡.10

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