施設
 廃墟高層アパートの戸別訪問をなんとか終わらせる。母から子への感動的な伝言。新築したばかりの炭住に、突如忍び寄る閉山の危機。かれこれ数十年が経過した、この廃アパートの各部屋には、未だに様々な人間のドラマ、ひとつの産業の終焉   などの痕跡が残っていて、それを東京から来た”冷やかし廃墟散策者”に対し、恥じらい惜しむことなく、あけすけに、さらけ出してくれた。

『今度来る時には、もっとマシなカメラを持ってこい。なんなら、ムービー、go pro、ドローン、もいいっしょ・・・』

 語りかけられるはずもない”言葉”を  69R-3の屋上の辺りから  確かに、放りなげられたような気がして、振り返ってはみるが、勿論、聞こえるわけもなく・・・



風貌
 go proではなく、安かったので、SJ4000を買ってある。まともに使えてしまうので、中華クオリティーに対する認識を、再考せねばと思う、今日この頃。

 SJ4000の偽物、つまり、偽物の偽物にご注意ください・・・。



あいだ
 かつてのこの”間(あいだ)”には、怪しい学習教材を売りつけるおじさんがいなかったですか?



小屋
 外回り最終チェック中、くたびれた小屋を見つける。物置のような蔵のような使われ方だった。



木立
 あの金属の箱にSDカードでも入れと置こう。ここでの思い出の他に、刺激的な画像なんかもおりまぜて。言うなればタイムカプセル。それが例え開けられて盗られたとしても、それは運命。数年後にカラの箱と再開したとしても、僕は大声で笑うつもりだ。そして絶叫。

「北海道!!!!!!」と・・・。

 箱の中へ、その滾る熱  今度は言葉  をまた閉じ込め、更に数年後、再確認という理由・大義名分を背負って、ここへまた、ニタニタ笑いながらやってくる。



パン
 去りゆく羽幌炭鉱の廃墟高層アパートを、今一度、振り返り、目に焼き付ける。
 


煙突
 煙突を目指して歩く。徒歩でもそんなにかからない距離にある。



遺構
 炭鉱施設の遺構。



ホッパー
 遠景に霞むホッパー。



入り口
 ここに来て、入らないバカはいるだろうか?ジャングルクルーズの列の先頭まで来て「やっぱやめとく」と、引き返す人はいない。自然な流れで入り込む。



積み込み口
 中には石炭の積み出し口があった。それにしても足元が悪い。水がたまり、ぬかるんでいて、一歩を踏み出すのにも、足を取られてしまう。

 もしかしたら、入って来る場所を間違えたのだろうか。もっと効率良く見られるような入り口がありそうだ。ざっと見ても、自分以外の足跡が全くない。こんな所へやって来るのは、数年に一人いるかいないかの頻度だというのか。廃墟施設としては有名な、あの高層アパートに朝から数時間滞在していても、自分以外は誰もいないのだから、このぬかるんだ施設の訪問者が、例えば、5年ぶりだとしても、それはそれで頷ける。



内より
 ぬかるんだ泥に足元を奪われ、上体だけを入り口へ向け、外を乞うように見る。進むべきか、退却すべきか。何れにしろ、ゴアテックス製のコンバットシューズは泥まみれ。こだわりの逸品だけに汚したくはないが、それゆえに、今まさに大活躍をしてくれている。



足跡
 もがき苦しんだ様子が偲ばれる、廃墟散策者の足跡。泥水に足をつけ、木片を伝い、泥沼に足元を奪われ、静止し、その場で行こうか戻ろうか、考え倦ねること15分間。その経過の重みは、第一着地地点のあの泥の深みが物語っている。



口腔
 やはり、向こうより来るものではない。まともな入り口があって、内よりここへ出て、そして見た後、戻るというのが、通常の見学パターンだろう。



闇
 闇に口腔を開き、漆黒のダイヤを嘔吐す。堆積、その山に登りしは、内地より赴きて車中泊からの早朝散策昼食抜き、心神耗弱、過度のゴアテックス効果盲信者   あまりにも夥しく、竹箒のなんと虚しく愚かなことよ、膝をつき、漏れ射す外界よりのひかりを背に受け、こくりと頷き一言、廃墟散策者、

「最近、一人称を「私」から、「僕」に変えました・・・」

 「私」だと女性と混同する場合があるし、「俺」というほど野性味があってイカツクもないので、「僕」が妥当ではないかと、自然な流れでなった次第です   
 


口
  木材を詰め込んで蓋をしているのだろうか。



鉄扉
 こちらのシューターは金属部がまだある。




ドラム缶
 薄膜状態のドラム缶。



取っ手
 くるくる回す取っ手付き。
 


奥より
  ひざ下数十センチ、あと少し泥で埋まったら、自力で脱出困難の可能性もあった。下手したら、こんな廃施設の泥沼で、四つん這いになり、数時間、いや、数日、そのまま動けずにいたかも。一人散策の危うさを、今更ながら、再認識をする。



トロッコ
  スーパードンキーコングで見かけたような、トロッコが。



壁
 山中に点在する、炭鉱施設の遺構群。お昼頃だというのに、訪れる人は僕以外いない。半径、数十キロ、自分以外の人間がいない。



近接
 「羽幌の煙突登ってみた」で、ユーチューバーデビューをしたら、どうなるだろうかと、想像する。親が悲しむから、想像の範囲で留めておこう。



側面
 生い茂る草木に覆われ存在を消されつつある。




横
 環状列石群の古代遺跡でも発見した遺跡発掘人の気分になるが、産業遺跡は勿論、地球上の数多の遺跡は発掘済みだ。僕は、北海道の片隅にある、数十年間放置された未踏の『廃屋』で、名も無き一般人の生きてきた証しを掘り起こすことに、精を出すとする。



つる
 最近は、廃屋に侵入をし、褪せた古い松山千春のポスターを見るだけで、内からふつふつとした好奇の熱がこみ上げ、背中は得たいのしれない重い空気で、ぞくぞくと寒気がする。



煙突下
 煙突の下部分。露出するレンガ。



見上げて
「我々の街と塔を作ろう 塔の先が天に届くほどの あらゆる地に散って 消え去ることのないように 我々の為に名をあげよう」

 物好き廃墟探索者しかこの地にいない現実。



アーチ
 廃墟イニシエーションとして、くぐってみる。



まど
 壁と窓のような。



くらがり
 トンネルの先にあるのは、解体か。命名権売り出しで広告塔か。自然崩壊を待ち侘び続けるのみなのか。人骨でも盛って山にでもなっていそうな深淵を見つめ、見つめ返され、想いに耽る。

 自分の中での工程をなんとかこなしたとの達成感があったので、羽幌の塔に背を向け、鬱蒼とした密林をかき分けながら、廃消防署の前辺りに停めてある車へ向かって、歩き出した。


おわり


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