三楽荘 暗がり
  建物の作りが、中庭を中心に囲うようになっていて、しかも背後が山なので、日の当たらない部屋が多い。

 上部の崩れた瓦礫を避けながら、平身低頭、漆黒の闇を、ひとり孤独に、進んで行く   



三楽荘 事務用品
 事務用品類が散見される部屋。大勢の社員を抱えていたため、事務室が存在していたのか。



三楽荘 飾り
 宴の後?モールの飾りに、バケツの蓋で作られた花?あるいは”サークルメリー”だろうか。とにかく、三楽荘従業員による、微笑ましい手作りパーティーが行われたらしい。



三楽荘 封筒
 『夢のレジャーランド』とある。薬膳料理と温泉を呼び物にした、テーマパーク的な宿泊施設を目指していたのだろうか。だとしたら、30年は早かったコンセプト。スーパー銭湯が飽和状態の現在、温泉レジャーランド旅館のようなものが、中国人に受け入れられそうな気がする・・・

 格安で優良なビジネスホテルがどこも彼等で一杯なので、そういうようなところへ、閉じ込めるというか、収容して欲しいですね。



三楽荘 票
 何らかの前売券と重石。趣向を凝らした温泉施設であったとしたら、それこそレジャーランド感覚で入浴するということで、前売券を発行してプレミアム感、格安感、を演出していたのかも。



三楽荘 和室
 事務室近くにあった和室。実に素っ気ない。かなり狭いし従業員の部屋かも。



三楽荘 マイカー情報
 山楽荘従業員が次の愛車を物色したのか、マイカー情報誌。

 近所の家が建て替えで、10名弱の作業員が毎日やって来ていたが、1台の作業車両以外、全て自転車で通っているという光景を目撃した。ちなみに、車の駐車スペースは潤沢にあった。建設現場の作業員のバイトをやったことがあるが、その頃は社員だろうが日雇いの作業員でも、全員、朝車で事務所へ行き、その後現場へも車で行っていた。贅沢でもなんでもなく、働いていれば車に乗っているのは当たり前で、工事現場は住宅街などが多いので必然と車になる。それを考えると、現在は末端の現場作業員からして、貧困化が顕著であり、日払いでまとまったお金を貰って融通の利きそうな独身男性でも、自転車に乗らざるをえないというのだろうか。

 毎朝、昔見た中国の通勤風景のような光景、現場作業員が連ねて自転車でやってくる姿を見て、複雑な思いをしたし、また、爆買いをする中国人の横で、マクドナルドさえ高いと言い倹約をする日本人達に、凋落した経済大国の悲哀を感じずにはいられない。

 北の片隅のさえなかった旅館の従業員が次の愛車を選ぶ・・・ この頃は北海道はもとより、日本も好景気で、やがてやって来る不況、彼等にすれば廃墟化は、誰も想像できなかっただろう。



三楽荘 ベッド
 ベッドの残骸とソファーのある洋室。自然光の入らない暗い部屋ばかりで、こんなことからも、経営破綻の原因が透けて見えてきそうだが、呼び物の入浴施設で死亡事故があったというから、一概には、その理由を断じることはできない。



三楽荘 園芸
 羽幌炭鉱の高層アパートでもみたような、部屋内の園芸化。

廃墟高層アパート戸別訪問、羽幌炭鉱跡



三楽荘 台所
 泊まり込みの従業員用の台所だろうか。生活臭は感じられない。



三楽荘 天井
 雨が降ればダダ漏れ状態の天井。崩壊へのカウントダウンはもう始まっている。



三楽荘 端
 最奥部の部屋の窓からは、かなり大きめな作業員の話し声が聞こえてくる。山のどこかにいるのはわかるが、離れているとはいえ、取り敢えず、自身の姿を見られないように、壁面にへばりつき、撮影を敢行する。



三楽荘 ゾウ
 傍らにあった、ぞうの幼児用おもちゃ。先ほどのがサークルメリーだとしたら、山楽荘に住み込む関係者の子供用ということが考えられる。

 薄々、入浴施設で死亡事故が起きたからとはいえ、ショックで廃業をするならまだしも、業務転換をしてレストランとはどうなんだろうかという疑問があった。もしや、この幼児がお風呂で死亡をし、失意の経営者が経営権を売り、新しいオーナーが居抜きでレストランを始めた・・・・、という、縁起でもない不謹慎な推測が、ふと浮かんだ。



三楽荘 ロック
 廃墟や廃屋へ赴くと、把手や南京錠のアップを撮らずにはいられない。侵入者ではなく、その場所にいた人達の痕跡が強く残っているからだ。特に、独居老人の廃墟の部屋の把手には、得も言われぬオーラで包まれている。



三楽荘 防火扉
 もと来た道を引き返す。無用の長物と化した防火扉。山楽荘全体が瓦解しても、この扉だけは立ち尽くしていそうだ。



三楽荘 まる鍵
 これに触れたのは、山楽荘の歴史において、僕とその他、3人ぐらいだけに違いない。



三楽荘 自販機
 更に進んで行くと、開けた場所。鉄製の箱、自販機だろうか。



ロッカー
 倒れた古いタバコの自動販売機。そして、靴入れのロッカー。これより先が入浴施設だ。実は、さっきのデスラダーは、回避していた。枯れた入浴施設というのには一番興味があったし、ここの廃墟の特色でもある”死亡事故風呂”はどうしても避けることはできない。しかし、侵入者によってセッティング、お膳立てされた安易な道に、そのまま誘導され乗っかってしまっては、彼等と同じ視点でしか"ここ"を見ることができない。

 山楽荘で死亡事故があり、春名館へと業務転換したならば、この付近は幽閉されていたはず。だとすれば、レストラン部分との損傷具合が激しく違うのも、納得できる。


 因縁の周縁部も丹念に探っていこうと、更に歩みを続ける廃墟散策者   
 


つづく…

「ロフト宴会場」 死の浴場、薬膳旅館『山楽荘』.4

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