かしわや 正面補
 「一日一廃」。某鉄道写真家ではないですが、個別のカテゴリを設けるまでもない”小ネタ”を、紹介していきたいと思います。と言っても、そのようにするとトップページが「一日一廃」シリーズで埋まってしまい、メインの廃屋や廃墟シリーズ記事が読まれなくなる可能性があるので、ほどほどに更新をする予定。

廃墟

廃 屋


かしわや 前左斜め下
 場所は東京の三鷹市。背後に山。その麓の住宅街に”ぽつん”と、取り残されたようになんとか姿をとどめている、全身錆だらけの『食堂かしわや』   



かしわや 側面
 下原商店会とあるが、近くに薬局はあるものの、ここは閑静な住宅街のど真ん中。商店街の賑わいなどどこにもない。何故こんな場所に食堂が?しかも、大分前に廃業ときている。
 


かしわや 住所
 ダブルノブで武装していた用心深い家主。住居も兼ねていたようだが、現在住んでいる形跡は無し。



かしわや 前斜め
 奇妙なのは、この廃食堂の周囲にある家屋のほとんどが、真新しく最近に建てられているということ。ここ一帯が新興住宅地のようで、かしわやだけがひときわ暗く古く異彩を放っている。



かしわや 側面下アングル
 実はこの先に、広大な山中へ隔離するように建てられた、地元ではいろいろと有名な精神病院の『H病院』がある。



かしわや 前斜め下
 たぶん、H病院の影響もあってこの辺りは住宅が建てられず、一面畑だったのかもしれない。病院客目当てに地主さんが食堂をやっていたのではないかと。

 時が流れて、人々の理解が進み、都内回帰の傾向もあり   



かしわや 煙突
 かしわやの裏側には広い駐車場があった。ワゴン車がやって来て老人が洗車をはじめたと思ったら声をかけられる。

 「古い物が好きなの?」

 街中でこう尋ねられた時、どのように返答をすれば通報されず怪しまれないのか、常々ベストな答えを探している。「趣味で廃墟ブログをやっているんです」と言うのも、まかり間違って家主や地主さんだった場合、非常に失礼にあたる。

 なんとか振り絞り「資料にするんです」と答えた。会話嫌い風を装っていたので、「何の?」とは聞き返してはこなかったので一安心した。



かしわや 木の壁
 老人によると、ここの地主は奥の山寄りの辺りに住んでいるという。

 深くは追求しなかったが、この人は洗車場所を無料で無断拝借でもしているのではないだろうか。車の所有者で自宅に庭が無い人にとって、無料の洗車スペースは喉から手が出るほど渇望しているものだ。去り際に隣の家から出てきた人と会話をしていたので、全くの他人では無いようだが、果たして・・・



かしわや ヤマハジョグ
 駐車場の片隅に捨てられていた、ヤマハのジョグ。正確にはマイナーチェンジをして、リミッターが装備された型。この初期型ジョグに乗っていたことがありますが、加速は首が痛くなるほどの凄まじさ。引っ張ると最高速度75kmも出てしまう、元祖、スポーツスクーター。

 ステップ部には車のエアークリーナーボックスが。その他、不凍液など、有料ゴミ扱いでも引き取ってくれないような品々がてんこもり。



かしわや シュンソク
 塀の上には、小学生の男子や女子に大人気、アキレスの『俊足』。「ちっとも速くならない」と女の子が投げ捨てたのか。




かしわや 前左斜め下寄り
 その昔、H病院へは、建設作業員のバイトとして敷地内に入ったことがある。病室の窓を全開にして絶叫をしている人や、人目を気にせずシャワーを浴び続ける人など、社会経験が少ない時期に大変得難い経験をした。もしかしたら、彼等もここを通り、かしわやでカツ丼でも食べたのではないだろうか   

 この道は近所の人しか通らないような裏道で、あの時、昼飯をこちらに来て食べようとは、夢にも思わなかった。眼の前にあるのは、役目をとうの昔に終えた朽ち果てる寸前の廃食堂。もっと広い視野を持ち合わせていれば、活気あふれる『食堂かしわや』で気の利いた温かい定食でも食べていたはず。そして、数十年後、様変わりしたかしわやと再会をし、郷愁にふけり、しばし店先であの辛かったバイトを思い出して涙ぐむ   
 
 思い出を一つ損をしたような苦い気分を味わいつつ、かしわやを2周してみてから、家路についた   
 


終わり…

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