ホテルニュージャパン 廊下
 運が良かったのか悪かったのか、館全体への延焼は免れたものの、天井のパネルは焼けて落ちている。廊下のカーペットとタイルも同様で、更に炭化して基礎のコンクリートが露出し、それが削られたかのように粉々になっていた。



ホテルニュージャパン 先
 死の灰でまみれた中に何かが転がっている。

 にじり寄ってみる   



ホテルニュージャパン 下
 中国コマのようにも見えるが・・・





ホテルニュージャパン ノブ
 燃え盛る火の中、周囲の接合部が溶解し自重で下へと落下をしたのか。凄まじさを物語るドアノブだった。
 
 失火は肝試しにでも訪れた侵入者達によるタバコの火が原因だとは思うが、今更ながら、それにより強度が著しく低下したためか、或いは多くの窓がぶち破られていることによる、風の流入経路の影響か、この瞬間にも、僕の足元がむず痒くなるほどの大きなうねり、リズム感のある振幅運動により、建物全体が揺らぎ続けている。勿論、その揺れは上層階へ行くほどに増していて、身の危険を感じるレベルになってきている。



ホテルニュージャパン 循環
 多方より取り込んだ風が館内全体へ入り乱れて循環しているような構造になってしまっているのか。



ホテルニュージャパン 9
 焼跡の7階を駆け抜けて、数階を見回りやり過ごし、9階に到着。かつての訪問者も僕と同様、緊張感から開放されたのか、落書きを記す余裕も出てきている。



ホテルニュージャパン 全景
 ここでまた全景を。9階といえば、ついに最上階へと来たことになる。
 
 最後の無礼講とばかりに、侵入者による最上階の荒らされようは凄まじく、「グラビティー・ルーム」と命名された部屋の存在や、解いてみろよと挑発をする化学式の殴り書き、北の大地の夏だけに活動をするという控えめな暴走族からの熱いメッセージ等を確認。また、上層階と下層階の設備に見られる差異・相違などを詳細に検証。最終見回りとして、建物周囲の徹底再探索を徹頭徹尾隈なく実行し、見逃していた貴重な看板などの捕獲に成功する。終幕見証としては、ホテルニュージャパンの雅やかな立ち姿・全体像を後世に残すためにも、遠景よりの麗しげでもある立像を厳選・限定紹介することに決定。

 最終の、9階フロアの見回りにと、一歩を踏み出す   
  


つづく… 

「ファイナル視察」 廃墟、死灰の『ホテルニュージャパン』.7

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