有珠山噴火遺構 くま
 ミレニアム・イヤーの2000年。キリスト教の大聖年の祝いや、新しい千年の始まりということもあり、日本も含めて世界では様々な祝賀イベントが盛大に行われた。

 ミレニアム・フィーバーのバカ騒ぎもようやく収まり世間が落ち着きを取り戻し始めた頃の、3月29日。北海道の洞爺湖に近い活火山、有珠山が大噴火をした。幸いにも、数日前からの火山性地震による分析で、近日中の噴火が予知されていたため、被害が予想された地域の住民約1万人は既に避難済み。噴火災害の規模が大きかったにもかかわらず、死傷者をひとりも出すことはなかった。

 ただ、大噴火による噴石や溶岩の貫入による土地の隆起により、建物は破壊され、橋や道路も通行不能になるなどの大きな損壊を受けた。

 その後、噴火災害の恐ろしさを後世に伝えるため、被害を受けた山麓一帯を災害遺構として保存したらどうかという声が地元の人から上がり、廃墟化した工場や「とうやこ幼稚園」などの現状保存が決まったという。



有珠山噴火遺構 洞爺湖ようちえん
 北海道の虻田郡洞爺湖町。洞爺湖幼稚園。

 外壁のパネルは噴石により打ち砕かれ、内部の構造が露出したままに。後に、この幼稚園が受けた被害が尋常ではないことが判明するが・・・

 周辺の状況も気になるところなので、そちらの方を先に行ってみることにする   



有珠山噴火遺構 看板
 「お願い」の看板がみえてきた。傍らに置いてあるのは幼稚園の職員室で電話台にでも使用していた家具だろうか。それを逆さにして石で固定して、即席のアウトドア用の棚として再利用しているとみた。協力金箱へお金を入れる人へ、一時的な荷持置き場として利用して欲しいとの図らいなのだろう。『元は脚だった部分をフックにして手提げ袋でもかけて下さい』という、実に細かい配慮が見逃せない。



有珠山噴火遺構 看板2
 福島では原子力を「夢のエネルギー」と称えていた国策看板を撤去したり、被災を受けた建物を住民投票によって
取り壊すなどしているが、ここ洞爺湖町では、起きたありのままの事実を後世に伝える活動が、有志によって行われている。



有珠山噴火遺構 側道
 只今、お昼まっただ中。美しい紅葉の中を歩くのは、半径数キロ、僕だけと思われる。



有珠山噴火遺構 バス
 錆だらけの廃バスを発見。かつての昔に不動車となり野晒しにされたままなのか、噴火によるものなのか、判断が難しいところ。



有珠山噴火遺構 バス左
 ミレニアム当時に現役だったとしたら、相当老朽化をしていた旧式のバスということになる。長期放置車両が更に噴火災害にあったとみるのが正解か。

※このバスは道南バスの旧塗装とのこと。上にローマ字でDONAN BUSがちらっと見える。今はグリーンの塗装に変わっています。「ひとし」様、ご指摘どうもありがとうございました。



有珠山噴火遺構 振り返り看板
 後ろ髪を引かれるように”とうやこ幼稚園”をみると、また看板。



有珠山噴火遺構 グランド看板
 住民の方々の被害が無く、なによりです。



有珠山噴火遺構 隆起
 隆起したアスファルトの道がひび割れて、雑草が吹き出している。廃墟ドライブインの駐車場でもよく
こんな風景を見るが、これは火山活動によるもの。



有珠山噴火遺構 避難道看板
 過去の噴火後に造られた避難道だが、2000年の噴火により縦の亀裂ができてしまった。もうニ度と公共の道路として利用されることはなく、遺構としてこの姿を伝えていく。



有珠山噴火遺構 柵
 美しい自然とは対照的でまるで紛争地域にいるような絵。地割れと隆起の向こうに崩れ落ちた建物が確認できる。



有珠山噴火遺構 橋
 コンクリートのトンネル上には道が通っていた。大噴火による噴石でガードレールが捻じ曲げられ、積もり積もった火山灰は山となり、やがて草木が芽生えたのか。



有珠山噴火遺構 車
 大きな被害を受けた大邸宅。手前には乗用車が置かれたままに。



有珠山噴火遺構 カルバート
 邸宅の主は全壊指定を受けたのでしょうか。建物だけだったら再建も可能だったが、周囲がこれではどうしようもない。



有珠山噴火遺構 グリル
 資産家が所有をしていたと思われる車。大量の噴石が降り注いだ結果なのか、全てのガラスが無い。



有珠山噴火遺構 テール
 特徴のある丸目のテールライトは、通称「ジャパン」と呼ばれていた日産のスカイライン。この車の発売が1977年なので、噴火当時の2000年にはもうクラシックカーの領域に入っていたはず。被災直後にはエンジンぐらいはかかったかもしれないが、ボディはボコボコ、全面はノーガラス状態。ひび割れて隆起した道路には灰がつもり放題で、スカイラインが自走することはおろか、レッカー車を呼ぶことも不可能だったはず。

※ケンメリスカイラインの4ドア(通称ヨンメリ)と思われます。コメント欄でご指摘頂いた「tokyu8500」様、ありがとうございました。
 


有珠山噴火遺構 ハンドル
 所有者こだわりのモモステアリングが装着されている。夜な夜な、仲間と連れ立って洞爺湖の湖畔を走りこんだりでもしたのでしょうか。





有珠山噴火遺構 家屋
 シャッター付きの大きなガレージ。もしかして、あのジャパンは、族仲間が遊びに来ていて被災をしたのだろうか。おとなしく家にでも篭って3月4日に発売されたばかりのプレステ2でもやっていれば、この惨劇から逃れられたのか。

 何れにしろ、この崩れようを見る限り、命が助かっただけでも奇跡だ。
 

 これより、地中のマグマ爆発により噴出された、大量の水蒸気により視界も遮られるような湯煙地帯を駆け抜けながら、廃墟化した工場やまるでクレーターのように大陥没をして谷底化した脆い地盤を間近で見届けた後に・・・ 子子孫孫伝えていかなければならない、あの、ようちえんの、内面部分へと、ひたひたと厳かに、浸ってみようとする   



つづく…

「リア充に道を阻まれて」 廃墟、とうやこ幼稚園と噴火遺構.2

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