新宿集落-23
 偶然にも発見した、新宿廃屋限界集落。その中核に位置する家屋の、砂利道ではない方の、側道側には、庭があり、そこは夥しい廃棄物で埋め尽くされていた。

 今でもここが、大都会新宿の中に位置することが信じられないでいるが、かつて僕は、偶然にも、今回と似たような経験を  しかも、同じ新宿において  していたのだった。

 現在、新海誠監督の長編アニメ映画『君の名は。』が、ジブリ以外のアニメ作品では初の、興行収入100億を突破をし、社会現象にもなっている。僕がその作品を観るかどうかは、一年後ぐらいにWOWOWあたりに落ちて来るのを心待ちにすることにして、ともかく、『君の名は。』の大ヒットを記念して、深夜のBSで、新海誠監督の過去の作品『雲のむこう、約束の場所』が放送されていたので、どんなものなのかと、観てみることにした。

 ちなみに、普段からアニメは殆ど観ない。 たまに日本製のアニメを観ても、「なんで実写でやらないのか」と思うぐらい、アニメに関しては冷めた見方をしている。映画は好きだが、人間の一生、時間は有限であり、死ぬまでに観ることのできる作品数はおのずと限られる。だったら、『自分の好きなジャンル、SFとホラーの実写映画に絞って観るべし。あとは誰もが知るような超名作を押さえておけばいいか』と、ある日を境にして、大げさに言えば悟ったわけだったが、昨今の目に余るような、『君の名は。』ブームに圧倒されてしまい、兎にも角にも、新海誠監督の過去作品ぐらいは観ておかねばならないようだと、深夜に、突き動かされた次第だった   

 『雲のむこう、約束の場所』の大まかな内容としては、現代の生活を送る学生がいて、そこに、戦争だったり、北海道の中央部分に天まで伸びる塔があったりと、SFの要素が若干加えられているような話しだった。

 加えて、  ウィキなどで調べてみて判明したが、新海誠監督初の劇場公開作品『ほしのこえ』も、数年前に深夜に放送されたのを、どうやら視聴済みだった。あれがそうだったのかと。各賞を総なめにしたという謳い文句に、普段アニメを観ない僕が、今回同様に引き寄せられしまっていたらしい。もう世間ではスマホが完全に浸透していたが、作品の中の少女はガラケーで、  しかも表示範囲が極端に狭い画面の旧型タイプ  木星かどこかにいる彼氏と頻繁にメールのやり取りをしていたのが、印象に残る映画だった。宇宙旅行が一般的になっている設定の世界で、ガラケー・メールって・・・と違和感を感じたのだが、これはハリウッドのSF映画にも当てはまるが、通信デバイスに関しては現実が先行してしまっているケースが多くみられる。表示スクリーンが宙に浮かぶぐらいの、敢えて実用化は無理そうな飛躍し過ぎた設定をしたためておかないと、たちまち絵は古臭くなってしまう。


 『雲のむこう、約束の場所』では、青森に住む主人公の学生が、やがて東京で就職をすることになるが、その彼が、東京の街中を闊歩するシーンで、あの、僕のブログで発表以来好評を博し続けている、”ひろゆきハウス”界隈の、西新宿の廃墟風景が、描き出されていたのを、しかと確認することができた。

ひろゆきハウス

 『西新宿のひろゆきハウス』の記事を発表した頃は、僕のブログの閲覧数がまだ日に30ぐらいしかない時で、記事にたいする反響も正直よくわからなかった。最近になって何気なく『廃墟 西新宿』で検索をしてみたところ、なんと、一番上に『仄暗いお散歩 西新宿のひろゆきハウス』の記事が、上り詰めて来てしまっていた。



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 『ひろゆきハウス』よりのひとコマ。

 左にある特徴的なカーパーキングの機器は、まさに、主人公の彼が通った道の証だ。

 この写真撮影時には、颯爽と歩く彼の代わりに、ホームレスが寝ていたが。



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 広大な草原と、森にいるかのような生い茂った木々。その周辺に朽ち果てた多くの廃墟・廃屋が存在。もちろん、名前の由来でもある、元2ちゃんねる管理人、ひろゆき氏のアパートもあった。



ひろゆきハウス 屋台
 アニメでは、ほぼこれと同様のカットが登場していた。さすがに、背後の不法投棄物、さらに後方の違法駐車の屋台リヤカーは取り除かれていたが。

 聞けば、新海誠監督がロケハンをする際、自分で何千枚もの写真を撮るというから、作品中に感じられるどこか退廃的な雰囲気は、この”ひろゆきハウス”周辺部の光景から、インスパイアされた可能性もあるのかもしれない。

 そういえば、アニメの中の背景はあまり動きが無く、ローアングルの写実的な絵が多かったような気がする。バリアングル及びチルト液晶使いだろうか。





新宿集落-22
 ひろゆきハウス周辺の廃墟群は既に撤去されてしまったが、新宿界隈をさまよいながら、またもや、信じられないような廃屋群と、巡り合うこととなった。

 新宿限界集落の中央に位置する、崩壊寸前の家屋の庭は、防水シートで間仕切りされ、そこには、一見してガラクタのような品々が多数、転がっていた。



新宿集落-33
 剝き出しの、ブラウン管の背面。捨てられたのか、ある意図を持って拾われてきたのか。



新宿集落-32
 ここより、車両が通れない歩道になる。

 ムシロで囲まれた中核部の家屋の向かいにある白い家は、一見して廃屋のように見えるが、わずかに人の気配が感じられた。ただ、行き届いていない庭の管理や、放置され錆びた自転車、干されたままの日本手拭いなどから考察するに、独り身の老人の可能性が強い。

 歩道を進んで行くと・・・



新宿集落-35
 一階の窓は板が打ち付けてあった。蔦に覆われた廃屋だ。



新宿集落-34
 二階の窓はトタンの雨戸で閉じられたまま。庭は勝手に自生した草木で荒れ放題。

 ここの集落はこんな廃屋・廃墟ばかりのようだ。一部、老人がひっそりと住んでいるものもあるようだが。



新宿集落-37
 少し進んで   
 
 これも、放置され、取り壊されるのを待ち続けているのみの、廃屋か。門と壁は完全に、草木と同化している。

 ただ、この廃屋正面には、崩れそうながら、ひと気のある家があった、のだが・・・



新宿集落-36
 井戸に手動の汲み上げ給水ポンプがあった・・・

 目と鼻の先では、最先端の4DXシアターで、「シン・ゴジラ」を楽しむ人々がいるというのに、同じ新宿では、年金を切り崩しながら細々と、息を殺すように隠れるようにして、限界集落で耐え忍びながら、前時代的な生活を営んでいる、亡霊のような老人達が存在する   

 いよいよ、覚悟を決た僕は、例の、ムシロで囲まれた、『新宿限界集落』の代表格ともいえる、あの家屋の、最終調査を行うことにする。

 卒塔婆のに書かれた文字を判読し、それを手がかりにして、限界家屋の謎・意外な真実を、突き止めることに成功をする   



つづく…

「新宿廃屋限界集落の真実」 新宿に残された廃屋限界集落.4

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