平壌第一百貨店 入り口
 平壌第一百貨店へ来る前にガイドから「ちょっと時間がありますので、どこか行きたい所はありますか?」と聞かれたので、ネットカフェに行ってみたいと希望を出し、連れて行ってもらうことになった。

  平壌のネットカフェの場所は、市内の中心部にあったが、大通りからは奥まった所にあり、こじんまりした建物の一部が、ネットカフェとして使用されていた。

 ネットカフェ店内に入ってデジカメで撮影をしようとしたら、ガイドから、ここは撮影禁止だとの説明を受ける。

 店内は一見して、日本のパソコン教室のような感じで、規則正しく机が数列並べられて、それぞれにデスクトップPCが鎮座していた。座席数三十ぐらいのところ、六人ぐらいが使用中だった。カフェ利用客はいずれも十代から二十代の若い学生風の人達で、行儀よくジュースを飲みつつ、お喋りもせず静々と、そこはかとない気品を漂わせながら、PCモニターと対峙していた。やっぱり、この人達は特権待遇の、北朝鮮労働党幹部の子供かなにかなのだろうか。

 店の後方、奥の壁一面には、ガラス扉の冷蔵庫が備え付けられていて、瓶やペットボトル入りのドリンクが、ぎっしりと並んでいた。日本のコンビニにある冷蔵庫と、見た目は酷似している。

 僕も少しだけ、日本のサイトなどを閲覧してみたが、過剰なフィルタリング、規制は感じられなかった。もっとも、アダルトサイトや政治・思想関係のページには、アクセスをしなかったが。

 最後に、かなりマイナーなバイクの個人ページを閲覧してみた。一日のアクセスが、三十前後のページ。そこの管理人がアクセスログを見たら、かなり驚いたに違いないだろう。僕は普段からそのページを時折のぞくだけで、書き込みは一切しない。管理人とは面識も無いし、当然、僕の旅行事情は知らない。

 そこの管理人は、平壌から直のアクセスがあった、あの日の出来事に、戸惑いを覚えつつ、この先、一生、不可解なアクセスの謎に、悩まされ続けるのかもしれない。



平壌第一百貨店 エレベーター
 平壌ネットカフェ体験を終え、平壌第一百貨店にやって来た。北朝鮮でも一番の老舗、規模を誇るとのこと。

 節電のため、薄暗い店内。

 鏡扉のエレベーターは、当然であるかのように、不動だった。誰も使用していなかったし、動力の気配が微塵も感じられず、僕はあえてガイドに聞きもしなかったが、動いていないのは確実だろう。この光景を目の当たりにしたら、聞くだけ野暮というもの。

 それにしても、あまりにもやる気のない弛んだ飾り装飾を見て、苦笑いをしてしまった。人によっては首を引っ掛けてしまうし、大抵の人は屈まないと向こうへ行けない。暗くて殺風景なので、反射系の飾りで、多少なりとも採光をこの場に取り入れたかったようだが、残念ながら、メンテナンスを長期放置してしまっているということもあり、地下のランドリーの洗濯ロープのようになってしまっていた。



平壌第一百貨店 無
 客がまばら  という以前の問題。フロアによっては、店員もいなかった。ここは、北朝鮮で一番の、百貨店のはずなのに・・・



平壌第一百貨店 階段
 内壁へ沿うようにして円を描く優雅な階段。長過ぎる気もする、モダンなシャンデリア。



平壌第一百貨店 客
 どういった層なのかは不明だが、客はいることはいる。



平壌第一百貨店 池
 天井から吊るされたシャンデリアは、タイルの池の水面スレスレに、その真ん中へと、届くように計算されて設置・デザインされたのか。池の水は長い間取り替えられていなく、漆黒に近い深緑へと濁り変色。



平壌第一百貨店 自転車
 北京市内でもよく見かける、自転車とスクーターの中間のような、電動スクーター。

 雑貨や電化製品など、物は揃っている。中国や韓国、日本から取り寄せているようだ。



平壌第一百貨店 デルモンテ
 業務用のデルモンテのケチャップがあったが、なんと、日本製。キューピーのマヨネーズも。

 

平壌第一百貨店 つまみ
 中国製のおつまみコーナー。

 日本製の缶ビールの品揃えも豊富にあった。



平壌第一百貨店 スナック菓子
 ネスカフェや、日本のカール、プリッツも。

 北朝鮮でもお金さえあれば、日本の食べ物や製品が、潤沢に入手できるようだ。



平壌第一百貨店 客
 食品売場の店員さんとお客。

 ちなみに、極寒の地でありながら、暖房は無いので、皆厚着をしたまま。

 僕自身も、寒さに耐えながら、デパート内を散策するはめに。



平壌第一百貨店 最上階
 何かお土産を買ってやろうと、散々歩き回ったものの、買ったのは、ガイドに無理矢理促されて食品売場で売りつけられたに近い、高麗人参酒だけ。

 ここは最上階の服売り場。

 北朝鮮製の服、ジャケットやTシャツでもあれば面白そうなので買おうかなと思ったが、ほとんどが中国製だった。中には日本語表記のもあったが、どうも怪しい文面の説明書きがしてあり、おそらく、日本製を装った、中国製品だったと思われる。



平壌第一百貨店 建物
 たいして酒を飲みもしないのに、無理矢理買わされたに近い高麗人参酒を片手に、北朝鮮国営の、最大級、平壌第一百貨店の建物を見上げる    あんなにガイドが必至に酒を勧めたのは、当然、キックバックが入るからだろうと、わかってはいたが、断れなかった自分が少し、腹立たしくもあった。

 僕は北朝鮮のデパート売り場に一体、何が売っているのかと強い感心があったので、ほぼ隈無く全売り場を見て回ったが、そのような人は珍しいのか、ガイドの猛烈な急かしようが、半端ではなかった。こっちとしてはじっくりと撮影したかったが、始終背中を押す勢いで、「次、次、上!」と、執拗に先を急がされた。

 閑散とした店内、日本に比べれば見劣りする品揃え、などを詳細に調べられたくないのか、あるいは、お菓子や調味料をいちいち撮影する人に、ただ呆れていたのか、北朝鮮ガイドさんの心中ははかりかねた。


 この後、平壌市内の学校にて、僕ひとりに対して、五十数人前後の生徒が、あきらかなヤラセの授業見学でもてなしてくれた。しかも最後に、照明を使用した派手なセレモニーがあり、一緒に踊らされたり、女性生徒の腕のアーチをくぐらされたり、合唱や演劇を見せられたり、ガイドが後方に控えているとはいえ、その場から逃げたくなるような、いたたまれなくなる気持ちにさせられることになる   



つづく…

「二代目引田天功の足跡」 バックパッカーは一人北朝鮮を目指す.11 

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