かどや テラスの柵
 そこには、洞爺湖の美しい風景を庭の一部として内包し耽美さを追い求めた、今では寂しげな佇まいの、ガーデンテラスがあった。



かどや 損傷
 ボール電球に柔らかな光が灯る頃、人々は洞爺湖の水面に怪しく照らし出された月明かりに見入る。



かどや 電球
 ”かどや”の名前に反して、店頭オブジェは半球体の重ね合わせ。連なる庇は丸みを帯びた連続波打ち造り。ガーデンテラスの電灯は、まるで真珠を模したかのような、まんまる型。



かどや 半円
 ここにも。

 カドが拝されていて、執拗なまでの円へのこだわりを感じさせる。



かどや 半円
 畳み掛けるように、ここにも。板張りの半円ドーム状。

 もう、お分かりいただけただろうか   
 
 円に秘められた、”かどや”オーナーの想い・・・



かどや 円満
 家族円満、夫婦円満   

 人生の集大成でもあるこの建物に、その昔に込められただろう隠されたメッセージが、今、廃墟探索者によって検証され明かされて白日の下に引き出される。

 報われたのか、報われなかったのか。そっとして欲しかったのか、よくぞやってくれたと、褒め称えてでもしてくれるのか。



かどや 自然美
 自然美を賛美し風景を庭として取り込み鑑賞をする試みだった、かどやのイングリッシュ・ガーデンテラス。

 計算違いだったのは、やがてその自然にかどや自体が取り込まれ埋没して、風景の中に飲み込まれつつあるところ。



かどや アイス
 短パン少年がアイス片手にこのテラスを走り回った”あの日”は二度と戻らない。



かどや 館内
 再び、館内探索へと戻る。



かどや ニポポ
 打ち捨てられた、アイヌのニポポ人形。

 昔、「これ酷いよね」と、北海道の人が僕にある週刊誌の記事を指し示した。道新の風刺漫画に掲載された「あっ、犬だ!」という漫画が問題になっているという内容で、犬とアイヌを言葉の洒落にすることで、差別を助長しているのではないかとの記事。今だったら謝罪会見に追い込まれかねないような内容だったが、当時でも『これはよろしくないのではないか』と結構な話題になっていた。

 記事を見せてくれた北海道の人は真面目な勉強家でもある人だったが、心なしかニタニタとした苦悶にも近いような薄笑みを浮かべていた。それは分からなくもない。誰しも、不謹慎だと思いながらも、心の奥底の閉ざされた部分に、少しの差別意識が無いと言ったら嘘になる。アイヌの漫画は字面だけは面白いのでふとしたはずみでハマってしまい、眠っていた差別意識を呼び起こし、抑えきれずに笑みが溢れ、必至で押しとどめようとするも、顔を歪めようとすることが彼の精一杯だったのだろう。



かどや コニカ
 2006年ににフィルム事業からは撤退している、コニカの垂れ幕。



食券1
 廃墟で食券を見かけると、値段を検証せずにはいられなくなる。

 いかにボッタクっていたか、いや、良心的であったのか。その人間性が二十一世紀にもなった現代においてでも否応無くうかがい知れてしまう。

 とんでもない値付けだったりすると「そら見たことか!」と、自分以外からも嘲りの声が聞こえてきそうな気がする。



かどや 食券2
 ポークカツ 900円

 ほたて定食 900円

 かに定食 800円

 このあたりはちょっと高い気も。

 串かつ定食 500円

 カレーライス 350円

 レモンソーダ&アイスコーヒー 200円

 総じて、飛び込み観光客に対してもそんなに足元を見るようなこともなく、健全的とも言えるお店だった様子。
 



かどや ながめ
 往時の賑わいはどこへやら。廃墟探索者による一人専有状態が継続中。

 この先では、類を見ないぐらいの大型、かつ、ここでの食事経験者ならそれを数十年越しで後悔するほどの不衛生極まりない、不浄悪臭汚濁絶望厨房へ躊躇しつつも踏み込む。

 その他、従業員部屋や畳敷きの宴会場大広間など、多層階構造の建物には意外とも言える数の部屋が存在をしていた。



つづく…

地下の部屋から」 昭和の栄華、廃墟ドライブイン『かどや』の夢.5 

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