チニカ山荘 鳥居
 『チニカとはなんぞや?』と悶々としながら、跳ねる小石が車のボディーを傷つけてしまうことに細心の注意を払いつつ、車を矢印の方向へ走らせていく   

 途中、手製の鳥居を発見する。

 長期間、風をサイドより受け続け、歪んだ格好に。

 石の並びはストーンヘンジでも意識しているのだろうか。



チニカ山荘 ダート
 予備知識としてここの情報を全く持ち合わせていなかった。視界にゴールが見えない。

 これほど心細いものはない。

 この時点でもう既に何回も引き返そうかと思ったが、断念をしたら次来る機会が十数年後だと自分に言い聞かし、前だけを見つめて走り続ける。



チニカ山荘 90
 チニカまで900m

 先程の黄色い看板より300m進んだことになるが、荒れた林道のクネクネ道なので、低速走行を強いられるということもあり、予想以上に時間はかかる。

 チニカというのがスキー場のことだとしたら、道はやがて急勾配になり、一般的な乗用車で辿り着けるのかという心配もでてくる。



チニカ山荘 曲がり
 向こうからトラックでも爆走してきたら、正面衝突事故死確実。

 静まり返った山の中、申し訳程度に作られた小道をひたすら進んでいく。

 チニカ☓mという看板だけがあり、具体的な内容が書かれた看板の設置は無し。僕のように飛び込みでの訪問者にしてみたら、この先に何があるのか全くわからない状態。

 これは廃道なのか、それとも現在も使用されている道なのか。



チニカ山荘 リフト
 山頂に到着したのか。ロープウェイかリフトの終着地点まで来た。

 山道というほどの険しさもで無かったので、これだったらハーレーのような重量級で車高の低いバイクでも大丈夫。



チニカ山荘 リフト2
 古そうではあるが、いつ頃まで稼働をしていたのだろうか。下の発着場所の周囲は人影も無く、ここへ数多くの人々がやって来ていた、”かつて”の光景が微塵も想像できない。



チニカ山荘 レガシー
 この様子だと、廃線後、数十年は経過している。

 距離表示の看板はそんなに風化はしていなかった。

 よって、チニカとは、現在もあるとするならばスキー場では無いということか。



チニカ山荘 滑車
 この鉄の滑車がゆっくりと回転をし、三角のスキー帽を被った少年少女達が引きも切らず押し寄せていた・・・そんな時代があったのかと、にわかには信じがたいような、寂しい場所に錆びた鉄柱がたたずんでいた。



チニカ山荘 操舵室
 動力部か操舵室か。人影も面影もない。

 ここで、体を反転させてみると・・・



チニカ山荘 反転
 周囲の緑に映える鮮烈なパッションレッドと、泰然とした雲を思わせるホワイトに塗り分けられた、俗に言う山小屋だろうか。小屋にしては規模がでかい。

 営業中のようにも感じられる。奥の建物の上部分をよく見てみると、いくらかの損傷を受けている様子。

 辺りは自分の服の衣擦れと草を踏みしだく音以外の物音は皆無。



チニカ山荘 荒廃
 駆け寄ってみると、そこはかとない荒廃感が漂っているような・・・



チニカ山荘 玄関
 これが玄関入り口。「チニカ山荘」とは宿泊施設なのだろうか。

 山登りなどしないのでその方面には疎いが、山荘に対する知識といえば、「好日山荘」というアウトドア・ショップがあったなぁ~、という程度。



チニカ山荘 メニュー
 玄関のガラス戸をのぞいてみる。 

 本日のメニュー コロッケ定食 700円

 これまた、随分とお高い値段設定だ。ここが仮に宿泊施設だとして、客層としては、ユースやとほ宿、ライダーハウスなどを利用するような人達が主だと思うが、財布の紐が人一倍固い彼らがこの値段で納得するのかどうか。

 ちなみに、OKストアに行くと、六個入りの冷凍コロッケが、百円で売っていたりする。こちら(チニカ)のは手作りの可能性があるかもしれないが・・・

 玄関には鍵がかかっていたが、中へ入ることはそれほど難しいことではなかった。

 ”荒くれ探索”という表題は、ここへ至るまでの道のコンディションのことではなく、または、自身の感情の高ぶりでもない。実は・・・チニカ山荘が受けたある災害のことであった   



つづく…

「人の気配とえぐられた壁」 廃墟、『チニカ山荘』荒くれ探索.3

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