平壌 校内碑
 プロパガンダ映画の一場面をみているような授業見学を終え、校内を移動する。



平壌 舞台
 日本の小中学校の体育館と比べると半分ぐらいか。純粋な客は僕ひとりだけ。子供たちは待ち構えていたようで、僕が体育館へ入るやいなや、演奏を始める。

 数分すると、中国人観光客もやって来た。



平壌 合唱
 館内が薄暗くなりライトアップされるとムーディーな雰囲気に。合唱団も加わり、よくわからない歌をうたいだす。

 中国の田舎の外人観光客はまず来ない地の簡素なバス乗合所で、片手にあった「地球の歩き方」を雑貨屋店員に”まじまじ”とみられた時のこと。少しすると待合室に大音量で千昌夫の「北国の春」が流れ出した。中国人流のもてなし方なのかもしれないが、あまりのことに顔が真っ赤になり思わず下を向いてしまった。

 中国大陸の最果てのような地で、年齢はどう見ても十代の若い女性が、僕のことを歓迎してくれての気遣いから日本の曲を流してくれるという、その妙なセレクトもあり気恥ずかしいながらも、孤独な一人旅で人の優しさを身にしみて感じることができた良き思い出。

 ここ北朝鮮ではそういった配慮はないようだが、生徒達は上から命令されているとはいえ、手抜きをするようなこともなく全力で、人のまばらな体育館全体に響き渡る美声をもって、僕のために歌い上げてくれた。



平壌 コミュニケーション
 ステージが終了すると、合唱団の人達が舞台から降りて来る。

 すると、彼女達が僕や中国人観光客達に向かって「一緒に踊りましょう」と言い、華やかな?日中朝のダンスショーみたいなものが始まる。

 さらに、女学生達は手と手でアーチを作り出し、そこをくぐれと僕らに促す。北朝鮮の女子小学生や女子中学生によって架けられたハンド・アーチを、いい歳のおっさん達が赤面をしながらくぐり抜けることに。

 どういった意図があるのだろうか。

 政治家のドブ板選挙やAKB48の握手会をみてもわかる通り、”握手”というのもは人の潜在意識にがっちりと食い込めるものなのである。人肌で力強く微笑みながら握られると、まるで自分の内の芯を掴まれたかのような感触がある。肌接触による刺激と肌熱により移される情感は、記憶をより研ぎ澄まさせて、同時に体へ深く刻み込まれる。

『”かの”人が、その他大勢でしかない俺に  ほんの一瞬ではあるが  優しく接してくれたんだ!』といったふうに、本来、手の届かない存在の人が僅かの間でも自分だけとの時間を共有してくれたことに、尊ささえ感じてしまうのだろう。

 ここでいう”かの存在”というのは、僕のような年齢層からみる”小中女子学生”のことを北側は想定しているのかも(考え過ぎか)。

 つまり、心理面での強い印象を残すことで、リピーターとして、または日本においての北朝鮮観光の宣伝活動を担ってもらいたいとの、期待と思惑があるのではないか。



yo-7
 『ハンド・アーチとはなんぞや?』という方もいるかもしれないが、その最中の写真は撮れなかったので、一例としてあげると、上のようなものである。

 僕がこれを体験したのは、小学校の入学式以来のこと。上級生がやってくれたが、意外にこれが楽しくて、子供心に、『手間を掛けてもらい大変ありがたい』と感じ、その記憶は薄れることなく、今も時折、節目節目で心地よく頭を過(よぎ)る思い出だ。



boy
 手と手のコミュニケーションによるその効果は、政治家やAKBの例を上げるまでもなく、この最上の溢れ出す彼の笑顔をみてもらえれば、クドクド説明するまでもないだろう。



平壌 エレベーター
 学校での歓迎パーティーが終了し、ホテルに戻る。そして夕食。

 食後に「ボーリングをやりませんか?」とガイドに誘われたので、ホテル地下にあるというボーリング場へ行くことに。



平壌 トイレ
 宿泊をしているホテルのトイレは”TOTO”製だった。

 

平壌 レーン
 ボーリング場といってもレーンは三レーンのみ。

 僕のグループの他に北朝鮮の人達のグループもいたが、朝鮮労働党の幹部でもないと、ここではおいそれとプレイできないだろう。なぜなら、僕自身が、数プレイをやったあとの会計金額をみて仰天してしまうぐらいなのだから。



平壌 モニター
 一応、コンピューター対応。



平壌 グラフィック
 プレステ1同等のグラフィック。



平壌 会計
 この日のメンバーは、僕と通訳ふたりにドライバーの計四人。

 そこそこ盛り上がったものの、数ゲームやった後の会計が約百五十ドルもして、一気に熱気がさめてしまう。当然というのか、暗黙の了解なのか、割り勘にしようとも言えず、ふたりの通訳とドライバーの分も僕持ちなので、法外な請求がくることとなった。

 あらかじめ一ゲームがいくらなのかは聞いていなかったし、請求書をみても数字しかわからない。

 いろいろホテル側と結託してやっていそうだが、ここで駄々をこねて暴れても覆りそうもないので、なく泣く、僕からしたらかなりの大金を、たかがボーリングに気前よく払うことした。


 明日は念願の、北朝鮮と韓国の軍事境界線である「三十八度線」へ行く。韓流ファンにはお馴染み、イ・ビョンホンが紛れ込んで悲劇的な結末となった映画の舞台でも知られる、JSA(共同警備区域)とDMZ(非武装地帯)にも。板門店がある場所だが、すでに韓国側からは行ったことがあるので、その違いを確かめてみたいと思う。
 


つづく…

「軍事停戦ラインでざわつく中国人」 バックパッカーは一人北朝鮮を目指す.14