裏廃屋-97
 このようなブログをやっている手前、普段から廃墟や空き家物件の更なる開拓に余念がない。その手法としては自転車に乗って本来の目的地へと行く場合に、わざわざ遠回りをして知らない路地をとにかく巡るという方法がある。

 他にも読者から寄せられる情報だったり、グーグルマップを衛星写真モードにして荒れた屋根の家を探しまくる、なんて方法もある。ちなみに、ブルーシートのかかった屋根は要チェックポイント。

 今回の「空き家と」いうか「廃屋」も、そのような手段からもたらされた珠玉の一軒と言っても良い物件。

 東京都三鷹市の住宅街奥深くに眠っていたとある空き家。近所の人は見て見ぬふりをしているのか、道端の石のような存在感であるのか。その一画だけが荒れるがままの放置状態。




裏廃屋-90
 二つの顔を持つ家。漆喰と脱色気味ではあるが朱色に着色された板目。二層。

 お隣のプラモデルのような家ではなく、家主の意見が反映をされた注文建築であったのではと推測。スキー場のロッジ風に見えないこともないが、家主の元職業や趣味などとの関連性はあるのだろうか。

 板の部分を建物のシルエットと捉えた場合、僕は思わずかつて積丹の山の中で偶然発見をした廃墟、「チニカ山荘」とダブらせて見てしまうことに   

廃墟、『チニカ山荘』荒くれ探索

 積丹岬手前の山中で発見をした荒廃した幻の山荘。周囲に廃リフト以外の人工物など一切ない大自然の中において、極めて異質で鮮烈な色を纏っていた山小屋。緑の木々の中では激し過ぎる赤色の塗料の壁。なぜともすると目障りでもある赤色に彼は塗ってしまったのかと。

 同じような家が並ぶ退屈な光景のこの三鷹の住宅街にて、眼を引く赤い板目の三角屋根を再び目にした僕は、『もしやそういうことだったのでは・・・』と、積丹の山の中での記憶が俄に呼び戻される。

 雪山の吹雪の中でも、あの色なら登山客も宿を見失うことはないだろうということ。例え視界数メートルの雪嵐でも、リフトから降りれば、薄っすらと遠目にチニカ・レッドの山荘が、きっと導いてくれるはずだと。


 
裏廃屋-93
 我が物顔で写真を撮りまくり、中から人が怒鳴り出て来たらちょっとした騒動になる。

 門の前を三往復ゆっくりと歩く。すれ違いざまに横目でドアの状態を注意深く確認。
 


裏廃屋-102
 ノーネーム。表札のあった場所。

 住宅密集地なので家が立ち並んではいるが、こちらへの関心は驚くほど薄い。それぞれの家に人の気配はある。空き家の調査をしている役所の人間とでも思っているなら好都合。僕の格好は相当かけ離れてはいるが。



裏廃屋-100
 ほぼ全ての空き家の郵便受けはガムテで塞がれているのが一般的。

 素材的にガムテの粘着力を阻むような材質のようにも見える。そんなこともお構いなしに、真新しい折りたたまれたチラシが一通。

 完全空き家なら、受け口に溜まっているか、裏に紙の山ができているかなのだが。

 果たして   



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 他には例を見ない傾斜がある塀。かなり独創的。泥棒侵入のリスクまで冒して塀の高さを下げるようなデザインを採用した意図とは。



裏廃屋-101
 後付けらしいインターホンが敷地内側へと。後で裏側に回ってみれば、機種から時代が考察できるだろう。



裏廃屋-94
 塀沿いに周辺部調査。

 後に、この写真の意味が塀の中で明らかになる。

 規制値違反確実だろうというマフラーの轟音を轟かせて、高齢者の乗ったハーレーが後方の家に入っていく。壊れた電灯を一眼のカメラで撮る男を見て『頭のおかしい人』と思われている可能性が大いにあり。



裏廃屋-96
 石垣の塀の菱形穴から中をのぞく。

 これはもう完全・空き家だろうと、今までの経験上、八十パーセントの確信を持つに至る。とある理由をもってして。



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 山荘風空き家へと一歩を踏み出した僕は、取り敢えず、シニアカーへと駆け寄ってみることにする。



つづく…

「夫婦の残照と希望の芽」 山荘風の空き家、ぬくもり探訪.2