落合廃アパート-13
 情報提供者より、「崩壊間際の、辛くも並びたつ二軒の廃墟アパートを、新宿の上落合で発見です。今なら、すんでのところで、撮影に間に合うかもです。でも、これからの梅雨を乗り越えられるかどうか・・・。是非、『退廃、空き家ファイル』入りの早急なご検討を   」との、切実な報告を受ける。

 他人の文章をコピペして多少言い方を変えただけで、記事がいっちょうできあがりの、キュレーション・サイト。ライターの成果報酬は一つの記事につき、ワンコイン以下だという。暇な学生や主婦の内職なのだから、まぁ、そんなものだろう。

 コピペをまとめただけの、まとめサイト。人のサイトを我が物顔で並べただけの、NAVERまとめ。

 これらはいずれも、人のふんどしで相撲を取るという、楽して小銭を儲けようとする人達による、何の生産性もない、ネット上における文化の破壊行為だ。彼らの改変されたり歪曲されたコピペにより、本当に必要な資料だったり、求めている正確な情報が、埋もれてしまうのである。

 朽ちゆく前の、味わいのある廃屋を見てまわりたいが、ネットで調べていざ行こうと思っても、ネット上には、自分で実際に現地へ赴くことなく不確かな情報をあちらこちらから寄せ集めただけの、いわゆるまとめサイトが氾濫していて、参考となる一級資料が全くない   

 そんな声にお答えすべく、企画されたのが   もう何度語るのだと自慢にも聞こえてしまいそうだが、今では、「廃屋」と検索をすれば、そのブログの記事が上からズラリと並ぶという、当ブログの主催者による   厳格な審美眼のもとに編纂された、妥協を排除したゆえ、登録数が目下伸び悩み中の「退廃、空き家ファイル」。

「退廃、空き家ファイル」

 なじみのある情報提供者であるとはいえ、それと「退廃、空き家ファイル」の審査はまた別物。

 果たして、唸らされるような街中の廃墟に、巡り会えるのか、どうなのか。「退廃、空き家ファイル」の次の一ページに、見事、加えられるのか。

 現場へと、実際に足を運んでみることにした   

 情報を下さった、サブ様、ありがとうございました。
 


落合廃アパート-4
 まるで睨み合うようにして並びたつ、二軒の萎びた廃屋と、それらを仲裁でもしているかのように、勇ましくも中央で屹立状態の、棕櫚の木。

 最寄り駅は東京メトロ東西線の「落合」駅だが、運賃をケチるため、僕はJRの「東中野」駅から徒歩で行った。じゅうぶん歩ける距離です。



落合廃アパート
 割れたガラス窓に、モルタルの黒ずみ。崩れて波状に歪んだ庇。

 第一印象は悪くない。

 名前は「雲仙荘」。家主は九州出身者で、夢破れて都会の地を随分と前に去って行ったのではないかと、勝手な推察をしてみる。



落合廃アパート-3
 すぐ近くに、小学校がある。先日も、忌まわしい事件が起こったばかり。撮影には細心の注意を払う。

 あらぬ方向を向いた雨樋パイプ。一階部分の、瓦礫の集積。

 見捨てられ、時を積み重ね、荒れ果てていった廃屋に違いない。



落合廃アパート-5
 トタンの雨戸で封印された、タイムカプセル。

 中をのぞけないものか。



落合廃アパート-2
 剥き出しの内部からのぞかせる瓦礫類。見た目以上に傷みは酷そうだ。



タイトル
 かつては、住民のプライバシーのため、木々が植えられていたが、役目を終えた今では、無残に途中で切り落とされている。

 悪臭さえ漂ってきそうな暗い色合いにはそそられてしまう。



落合廃アパート-7
 柱がやられている。倒壊、待ったなし。



落合廃アパート-14
 まるで「戸塚警察署」が管理者のような書き方だが、これは立ち入る人への牽制の意であり、現在の所有者か管理者は別にいるのだろう。



落合廃アパート-11
 小学生の通学路でもあるのに、これでは危険すぎやしないか。であるからして、退廃度は高くならざるをえないが。



落合廃アパート-6
 その下校途中の小学生が、ぶら下げたのか。ぱっと見、意味がわからなかったが、見つめること数分。クリスマスツリーを擬人化したものと判明。片手にはキャンディー・ケーン。



網
 老齢さの滲み出ている建物に相反して、比較的新しい器具。

 近所の人が、みかんの皮でも乾かすのに使用しているのか。廃屋の門を選ぶ意図は不明だが。



ハンガー
 何度目のハンガーか。

 行く先々の廃墟でお馴染みのアイテム。



落合廃アパート-12
 都会で満喫できる、荒涼としたたたずまい。周囲数メートルが、昭和の高度経済成長期の負の遺産。束の間絶望に身を委ねる。



落合廃アパート-10
 墓標を見上げているような鬱々たる気分に。これは久々の良物件。



落合廃アパート-8
 ところが、ちょっとまてよと。

 以前にも何度となく、見るからにうらびれたアパートでありながら、実はたった一部屋だけ、ご在宅の方がいたなんてことがあった。

都会の森に埋もれた廃アパート

 真意を確かめるべく、僕はわざわざ、検証のために再訪までしたぐらいだった。

 その窓には、蛍光灯のような明かりが仄めいて見えないこともない   



落合廃アパート-15
 この次点で、「退廃、空き家ファイル」入りが決定をする。

 屋根が崩壊をしていて、さらに二階床が崩落。一階の部屋の窓へ直に陽の光が届いていたのだ。

 廃アパートとしては初めての選出になるこの「雲仙荘」であるが、この惨状を目の前にすれば、誰しもが納得をしてくれるに違いない。




No.004 「二軒の睨み合う墓標・雲仙荘」【退廃、空き家ファイル】

訪問困難度 ★ 東京メトロ東西線の「落合」駅のすぐ近く

荒れ果て度 ★★★★ 危険なレベル

付加価値度 ★★★ 睨み合う墓標のような二軒の廃アパート

退廃度 ★★★★ 小学校の通学路ながら、放置されるがままに


 
つづく…