この小説は、僕のブログ記事にインスパイアされた方が書き上げたものです。自分ひとりで更新を続けていることに息苦しさを感じていたこともあり、そういったこともいいのではないかと、掲載へと踏み切るに至りました。

昭和の栄華、廃墟ドライブイン『かどや』の夢

 他にも”我こそは”という方は、当ブログの記事に則したものではなくても、退廃的、郷愁、昔日の夢、などが沁み出ているような小説、街角退廃探索記事、画像コレクション、他、記事になりそうなものがありましたら、メールやメッセージ欄よりお送り下さい。



かどや みずたまり
written by SABU

 その日の朝、マネージャーの有田がネクタイを締める時間ももどかしく真っ直ぐに向かったのが、ホール入口の特設台(廃処分の椅子を活用)に置いた応募ボックスだった。

 上の壁には手書きの大きなポスターが朝日を受けて輝いている。もちろん有田の手によるものだ。

『わたしの名前をかんがえてね☆』

 性別:女の子
 性格:おてんばだけど実はさみしがり屋さん。ポテトくんのガールフレンド。
 趣味:テニス・じゃがいも掘り
 好きな食べ物:かどや特製サクふわフライドポテト

 有田は特設台の上から応募ボックスを取り合上げると耳に当てて小さく振った。色紙を張った空き箱の上で、切り抜いた厚紙のポテト君と名無しの彼女が小刻みに震える。


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「カサカサ」(ある!・・それも1通や2通じゃない!)

 急いで応募箱を裏返すと、空け口を留めたセロファンテープをがりがりと爪で引っ掻いて剥しにかかる。箱の隙間に指を突っ込んで引き剥がすように箱を開いた。箱の中身が特設台にぶちまかれる。

 折りたたんだ紙片が1、2・・全部で5通。それに牛乳瓶の紙キャップが2つ(百円玉の形に切り抜いてある。ガチャガチャに悪用しようとして失敗した腹いせに入れたのだろう。)。


ハ
 葉っぱが6枚だった。

 応募数が葉っぱの数に負けたことなど微塵も気にせず、震える手で応募用紙を開いた。

『ポテトちゃん』
『POTATOCHAN』
『POTETOCHAN』
『ポテトちゃん』
『○○○(悪戯と思われる汚い言葉。有効票から除いた。)』


pote2

 ローマ字読みはひらがな読みに併合してよいだろう。すると彼女の名前は応募者の全員一致で決まったことになる。

「ポテトちゃん・・・か。」

 その時、突然館内放送から門井オーナーのひび割れた声が響いた。

「事務員は全員、食堂に集まってください・・・」

 2度。3度。単調に繰り返すオーナーの疲れた声色から有田は何か不吉な響きを感じ取った。