六本木-3
 森ビルが、港区の虎ノ門や麻布台エリアの土地を買収しまくったものの、バブルやその後の景気後退が理由で、再開発計画が遅れに遅れることになる。結果、昭和で時間が静止したままの巨大な廃墟町が、東京の超一等地に、そっくりそのまま取り残されることになり、現在に至っているという   

 話しには聞いていたので、行こういこうとは思っていたが、廃墟というのは行き時が難しい。特に今回の案件のような立ち退き系。

 訪問が早すぎると、立ち退きに対して激しい抵抗をしている住人がまだいたりして、従順で一応身をわきまえているような僕にでさえ、殊更絡んできて、とんでもない冷水を浴びせるような、罵りを受けることさえある。

 実際、そのような目に遭い、公衆の面前で大声で怒鳴られるようなことがあった。騒動の相手は、立ち退きを拒む高齢女性と、彼女の支持者である左翼系の男や、サブカル系雑誌のライターのような人。最後には双方打ち解けるような結果にはなったが。

五輪解体、期限直後の『霞ケ丘アパート』へ行って来た

 遅すぎてもいけない。

 偶然にも、調布飛行場横の旧関東村跡を自転車で通ったら、それまであった米軍住居跡が綺麗に取り壊され、更地となっていたのを確認。敷地を囲う金網には看板があって、「イトーヨーカ堂建設予定地」との表示。

 この分だと、府中にある、巨大米軍施設跡と名物のパラボラアンテナも、時間の問題だなと、米軍基地跡に親しみを持つファンへ警鐘を鳴らすべく、すぐに行ってレポート記事を書き、その結果、かなりの好評を博すことになる。

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 最後の最期であるし、次は無礼講で潜入(基地跡)取材だなと、頃合いを見計らってはいた。

 運悪く、愛車である、イタリア製のスクーターが不動になってしまう。車では駐車料金を取られるし、電車は駅が遠くて不便な場所にあるので、府中基地跡訪問は、バイクがとても便利。

 故障部分のパーツを取り寄せたり、そのパーツを取り付けるために道具を発注したりと、いたずらに時間は過ぎてはいったが、まだまだ施設解体は先のことだろうと、根拠のない余裕を見せていたとら、一緒に廃墟アパートへ行った人から、「確かもうスチール製の壁が築かれていて、取り壊し間近ですよ」と聞かされることに   

 いよいよ最後の突撃だなと心構えはできていたものの、スクーターが一向に直らず、だらだらと過ごしていると、ある日、何気なくツイッターで調べ物をしていたら、府中の米軍基地跡が、パラボラアンテナだけを残して、既にほぼ全て解体されてしまったという情報を、知らされることになってしまう・・・。


 つい先日、今回訪問をする”麻布台”に、日本一高い森ビルが建てられるとの発表がされる。

 都心のど真ん中、超一等地の虎ノ門や麻布台界隈に残る、取り残された巨大昭和廃墟街の開発計画の着工期日も正式に決定。もう、待ったなし。遅すぎることもない、早すぎることもなく、今が行き頃と、過ちを繰り返さないためにも、早速、現場へと行ってみることにした   



六本木-190
 東京メトロ日比谷線「神谷町駅」で下車。

 太陽の照り返しも眩しい、大都会の摩天楼を見上げながら、大通りを歩いていると、保守のマドンナ、片山さつきさんのくすんだ講演会連絡所看板が。幽霊屋敷のような美容院の店頭。やっているのか、やっていないのか、どうにも不明。

 この退廃感でピンときて、すぐ横の路地を入ってみる・・・



六本木-191
 廃墟町の門柱に相応しいような、使われていない雑居ビル。



六本木-194
 廃墟侵入者を阻止しようと、ベニヤのボックスが立ち塞がる。板一枚だけだと、手摺を利用して容易に突破をされてしまうので、箱型を据えたようだ。



六本木
 さらに進んで行くと、高台には燻されてすすけたような廃屋。ここからはもう、目に見えて様子が違って来る。



六本木-2
 緑の蔦が覆う、旧式の木造家屋三並びに、僕もかつて行ったことのある、インドネシアの「カリマンタン島」にあるような、密林化した、バナナでも採れそうな密度の濃い茂みまである。



六本木-193
 森林浴もできそうな涼し気な都会の森に入ろうかと、直前まで行ってみるが、そびえる金網と施錠された南京錠により、侵入は出来そうになかった。



六本木-192
 下の広大なアスファルト・スペースは、とうの昔に買収完了済みでさっさと更地にし、最近まで駐車場として使用されていた様子。

 この町のタイムリミットは、確実に近づいている。



六本木-4
 坂道を登って行くと、左には、長髪の苦学生がフォークギターを弾きながら、今にでも顔を出しそうな、昭和の学生寮のような、アパート。錆びたトタン屋根を囲んでいる。

 真夏のような熱さの日、染みだらけの長袖シャツを干す、住人   
 


六本木-5
 集落と呼んだ方がいいのかも。



六本木-6
 反対運動をしている人はもういなさそうなので一安心。



六本木-7
 登りきったところに、無数のヘデラが繁殖する家。



六本木-10
 右を見上げると、「アークヒルズ 仙石山森タワー」。見下ろす、高台の下の谷底のような地には、昭和から時間が止まったままの、まるで貧民窟のような、廃墟町がひろがっている。



六本木-11
 黒澤明監督の映画「天国と地獄」にあったような、貧民労働者街から、山の上の白亜の豪邸を見上げるような、位置関係。

 暗い谷底へと下って行ってみる   


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三船敏郎
東宝



六本木-12
 下り坂の途中、昔話しに出てきそうな、瓦屋根の木造家屋が出現する。



六本木-15
 用途不明の危険な階段がありました。



六本木-16
 誰もいなくなった広大な廃墟住宅街。木々は伸び放題で、日中でも薄暗いまま。

 奥路地の先のその先のヒダのような狭小路地へも、かつての住人達の痕跡を求めて、数十年もの長期に渡った、不可解な立ち退き問題の謎も探りつつ、入り込んで行ってみる   



つづく…