高月城-36
  バイクでにけつをしてやって来て、ここに止めるような猛者はいたのだろうか。



高月城-32
 昭和の家住みの若者達が、悶々として暴発寸前の性欲をたぎらせ、はやる気持ちをおさえつつ、横へ横へと我先に車を並べていた、あの日、あの頃。

 その中でも多かった車種は、ホンダのプレリュードか、トヨタのソアラか、日産のシルビアあたりか。現在だったら、ダイハツのタントかスズキのハスラー、良くてトヨタのプリウスなのだから、今は好景気だとマスコミが囃し立てるのも虚しく、日本は確実に斜陽国家、衰退への道をたどっていっている。



高月城-9
 廃墟でお馴染み、数十年干しっぱなし物件。多分、ランチョンマット。
 


高月城-10
 その昔、この入口に胸を高まらせていた常連の元八王子青年も少なからずいたはず。

 思い出に浸ろうと訪問しても、メインの入口も同様に閉ざされたまま。



高月城-19
 昭和の名残り、大量の瓶ビール。今の時代、瓶ビールと車のセダンにこだわるのは、お爺さんばかり。

 釜飯の器は、横川駅の「峠の釜めし」か。



高月城
 電源機器の横のプレートをみると、昭和58年の表記を確認する。今までみた高月城の施設内の痕跡では一番最古のもの。

 ラブホ「ホテル高月城」の営業開始は、昭和58年(1983年)、東京ディズニーランドがオープンをした頃とみてほぼ間違いない。



高月城-33
 駐車場付近からの侵入はひとまず諦め、裏庭へと出てみる。

 親子の楽しそうな会話が、竹林の向こうから聞こえてくる。大きな川があるので、川辺で家族が魚とりでもしているのだろう。

 その声量の強さから、直下にかなり複数の親子連れがいるものと思われる。

 子供達に登ってこられて、興味深げに僕の撮影している様子を見られても気まずいので、砂利を踏む音さえも躊躇し、息遣いさえ圧し殺すように、ひっそりと行動をして、災いを最小限にとどめる努力をする。



高月城-34
 子供達の遊ぶ声がダイレクトに敷地内へと響く。わき立つ、俺はここで今何をやっている感。



高月城-37
 バルコニー・スペースが備え付け。過剰な設備も債務増大の原因か。



高月城-38
 気づくと、ゴルフボールより大きそうな巨大な蜂が、僕の頭上1.5メートルぐらいを旋回している。裏庭を移動中ずっと付いて来る。一旦、駐車場内へと入ると、追いかけては来ない。

 駐車場から裏庭へ再び出てみると、すぐ蜂は寄ってきて、僕の頭上を回り続ける。裏庭から表側の庭へ出ても執拗に追って来て、正門手前にある別棟の管理人の家屋らしい建物の前まで来ると、やっと蜂は僕への追随をやめて何処かへ行ってしまった。



高月城-39
 最上階の一室、ベランダの天井に、不気味なデス・スターのような蜂の巣を発見。

 ここから、テリトリーを主張する偵察蜂みたいなのがやって来ていた様子。

 蜂に刺されて”アナフィラキシーショック”を起こしたら、通りがかりの救助は絶望的。地味なラブホ廃墟なので、奇特な訪問者は数ヶ月にひとりいるかどうか。もし訪問をする人は、蜂対策には万全を尽くすことをお勧めする。



高月城-40
 M字ひしゃげのトタン屋根。やっぱり中央の柱は必要ですね。



高月城-41
 外壁に剥き出しの非常階段は最上階まで行ける状態にある。

 階段を上へと登りつつ、各階の非常口の手回しノブ確認をしてみることにする   

 

つづく…

「非常階段にて最上階へ」 廃城と廃ラブホへの旅.4

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