小岩-7
 淫靡な妖気さの漂う、全身派手なピンクでありながらも損壊著しい、一部の小岩市民の間で密かに口伝えられて来た、家主不明の廃墟アパート「ピンクハウス」。

 袋小路奥左には、薄ピンクハウスがある。パティオに繋がる少路地を挟んだ向かい、並びには、二つのピンクハウス群のオーナーだと思われる方とその大家族が住んでいたらしき、三階建の豪邸ではあるものの、今は夜逃げでもしたのか、抜け殻状態の家。

 ある年齢を超えた小岩出身者によるクラス会では、毎度話題にもなる、語り草でもあるという、ピンクハウス    その背景を知るためにも、薄ピンクハウスと豪邸の間の裏庭部分へと、踏み込んで行ってみることにする・・・・・・



小岩-21
 少路地を行った突き当り、薄ピンクハウス脇にあったのは、灯油のポリタンクに、バケツが二つ。



小岩-10
 依頼人からは、東京オリンピックを前にして失われていく、小岩に残る昭和の面影をとどめて欲しいとのことで、主に二つの廃墟の紹介ぐらいだったはずだが、気づいてみれば、裏庭を漁っているという、いつもの僕の行いがそこにはあった。

 三軒もの大型家屋を放置したまま、大家族が何処へ行ってしまったのか、他人事でありながら気にはなるので、まずは第一の考証材料として、このバケツの中を確認してみることに。



小岩-11
 至って普通の、ボウフラも湧いていない澄んだ防火用の水。

 防火用水まで用意する周到さがありながら、郵便ポストの名前はそのままであるという理不尽さは、どうしたことなのか。



小岩-12
 廃墟における、不法投棄のビッグ・ファイブに入るほどよく見かける、ズボンプレッサー。

 ちなみに、一位=バッテリー、二位=タイヤ、三位=折りたたみベッド、四位=マットレス、五位=ズボンプレッサー (自分調べ)

 その他、オーブントースターなど、お馴染みの物が捨ててある。



小岩-20
 顔を反転させ、頭上を見てみると、薄ピンクハウス二階部分のベランダが。

 安っぽいスダレがやはりそのままに。



小岩-13
 豪邸廃墟の裏側部分。かなりの年月、そのままであることが見て取れる。



小岩-15
 砂埃が積もった、樹脂製の漬物石。

 毎朝、自家製の漬物を食べていたようです。



小岩-16
 ハイテク素材使用、というわけではなく、かなり旧式のオーソドックスなゴルフクラブセットのようだ。

 数セットあるので、バブルの頃、家族でゴルフを楽しんでいた可能性も。

 現在、一部の数字だけを抽出してみれば、あの狂乱のバブル期並の好景気であるの見方もできるよなのだが、実際、今の世の中で、家族でゴルフをプレイしに行く人達が存在するのだろうか。当時ならあっただろう。

 このご時世、ファミリーで揃ってゴルフに行くような光景に出くわしたら、滑稽なギャグ漫画にしか見えない。時代の背景から浮いてしまっているからだ。

 よって、道具の塵のつもり具合からも、90年代ぐらいまでは、家族がここで暮らしていたと大まかにでも言えるのではないだろうか。

 もしかすると、こられの方々がすでに天界へ召されている可能性も大いにあるわけだが、こういった残留物調査は毎度のことであり、自分としては声無き亡者の代弁者となってあげようかぐらいの使命感さえ勝手に感じているので、もはや躊躇することはなくなってきている。



小岩-17
 廃墟豪邸の裏側部分。

 その密集した原生林具合から、およそ数十年は人の手が入っていない様子   

 ここまでやるのは自分ぐらいだろうと思いつつ、突き当りまで行って確認したが、目ぼしい物は特にない。



小岩-19
 後を振り向くと、豪邸廃墟勝手口のガラス窓に映る、薄気味の悪い何か・・・

 近寄ってみる。



小岩-22
 小学校の理科室にある人体模型かも・・・と思ったが、良くわからず。

 立ち昇り染み出る異臭を封じ込めるかのように、大層ご丁寧に、大きなビニール袋で密封。

 鍵はしっかりと施錠されていた。



小岩-29
 結局、家族の痕跡らしい物は、ゴルフクラブセットぐらいしか発見できず。

 年代特定も、かなり大雑把な結果とならざるをえないことに。



小岩-35
 足元にあった「味付さんま」の缶。道東のさんまといえば、根室か釧路か   



小岩-36
 一部の小岩出身者の思い出を、東京が変わってしまう前に、記憶にでもとどめることに、なんとか成功したかに思える。

 数年後、東京オリンピック後にでも、もし訪問する機会があったなら、その時、ここに存在するのは、更地か、月極駐車場か。老朽化の進行した、そのままの建物なのか。

 それとも、一階がコンビニで、上はマンションと最上階はオーナー部屋の「ピンクビル」であるのか。

 今さら、臆面もなく白々しくもあるが、ここまできたらもう、世帯家族全員の幸せを、切に願わずにはいられない   




・・・・・・・・・僕がここを訪問してから、数ヶ月が経ったある日のこと。

友人からピンクハウスが解体されていると聞きました   

 そこには、こんな画像も一緒に添えられていた。


正面
 僕が空き家問題をこのブログで告発してからというものの、それに突き動かされるかのようにして、行政が”所有者不明土地”を声高に叫び出し、それは建築業界のロビー活動であったのかもしれないが、NHKをはじめとするTBSやテレビ朝日なども、猛烈に空き家所有者不明問題をニュース番組で特集しだしたのである。

 取っ掛かりはTBSの笑福亭笑瓶(山口良一?この際、どっちでもいい)のリポートだったと思う。埼玉の駅近くにある幽霊貸ビル、下町の住宅街にある小じんまりとした墓場。どちらも、”所有者不明土地”なので、地権者と連絡がつかず、拡幅工事の邪魔になったり、倒壊の危機にあっても取り壊しができなくて、深刻な問題になっているとのことだった。

 笑瓶の放送から数日後、NHKのクローズアップ現代+でも同様の特集をやっていたが、所有者が不明の土地など日本全国にゴマンとあるにもかかわらず、笑瓶と全く同じ場所(二箇所とも)がNHKでも取り上げられていたのだ。

 更に数日遅れで、テレビ朝日でも上記二番組のディレクターと口裏合わせでもしたかのように、同様の場所で取材が行われていた。

 そもそも、”所有者不明土地”なんていうまだ聞き慣れない言葉を、それらの番組が口を揃えて使っていたことに不気味な違和感があった。ワードを検索してみると、引っかかったページは、かろうじて一つぐらいであったにもかかわらず   

 問題になっているのは確かだろうが、それは地域住民が積極的にに訴えているというわけではなく、さっさと廃墟を取り壊して工事に取り掛かりたい建設業界、デベロッパー、などが世論形成を国民に促して国に法律(不明だと壊せない)を変えさせるべく、テレビメディアに口裏合わせを頼んでいたとみて、ほぼ間違いないだろう。国民を巻き込んだ社会全体の問題にして、お国を動かしてちょ、と。

 これと似た現象が少し前にもあった。アマゾンとの値上げ交渉や人手不足によるヤマト運輸の危機と煽った、一連の報道と非常に酷似している。

 まず、大手新聞が一面でヤマト運輸の問題を取り上げると、翌日にはNHKのクロ現でも放送されるという、手際の良さ。あまりに昨日の今日だったので、うすら寒い違和感を感じたのを今でも鮮明に憶えている。

 クロ現のような特集番組は制作に日数がかかるだろうから、前もってヤマト、いや、運送業界の大きな力がNHK他のテレビ各局に加わわったとみていい。

 ヤマトの問題は何も、外部の要因だけではない。後にドライバーへの大量の残業代未払いが発覚をすることになったが、値上げせざるを得ない理由を、アマゾンや人手不足のせいだとマスコミを使って喧伝しておきながら、実は、自社の残業代未払いをひた隠しにし、おおっぴらにまるでうちは被害者でございますと、テレビで国民にお涙頂戴をし、これこれこういう理由なので、お値段をもっと上げさせて下さいよと、願い出る策略に終始した。

 最近、この矛盾(残業代未払いを隠しながら利用者に値上げを迫る)をあたかも、当初から折り込み済みであったかのようなヤマト側の言い訳を代弁するような内容の番組がNHKで放送されていた。ならば、最初のアマゾンと人手不足問題を扱った放送で、ヤマトの残業代未払いに触れなかったことはおかしい。取材で当然判明することであるし。前から未払い問題は燻っていて時々ニュースになっていたが、超大手なのだからそれはもう解決されたような認識が世間一般にはあったと思う。その三つが並べられて取り扱かわれていたら(アマゾン・人手不足・残業代未払い)、国民は渋々でも『そんなに大変なら運賃の値上げはOKだよ』という空気は到底醸成されなかったし、値上げなんてとんでもないと、大きな反発をくらったに違いないだろう。一社の身勝手な言い分は到底受け入れられず、同業者は雪崩れ込むようにして次々と値上げを実行できなかったに違いない。

 ヤマト運輸による(背後にはもち運送業界)テレビを使った国民への広報周知(アマゾンが悪い、人が集まらない)活動が一通り終ると、ヤマト運輸の宅急便の値上げが決められ、ゆうパックや佐川運輸もそれに続いたのは、ご承知の通り   
 


asiba
 大NHKがそんな民間企業の思惑に加担するのだろうか?と訝しる方もいらっしゃるかもしれない。

 かつて、紅白歌合戦のプロデューサーが、大手芸能プロダクションから枕接待を受け、そのことを週刊文春が記事にしたなんてことがあったのは、まだ記憶に新しい。

 枕をしたというアイドルは、誰もが知る元国民的アイドル。実名でメジャーな元アイドルが枕告発をされたなんて、今までなかったのではないだろうか。週刊文春なので信頼性は折り紙付きである。

 組織的にNHKが枕斡旋などしないだろうが、いち個人をつつけば、下半身は緩みっぱなしで、若い体目的で紅白の出場枠をホイホイと大手芸能プロに差し出してしまうのだから、なんとも情けない限り。

 朝ドラの主役だってそうでしょう。バーニングやホリプロなどの、決まった大手芸能プロの女優が代わりばんこ。
 
 小岩のピンクハウスも、そんな行政や資本家の思惑に翻弄された、ある種の犠牲者なのかもしれない。

 オーナーは生きていたのか? 消えた家族は何処?? 取り壊しを決断したのは誰???



中
 昔日の記憶の残滓はとうの昔に葬られた様子   

 思い出を共有する一部の方の声も虚しく、まもなく全てが取り壊しになることが決定したようです。




No.005 「ピンクハウス」【退廃、空き家ファイル】

訪問困難度 ★ 周囲は殺風景ながら、駅からは近い 

荒れ果て度 ★★★ 端々に綻びあり

付加価値度 ★★★★ 中庭に面した三軒もの廃屋を堪能

退廃度 ★★★ 取り壊し決定



完…

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