
度重なる風営法の改正により、パネル写真で部屋を選んで管理人と顔を合わせずに部屋へ直行だったり、鏡張りの浴室や回るベッドといった、いわゆる昭和のラブホテル様式のラブホは、現在は新規で建てることができないのだという。
今も生きながらえている昭和からのラブホテルは増築も改築も不可。
老朽化をしてそのまま朽ち逝くのをただ待ち続けるのみという、昭和ラブホテルはこの先途絶えることが確実な貴重な昭和の裏大衆文化の生ける残骸と言えよう。
昨今、淫靡でレトロな味わいの昭和ラブホを再評価する流れもあり、一部では脚光を浴びてはいるものの、総じて、若者の貧困化により、彼らは手っ取り早くお手軽に漫画喫茶の個室で済ませたり、車を持っていなかったりで利用する機会が減っていることから、特にロードサイド型の郊外の古いラブホテルなどは廃業に追い込まれるケースが目立つ。
そんな昭和からのピンク遺産とも言うべき、アメリカン・モーテル風のラブホテルが密集している場所が、都内から高速道路も使わずに気軽に行ける場所にあるという話しを聞きつける。
なんとか生き残っている現役昭和系ラブホテルに隣接して、ライバルとの競争に敗れ、廃業に追い込まれて廃墟化した廃ラブホテルもいくつか点在している様子。
前回は無謀にも真夏に徒歩で行き、志半ばで倒れかけたが、今回は颯爽とバイクをかっ飛ばして行ってみることにした
脱線した西武多摩湖線の車両を見てきた

以前の反省を踏まえ、「西武球場前駅」からの徒歩は無謀であることから、本日は家からバイクに乗ってやって来た。
ある道を右折すると、途端に様相が一変する。
一方通行ではないのに、大型車なら一台だけで道が埋まってしまいそうな狭い一車線道路となってしまう。周囲は突然物静かな雰囲気になり、これぞ人目を忍ぶ「ラブホテル街道」といった趣きに変貌をする。
緑は多いのに大自然の絶景というわけではなく不法投棄のゴミが目立ちどこかだらしなくて立ち込める猥雑さがせっかくの景観をはなはだ安っぽくしてしまっている。
車への対応とは真逆に、多摩湖周囲のサイクリングコースの充実には目を見張るものがあった。自転車用の車線は二車線を完備。
相変わらず、僕にはとても理解できないのだが、お飾りでしかない作りかけのプラモみたいなヘルメットを被り、ピチピチタイツコスチュームの人達が、揃いも揃ってグラサンを掛け、目的のゴールも無くて虚しくならないのか、同じコースをグルグルと周る人らでそのサイクリングコースは賑わっていたようだった。

この旅荘「みずうみ」は廃墟ではなくて現役。

この発想からして昭和的な味わいがある。

で、すぐ隣が、まず第一の目的地、廃墟ラブホテル「HOTEL アリス」。

バイクは脇に入って行った小道の端に駐車。日陰だし、我ながらベストなチョイス。
カメラバッグを背負って、綻びは無いものかと、行ったり来たりすること、約十五分間

「アリス」というぐらいなので、ディズニーの世界観を表現したお城なのでしょう。

旅荘「みずうみ」が見える。
「みずうみ」も光沢のある車とかがとまっていなかったら、廃墟と見間違えられる一歩手前か。僕も初見では色めき立ったぐらいなのだから。

かつて営業中には、夜に怪しい色とりどりのネオンを煌めかせて、シャコタンセダンの若者達を大勢、招き入れていたことでしょう。
バブルの頃のように、高校を卒業したての若者がこぞって乗用車を乗り回していたような優雅な時代は、もう永遠にやって来ないのだろうか。先日、ダイソーにえらい長い行列ができているなと思ったら、auの無料クーポン持参の群れがその理由。たった百円かそこらで人々をあそこまで熱狂的にさせるとは、本当に政府が言うように今は景気が良いのだろうかと、考えさせられてしまう光景だった。


意外にも突破口が簡単に見つかり、この地へ無事降り立つことに成功。
奥に外からも見ることができたお城がある。大型の屋根付きガレージが敷地の半分ぐらいを占めているだろうか。それらを囲むようにして、平屋のコテージ風の部屋が並んでいる。草は低いのから高いのまで伸び放題。

どのぐらいの歳月で、ここまでなるのか。
建物までに行くのに、不自然な傾斜があり、どうも後から盛り土をした形跡があるようだ。一体、なぜ?
妙な物を埋めてある可能性があると、先々のためにも、記しておこうと思う。

質素な入口。

一番怖いのは、自分意外の人の存在。
密閉空間での不法滞在者との遭遇を避けるために、常に敷地内での第一歩においては、衣擦れの音さえ聞き逃さないように、耳に全神経を集中させることに心血を注ぐ。

大丈夫そうだったので、フロント横を進んで行く。

スケールダウン感の否めないディズニーのお城のような建物の正体は、フロントも兼ねた管理棟、調理室、など。二階へ行くと、そこは和室テイストになっていて、家族の住んでいた形跡があった。
よって客室はここにはなく、ガレージを囲んでいたコテージ群ということになる
つづく…
「すさんだ家族の住居棟」湖畔の廃墟ラブホテル訪ね歩き.2
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コメント
コメント一覧 (4)
真夜中のダンディさん。
30年前ですか。というか、当時は人が入っていたんですね。今見ても辺鄙な場所なので、当時でもホテルともども閑散としていたのかと思いました。
>ルームサービスで出て来る解凍しきれていないケーキやボンカレー的な食事
これわかります。地方の寂れたビジホとかも。そういう異質な体験が案外思い出と残っているもんですよね。やはり料理は手抜きの冷食でしたか。
>週末になるとドライブインシアターやモーテルは割と混んでい
最近の若者は車に本当に乗らなくなりましたね。持てないというか。都下の若者なんて特に。夜19時頃にもここに行ったことがありますが、2時間ぐらいいて車はほぼ見ませんでした。かつての賑わいを見てみたかったものです。
アタリジャグワーさん
やっと関東も近頃寒くなりましたね。
旧式のラブホは現存するだけで、ゆくゆくはシティホテルのようなものに取って代わられるのですね。日本独特の文化なので、途絶えるのは悲しいものがあります。
>今どきの若者車の運転免許持ってないからな〜?
車の売り上げ、ベスト10がほとんど軽自動車ですから。車にステイタスを感じていないから無理して買おうという人もいないのでしょう。車で仲間と深夜にファミレスでダベる、もう死に絶えた文化になってしまいました。
>カイラス殿はブツを素手で掴んでいるのは凄いです!
探索しながら、写真撮ってビデオカメラを回すと、どうしても素手になります。散らばっている写真をめくるのでなおさら。廃墟に眠る、本やアルバム、これからも、人並み以上にめくっていきたいものです。
>鶯谷駅若者たちがあふれていますね。ブログ記事によっては過疎が凄い!
最近の若者は精力も減退しているようなので、生風俗産業も未来は厳しいですね。VR風俗に舵を切るべきでしょう。