パチカセ-36
 昨今、往年のあのファミコンがミニサイズになり発売をされ、品切れ続出でプレミア価格がついたり、ちょっとしたレトロゲーム・ブームになっている。



 レトロゲームは嫌いな方ではないが、そんなものより僕がかねてから収集をしているのは、アジア各国で怪しげに脈々とイリーガルに流通をしている、いわゆる「パチモンカセット」である。

 ファミコンでは存在しないはずの、「スーパーマリオパーティー」や、「鉄拳」などを超絶技巧のアジアン・プログラミング技術で、8bitのファミコンに無理やりPSなどのゲームを落とし込むという、病的なまでの職人魂が、もしや今のアジア各国の繁栄を築く礎になったのではとさえ思えるほどの、気迫の仕事ぶりを、その一本一本のカセットからは感じることができる。

 今から紹介するのは、そんな途上国の無名プログラマーがかつて情熱を注ぎ込んだ、在りし日のファミコン・パチモノカセット。

 僕がアジア各国の裏路地を這い回って確保して来た、貴重な幻の裏ファミコンカセットの数々です・・・・・・
 


パチカセ-37
 ファミコン時代には、「マリオパーティー」はもちろん発売されてはいなかった。これは当然アジアオリジナル製品。

 入手先は台湾の屋台。

 台北では日本人が経営している狭苦しいドミトリーに宿泊。そこは雑居ビルの中の数室を使用した宿で、渡される鍵の種類が十数個もあった。なんせ、部屋まで行くのに、ビルの入口や階段前のドアやら、とんでもない数の鍵を使うようになっていた。

 宿のオーナーから「近所の人には旅行者っぽくふるまわないで・・・」と言われていたので、今で言う、日本における中国人の無許可民泊みたいなことをやっていたのだろう。

 鍵紛失時の弁償代として、三百円ぐらいのデポジットをとられたが、本当に無くしたら損害はどう見ても数千円になるのでは?と、オーナーに聞いてみた。

「客サービスだから、原価そのものをいちいち徴収できないしね。鍵をそのまま日本に持って帰ってしまう人が結構いて困ってます」

「酷い無責任な人がいるもんですね」

 元バックパッカーが異国の地でモグリであっても商売をするのは面白そうだなと思ったが、諸問題が山積でそう容易いことではないなと、いつも陰りのあるオーナーの横顔を見て、怠惰な僕にはとてもできないと、鍵の話しを聞いて同情的にもなる。

 それから一週間後    東京の自宅に帰ってからバックパックの底を見ると、なんと、台北のドミの鍵の束がごっそりそのまま入っていた。

 あれだけ鍵を持ち去る人を非難しておきながら、しかも、オーナーの面前で、よもや自分が舌の根も乾かぬうちにそれをやるとは思いもしなかった。ついうっかりどころではない。

 間違って持って行ってしまった人の中には罪悪感から、郵送で送ってくれる人もいるという話しをオーナーから聞いていた。

 散々逡巡した末・・・僕にはそういうような行動を移すことはできなかった。

 合わす顔もないというのはこのこと。ただただ恥ずかしいばかり。この期に及んで、郵送なんて送った後でもまだ後味が悪そうだ。それならそのままが良い。一生、会わなければいい。また台北には行くだろうが、あのドミ宿は僕の行動範囲から抹殺しなければ・・・という情けない考えに至ったのだった   



5
 プレステのソフトが並ぶ(もちろん全部海賊版)台北の屋台で、端っこで汚れて売れ残っていたこのカセット。しかもタイトルが「マリオパーティー」という、超レア品。

 あの大人気ミニゲーム集がファミコンで再現されているのか?と期待に胸は膨らむばかり。

「ドリームマリオ」

「スーパーゴールデンマリオブラザーズ」

といった見覚えの全くないタイトルも並ぶ。

 しかしその正体は、なんとも残念としか言いようがないものだった。

 正確には「スパーマリオブラザーズ パーティー」とある。

 歴代のスパーマリオブラザーズシリーズを寄せ集めて、「パーティー」と名乗っている様子。



1
 それでも「ドリーム・マリオ」は期待を抱かせたが、マリオを進めて行くと、背景が消えたり表れたり表示が変。おそらく、これは「裏マリオ」と呼ばれる、BUG技を使用した時にプレイできるやつだろう。
 


4
 メニュー五番の「スパーマリオブラザーズ2」。日本では「夢工場ドキドキパニック」として発売。



2
 では、メニュー四番の「スーパーゴールデンマリオブラザーズ」という御大層なタイトルは何?と思いやってみると、ディシクシステムで発売の「スーパーマリオブラザーズ2」だった。



パチカセ-65
 ロサンゼルスの住宅街「トーランス」の端には常設のフリーマーケットがあって、そこは週末だけではなくて、毎日フリマを朝からやっている。規模もでかい。

 ローズボウルのような高価格帯のコレクタブルなアンティークではなく、ガラクタの中にお宝があるかも?といった趣旨のフリマだ。眺めるだけでも楽しめるし、仮に掘り出し物があれば幸いと、ロスに行った時には毎朝通っていた。

 水曜日には全米中からデニムの中古が集まって来るので、日本人のバイヤーがトラックの荷台からかき出される古着デニムの束に我先にと群がるのがもう見慣れた光景に。



パチカセ-66
 購入価格、たったの1ドル。こすれてはいるが新品。10本ぐらい在庫があった。全部買い占めてやればよかったと悔やむのは、毎度のこと。

「快打旋風 FIGHTING HERO」

 販売元が「NDEC」で、開発が「MEGA SOFT GAMES」なのか。

 任天堂の正規ライセンス品ではないことは確か。

 アジア製のパチモンではなく、ヨーロッパの可能性が高そう。



1
 アフリカへ行くと、ヨーロッパが案外身近であることを思い知らされる。



2
 スト2亜流感が半端ないが、ヨーロッパ市場で海賊版ソフトを制作していたとして、元はとれたのでしょうか。

   と記述してから数時間後。考え直してみると、アメリカやヨーロッパではファミコンではなく、「ニンテンドー エンターテイメント システム(略してNES)」として発売されていたことを思い出す。本体はビデオデッキのように大きく、カセットもファミコンの二倍はあった。確かにこのカセットはロスのフリマで買ったものだが、本来その国ではプレイできないカセットを売っていたため、新品なのに1ドルという捨て値で売っていた可能性が高い。

 調べても、ゲームも会社も全く出てこなかった。

 売らずに、大事にしまっておこうと思います   



つづく…

こんな記事も読まれています