廃墟ホテル「トロピカル」の四階。
上手いわけでもなく、なんの自己主張もなさそうな退屈な素人の絵が次から次へと
仲間同士で記号をつくり、それを理解できない人を遠ざけ、真っ当な評価を下されて傷つくことから逃れようとする。ますます身内の殻に閉じこもる彼ら。
メッセージ性を読み取られると、ネットで晒されて、冷笑されるのがオチだと怖れ、何の生産性も向上心もないままに、内向きへ内向きへと、片手間の一円の価値もないスプレー落書きを、夜な夜な量産する。
昼とはいえ、男ひとり心もとない殺伐とした風景の連続
開かれたこうもり傘。他の部屋で判明するが、外国からグラフティアーティストがわざわざ来ていたらしい。
例の部屋だろうか
ようやく、一部屋をまるごと作品として捉えた、こちらに訴えかけてくるような部屋と遭遇。
アルゼンチンにある洞窟「クエバ・デ・ラス・マノス」へのオマージュか。
一部では、本当の血では?なんて書かれていましたが、まぁ、違うと思います。
なにげに、「6」が三つ合わさったキャラ。僕が指摘してあげなかったら、誰も触れることなく、このホテルは取り壊されていたことでしょう。
バスルームと部屋の仕切りは曇りガラス。
全部、左手のような。
右手に塗料がなみなみと入った缶を持ち、左手をそれにぶっ込み、朱印手形を乱れ打ちして行く。
他の部屋にも言えることだが、ひとりで仕上げているとしたら、そのモチベーションはどこから来るのかと聞いてみたい。
今までの部屋と異質な発狂度。
洗面化粧台へも容赦ない。
上の方はいかもに『ジャンプしました』って感じに。
部屋の入口付近では左手ばかりだったものの、やっているうちに気分が高揚してきたのか、間に合わなくてじれったくなったか、後半はブーストのかかったエドモンド本田のようなノリで両手で”ダダダダダダダッ”と連打、叩きまくっていた様子が見て取れる。
まだまだ「血紋の部屋」を丹念に探索をし、できることならトロピカルの屋上まで行って、崎陽軒の大看板を拝むのを最終の目的として定めることにする
つづく…
「血しぶきぬり絵」血紋だらけの廃墟ラブホに行って来たよ.6
こんな記事も読まれています
コメント
コメント一覧 (8)
アルゼンチンは行ったことあるんですが、この壁画のある洞窟には寄りませんでした。ウシュアイアを目指して、パタゴニアも通っただけで、ひたすらバス乗車。勿体無いことしました。
>ずいぶん壁の上のほうまで手形があってご苦労様だことw
ネットとかにはもっと上手い人がゴロゴロしていそうなのに、そういう人がしっかりとしたのを描いてくれれば、こっちも紹介のしがいがあるんですけどね。廃墟の密室作業はやっぱりハードルが高いんでしょうか。
知恵袋でここの朱印手形のことを質問していた女子中学生っぽい人がいたんですが、そんなわけ(血)ないですよね。
>エドモンド本田~
エドモンド本田派ですか。ボタン連打だけで必殺技が出て爽快感がありましたね。僕はよくダルシムを使っていましたが、本気で勝とうと思ったらガイルしかないみたいですね。それに気付く前に、格闘ゲームからは卒業をしてしまいましたが。
また猟奇的な事件が起こりましたね。最近、海外ドラマで「エクソシスト」を観ているんですが、座間の事件に酷似した箇所があって、ドラマの中では組織的に臓器を集めていました。今回の事件が臓器目的でないとすると、ドラマよりおっかないことになりそうです。
もう少し気の利いた絵画が描かれてれば、ラスコーの壁画あたりね
ずいぶん壁の上のほうまで手形があってご苦労様だことw
エドモンド本田~。私はあのキャラが一番好きでした。突進しながら張り手が打てたので。
懐かしいです。
その光景が、座間の事件を想像してしまいました。
この部屋だけ異質なので、妙な胸騒ぎはするものなんですが、どういう想いで部屋中を真っ赤に染め上げたのかと本人のことを考えると、冷静になって壁の一点を見つめてしまいました。