繰り返された35年前の悲劇。そして事件の引き金となったある運命の悪戯とは・・・?

[登場人物]
 キョーコ(菊田京子):道東の廃屋に40年前の日記を残した少女。

 しのまい:キョーコの姉。イノセントなこころの持ち主。

 白河:廃墟探検家。廃屋の日記を本人に返すべく現在のキョーコを追う。

 サブ:情報屋。キョーコを追うため白河と行動を共にする。

 三田澪:廃墟好きの女子大生。その正体はキョーコの一人娘だった・・。



「・・あの日、私が母に指輪を見せたあのデパートこそ・・・」

 澪はその先を言いよどんだ。澪の示唆したものを理解したサブが、突然振り上げた両手を壁に向けて叩き下ろした。


なんだかプラザ
「なんてこった!そのデパートが、”なんだかプラザ”・・つまり四丁目プラザだったのか!」

 澪は黙って頷いた。

 四丁目プラザは、15歳のキョーコが修学旅行で指輪を買った場所だった。

 修学旅行。片思いの恋人への揺れる想い。大都会。初めてのアクセサリー・・・。若い彼女の心に、そこは儚い想い出の地として深く刻み込まれたに違いない。

 だとすれば、40年の時を隔てて再び同じ場所で指輪を手にしたことが、京子の失われた記憶を蘇らせたとしても、決しておかしなことではない・・。

「私は白河先生のブログを最初から最後まで、繰り返し読み込みました。そして・・」


床-2
 そこまで話すと澪は言葉を濁して視線を床に落とした。

「・・僕に連絡をくれた・・。」

 白河が言葉をつなぐと、さっと顔を上げた澪が、白河に必死に訴えた。

「先生ごめんなさい!私、先生をだますつもりなんてなかったんです!・・日記を読ませていただいた後に全てをお話しするつもりでした。
 ただ、お話のタイミングを窺っている間に、北海道での実地調査のお話などが出てきて・・。日記の記録に沿って現地を巡れば、キョーコさんの過去の足取りから、何か現在の母の居場所の手がかりがわかるのではないか、そう考えたのです。」

 白河は気にしていないことを示すために首を横に振り、元気付けるように澪に微笑みかけた。澪は弱弱しく涙ぐんだ笑みを返した。

「・・そしてあの日、幸子ちゃんのお母さんからしのまいさんの話を聞いた時、母の失踪の真相を理解しました。」

 自分の名前に反応したしのまいが、場違いな笑みを浮かべながら嬉しそうに澪の腕に抱きついた。

「真相?」

 白河とサブがほぼ同時に訊いた。


ふげん-2
「ええ、母はただ記憶を失くしただけではありません。
母は・・母は三田今日子としての記憶を失うと同時に、40年前、18歳の菊田京子に戻っていたのです・・」



つづく

参照リンク:「少女を女にさせたお土産」 実録、廃屋に残された少女の日記.8

【第17話 廃屋の邂逅】小説、少女が残した日記『交錯のMEMORY』

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