トロピカル-152
 まだまだ続いていた、四階、血紋部屋の錯乱でもしたかのような振る舞いにより彩られた、自称、グラフィティ・アーティストによる、血しぶきの塗り絵   



トロピカル-148
 ドライヤー置きにも抜かりなく飛沫が。

 ちなみに、僕は今の今まで、そうするから寝癖が出来てしまうのだという、その行いを全く気づかぬままに、つい最近のこの歳まで人生を過ごして来てしまうことになってしまっていた   

 親も友達も誰も教えてくれずに・・・もしかしたら、これを大々的にテレビなどで流布してしまうと、寝癖にかかわる、または関連性のある、多くのヘアケア製品が売れなくなってしまうので、表立って広められることがなかったのかと、広告代理店が敢えて秘密裡にしている変な陰謀論を疑ってしまうほどの、情報隠匿論を密かに怪しんだほどであった。

 まぁ、小学校の頃は自然乾燥だったが、思春期に差し掛かる中学校ぐらいになると、洗髪後にはドライヤーを使用することになり、多少は朝の暴発具合を抑えられていたが、それでも、はねた髪は中々抑えられるものではない。なら、寝ぐせを整えるために、水からお湯へ変えてみたり、更には友達の豆知識を仕入れて、お湯で絞ったタオルで抑え続けてみたり(これはテレビでAKBの指原も言っていた)と、度重なる努力はしてみるがそれも虚しく、結局は半立ちのまま外へ行かざるをえなく、しかも、朝の貴重な時間を無駄に費やすばかり。

 そうこうするうちに、寝癖スプレーなるものが発売になったので購入してはみるものの、剛毛気味なのか、違和感のある丘のような後頭部の盛りあがりは完全には隠せないままだった。

 そんなある夏の夜の日の、世間でサーキュレーターなる物がもてはやされ始めた頃のこと。

 風呂上がりは蒸し暑いので、当然、部屋はクーラーで涼しくなっていてた。部屋を効率良く冷やすために、クーラーと併用して”サーキュレーター”の使用が  これも家電業界の入れ知恵かもしれないのだろうが  情報番組などで叫ばれていたが、わざわざ買うのはバカらしく、扇風機で代用してみたところ、確かに空気のムラが無くなって部屋全体がクールに快適になったようだった。

 風呂上がりに、いつもだったらドライヤーで髪を乾かすところ、そうはせず、なんとなくであったが、扇風機の前で頭をくゆらして、自然乾燥を試みてみることにした。

 クーラーと併用しているサーキュレーター効果(扇風機)もあってか、以前より涼しくてサラリとしたその部屋では、たちまち髪が完璧までに乾き(そうだったのか)、翌朝は嬉しく奇跡的にも、あの忌まわしい寝癖は微塵もみられることはなかった。

 それからは連日に渡って、寝ぐせが発生することなく、鏡の前で『今までの数十年間毎朝のあの苦闘はなんだったのか?』とボヤキながらも、これからもう寝ぐせ処理から開放されるのかと思うと、朝の晴れやかな笑顔は三倍増しになったかのようだった。

 ところが、秋の気配が漂ってくる季節になると、また憎き忌まわしい寝ぐせが、復活をすることになる。

 秋だけどまだ暖房をつけるまではいかない。サーキュレーター代わりの扇風機などつけると寒いので、室内は無風状態。

 風呂上がりに髪を乾かすのはドライヤーだけになり、それだけでは足りないのかと、以前より時間をかけてみるが、それを嘲笑うかのように翌朝には目を覆うばかりの寝ぐせが。

 ドライヤーとサーキュレーターのダブル効果でないと寝ぐせは防げないものかと思っていたところに、ある日、ちょっとしたはずみから目から鱗が落ちるぐらいの発見をすることになった。

 風呂上がりに、ドライヤーで髪を乾かしたのはいつも通りだったが、その日は、随分と久しぶりに、テレビゲームに夢中になった。それは昔のファミコンだったので、当然ながら、画面に近づいての態勢で。年甲斐もなく、数時間はやり込んだだろうか。

 すると翌朝、全くの寝ぐせが無いという、夏が過ぎてからは初の奇跡のような日を迎えることになったのだ。

 今までと何が違うのかを考えてみる。そう、ファミコンをやる時の姿勢。僕は毎夜風呂上がりに、ドライヤーで髪を乾かすまでは良かったが、その後、壁にもたれかかったり椅子に座ったりして、テレビを観たり、本を読むのが常だったのだ。

 完全乾燥とはなっていない頭髪が、壁や背もたれとの間で圧着されることにより、寝ぐせを誘発してしまっていたのである。こんな簡単なことに、子供の頃から今の今まで、気づかなかったのかと。そして、周囲の人や本やテレビも、なんで教えてくれないのよと、憤りさえ感じる始末

 以後、湯上がりに髪をドライヤーで乾かし、それから寝るまでは頭部をどこにも密着させずにフリーの状態に保つことにしたら、完璧に寝ぐせを防ぐことに成功した。パーフェクトだ。

 サーキュレーター導入により、クーラーの冷風と強い風により完璧に乾ききった髪により、寝ぐせを押さえられていたものばかりと思っていたが、実は、頭部がどこにも密着せずに、フリーの状態でいたことの方が大きかったようだ。つまり、完璧に乾燥したとしても、その前に頭部が壁などに密着していたら”アウト”だ。

 夜の風呂上がり、その後、ドライヤーや自然乾燥により適度に髪を乾かせた後は、決して、壁に寄っかかったり、背もたれのある椅子に座らず、頭部の自由を寝床に就くまで保つこと。

 長年、寝ぐせに悩まされている人、整髪剤に頼ることなく、完璧な髪型で清々しい朝を迎えられること請け合いなので、実践してみてはいかがだろうか   



トロピカル-149
 寝ぐせ起因の正確な情報も知らずに、何人もの若者が盛り上がった髪を毎朝、うつしていたか。


トロピカル-150
 続く、一人作業。



トロピカル-151
 自分を写さないように撮るということは、案外、難しいものだなということを知った、この日。



トロピカル-153
 吐血風。



トロピカル-154
 承認欲求の成れの果て   



トロピカル-155
 拭いたのではなく、後の侵入者が壁紙を剥がした模様。



トロピカル-156
 菱形になんの意味が。



トロピカル-157
 霊的なものに全く動じない僕も、一人撮影でさすがにここは気持ちの良いものではなかった。



トロピカル-158
 次なる部屋。

 塗りが今までとは違いなにか密度があって鮮やかような気がする。傍らの傘にご注目。これは階下の別の部屋にもあった同じシチュエーション。



トロピカル-159
 壁のグラフィティと傘は作品として対になっているみたいだ。この微妙な筆跡ながら丁寧に書こうとする努力具合からして、フランス人のグラフィティ・アーティストによるものだと推測してみる。



トロピカル-160
 近い。

 ベランダに出てみると、手の届きそうなほんのすぐ先には、崎陽軒の工場の大看板があった。

 ゴールの屋上までは、あと少し   




つづく…


こんな記事も読まれています