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 スマホを売らなくてはいけないという、いい歳でありながら、あまり褒められたことではない状況に陥り、さて、どこが一番高値で買い取ってくれるのだろうかと、調べてみると、昨今は、新大久保駅周辺にある中国人や韓国人がやっている買取ショップが定番らしいとの話。

 新大久保へは今回で三度目だった。初めての時は、まだ学生気分が抜け切らない会社の上司が、築五十年以上は経っているだろう、苦学生アパートのようなボロ屋に住んでいて、そこを訪ねて行き、あまりに酷い生活、いや、彼は貧困を装って楽しんでいたに違いない。

 慎ましい自分に酔っているようなその上司の新大久保での生活実態を、上司の同僚に僕は告げ口をした。「冷蔵庫なんて、コンビニでパクって来たような、”温かい・冷たい”のある業務用のガラスケースのですよ。勿論、汚い中古」と。結果、その上司は大勢の前で朝礼時に「会社から貰うものは貰っているんだから、いつまでも学生気分でいないで、恥ずかしくない生活をしろよ!」と叱責を受け、口々に嘲笑を浴びることとなった。

『おまえしか、言う奴はいないよな!!』言葉には出さなかったものの、その眼は明らかに、組織内での至極真っ当な密告に対して、逆恨みして逆上一歩手前の、うち震える憎悪が色濃く滲み出たものであった。

 秋元康のような体型と顔をしたその上司は、それから僕に執拗に小言を言い、嫌がらせをしてきたので、結局、会社に居づらくなり、程なくして退社に追い込まれるという、新大久保はそうした忌まわしい思い出のある、因縁の地でもある。

 二度目の新大久保は、ヨン様ブームの頃。韓流ブームとはどんなもんじゃいと、勢いで出掛けてみたら、女子中高生があまりにも多く通りに溢れていて、これは場違いだとさっさと退散。

 三度目の今回は、アジアの途上国スラムのようだと、かつて僕がバカにしていたこの街の、買取ショップに行き、僅かばかりの利益を得ようとする、決して胸を張れない行為ではあるが、背に腹は代えられないということで、訪ねてみると、その途中で、火災のあと長期間放ったらかしの廃墟と遭遇する。

 通行人はこの痛ましい光景が日常であるかのように、見向きもせず、スマホに夢中でただ通り過ぎて行く。

 何一つ変わっていない吹き溜まりの新大久保が、まだそこにはあったようなのである。



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 スーパーから盗んで来ただろう、ショッピングカートもそのままに。



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 雑草の生い茂り方からして、2シーズン以上は経過しているものと思われる。



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 都会の駅のすぐ近くで、火事現場を長期間そのままにしておくことが、あるのだろうか。 新大久保ならこれが日常だとでも言うのか?



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 悪質なことに、廃液の入った一斗缶、都会の廃屋での不法投棄に最近多く見られる外国人の物と思われる、スーツケースなどが大量に捨てられている。



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 かなり右寄りの思想を持つ著名人が、韓流アイドルの自殺にかこつけて、ちょっと行き過ぎなツイートをしていたが、こういうのを目の当たりにすると、眉をしかめつつも、「その通りじゃないか!?」と、同調気味にもなる。





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 その韓流アイドルSHINeeのジョンヒョンさんが自殺をしたということもあり、新大久保全体が追悼ムードのようでしたので、特にファンでもありませんが、この場で、廃墟ともども、しめやかに、手を合わせてお祈りをさせてもらいました   



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 同じ敷地内にある、僕の上司がかつて住んでいたような老朽化したアパートは、延焼を免れたようだが、板で覆った部分は、熱風で溶けたりしてかなりの被害を受けている様子。



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 手前正面の部屋の入り口。ドアノブは火災熱で溶解してしまったのか、紐で開け閉め? 窓から中をのぞくと空き家っぽい。

 土地入り口に警察の非常線まで張ってあるので、当然廃アパートとかと思ったが、建物の裏にまわると、窓からテレビの音が聞こえてきたような・・・ もしや、不法滞在者でもいるのかも。



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 火事現場アパートを裏からそっと見守る、不吉な黒猫   


 都会の中の家と家の間にひっそりとある、見過ごされがちの廃屋や手入れのしていない森に僕が執拗にこだわるのは、かつての上司の衝撃的だった廃墟同然のアパートが、今でも記憶の片隅にあるからなのかもしれない。上司の秘部を暴く快感。都会の中のスラムを見下す、差別意識の芽生えと優越感。あの頃へ戻りたい(密告前)という、もう取り返しのつかない郷愁の念   



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 都会にたたずむ森の中にあった廃屋らしき建物と廃車はひとまず置いておき、真っ直ぐと続く竹藪の先へと行ってみることに   
 


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 物置のような小さい建物が現れる。

 静けさの中、背後には家屋も。



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 祠が並ぶ。



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 秩序が無さ過ぎる。どういった土地の管理をしているのか。



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 使われていない犬小屋も廃墟の範疇に入るのだろうか。



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 森に突入をして、途中で廃屋と廃車を発見し、さらに竹藪を突き抜け、祠や家に行き着いた。



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 森の入り口の反対側には、家があるみたいだが、廃墟だかどうだか、見分けが難しく、どういった経緯でこうなっているのか見当もつかない。



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 足早に森の中へ戻りました。



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 最後に、順番に検証をしていくしかないだろうという、結論に   




つづく…

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