メイク-1
 多摩湖湖畔沿いの周遊道路は、一車線しかなくてしかもエライ細っそい廃道のような静けさの中、昭和からのラブホテルがどうにか生き長らえているというのが実情である。近年では次々とそれらがもう限界だとばかりに、雪崩を打って廃墟堕ちとなってきているのが、今回の一連の訪問で見えてきたようだ。

 こちらのホテルは、グーグルストリートビューを見るとまだ営業中ではあるが、実際にやって来て見回してみると、人の気配は無いのにいくつかの窓はだらしなく開けられたままだし、壁の所々は崩れ落ちて内部が露出。メインゲートは、大規模工事現場でよく見かけるアコーディオン式のドアでガッチリと塞がれていた。



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 間違い無い。

 僕の嗅覚がそう嗅ぎ取ってしまっている。

 ただ、若すぎるがゆえ、要塞化からのほころびをまだ見つけ出せないでいる。



やきにくR-6
 呼び物が「ワイドTV」。ジャパネットたかたの社長が不自然にソニーのベガを推していた頃か。



やきにくR-7
 ウェルカムの看板もまだそのままに。



ゴミ-10
 数ヶ月前、ツイッターで狭山湖にグーグルマップにも載っていないヤバイ道があると、騒ぎになった件をご存知でしょうか。

 呪われた道があるらしく、とあるぶどう園からその道は伸びているとのこと。

 どんな風にヤバイのか具体的な説明も無しに、言葉にのせられるがままに、踊らされている一部のバカ騒ぎをするツイッター民にたいして、そこは冷静にと、努めて気高く振る舞い、事の本質を捉えようとあくまでも地道に情報を入念に精査してみたところ   

 話を総合すると、頭のおかしいおじさんが森の中に不法占拠していて、勝手に建てた掘っ立て小屋とその入口に、骸骨や気味の悪い前衛芸術のオブジェなどを並べているようなのである。一応、古いガラケーのような画質は悪いけど、それらしき写真と動画もあった。

 多摩湖からはすぐ近くなので行ってみると、「ここから先・・・」とツイッターで貼られていた画像の場所は、既に森の一部が削られていて工事車両が何台か置いてあった。



ゴミ-9
 説明ではこの先に道があって、基地外おじさんの家があるはずだが、どう見てもそれらしきものはあろうはずもない環境。

 おそらく、アフィサイトのアクセス稼ぎで扇動された人達が大騒ぎをしていただけなのだと思われる。骸骨の家の写真や動画は全く別の場所のものだろう。

 僕がこの写真を撮り終えて道に戻ると、えらい勢いでトラックが入って行った。オカルト話を鵜呑みにしてここでうろついていると、作業員の人にどやされる可能性があるので、くれぐれもご注意を。



ゴミ-6



入り口ソファー
 意外にもすんなり   



ゴミ-4
 この塀と壁沿いを真っすぐ。

 廃墟ファッションとしては、フリースはもってのほか。木屑や枯れ葉屑がびっしりと付着してしまい、家に帰ってから泣きながらガムテで取ることになる。それも中々取れない。

 上着の表面はツルツルが理想ですかね。



ゴミ-2
 このゴミの山を乗り越え、カーテンを捲る。

 ゴミ山の山頂付近では、塀から上半身が表に露出をするので、醜態を見られるかなと思ったが、期待はずれなぐらい、人通りは無い。



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 転がり落ちるように幕間から飛び出て来た。



照り返し-1
 シティホテルのような構え。



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 廃墟でお馴染みの、アスファルト裂けからの雑草の芽吹きすらまだ見かけない。

 早すぎたのか。



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 フロント。



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 フロント兼住居棟。



アンネ-12
 荒れてない。整い過ぎている。



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 玄関を入ってすぐの棚。

 ステンドグラス柄は、このホテルの統一されたコンセプトのひとつでもあった。



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 受付なのに固定ガラス窓の密閉空間。

 客とのやり取りはどのように行われていたのか。

 それぞれの部屋にホテルの従業員がお金を取りに行くシステムだったとしたら、そんなラブホには二度と御免だということになるだろう。



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 裏にマグネットを仕込んである「営業中」の看板。



メイク-1
 机の引き出しにあったので、この日はあと数日でクリスマスイブだというのに、何が悲しくてここまでやるのかなと思いながらも、机の上に並べてみた。

 中身は入ってない。従業員が一個一個手作業で入れて封をする。切り取り線があるので、客はビリっと破り、取り出していたのか。



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 かつて、ラブホテルのシステム機器業者をやられていたという方から教わったので知ってます。丸い口のはナショナルの「ハイハイ店番」という、センサー受信機だそうです。フェンスにもセンサーが配置してあったということなのだろう。



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 一級漏電火災警報器受信機。



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 若すぎる廃墟とはいえ、何か先人の痕跡はあるだろうと、床下収納をものぞく覚悟で、とりあえず、台所へと、進んで行ってみることに   




つづく…

「廃墟での必要悪」行ってはいけない、若すぎる廃墟.2

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