相模湖-133
 先日、あてもなくLightroomというソフトをただひたすらにいじくっている時に、一通のメールを受け取る。

   廃墟について調べる中で貴ブログに出会い、お一人で撮影をされているKailas様の精神力と魅力的な写真に衝撃を受けました

 グーグルストリートビューを見ている時に、不意に居酒屋などの中に閉じ込められて慌てて店の中をグリグリと見回すという経験を、誰しも一度や二度はやっていると思いますが、メールをくれた齊藤さんは、その360°VR画像をグーグルから請け負って制作をしている会社の人であるとのこと。

 単なる廃墟写真の品評会ではなく、その背景に流れるストーリーを語っていく僕のブログにいたく感銘をしたとのことで、是非、僕に同行して土地々々に眠る物語を掘り起こすお手伝いがしたいのだと、懇願されたので、そこまで評価をしてもらい、廃墟VR画像も撮るというので興味もあるし、断る理由は無いので、こちらことそと、一緒に探索へ行くことになった。


 カフェやレストラン、その他施設をやられている方で、室内3D画像をグーグルストリートビューに掲載して更なる顧客獲得に活かしたいという人は、齊藤さんの会社「Wammys」にコンタクトをしてみたらどうでしょうか。

https://wammys.jp/

 会社のHPには活動記録の詳細なブログもあり、至極真っ当なご商売をされていることは確かなようです。



シャツ-1
 早速、その昔、タイで買った十数年物のデッドストックTシャツをプレゼント。

 普通、顔をぼかしてくれと言われるのですが、さすがにちゃんとした会社をやっているだけあって、堂々としてます。



シャツ-2
 今までで一番難易度は高めかもしれない。


 イタリア製のスクーターが直ったと思ったら、今度は車の調子が思わしくなく、近頃はスクーターで気軽に行ける近場ばかりを訪問していたが、齊藤さんが車を出してくれるというので、それならばと、前々から考えていた、相模湖一帯にある数々の廃墟を一気探索しようと思い、中央道に乗って一路八王子まで   

 本来なら相模湖のICで降りればいいが、思う所あり、八王子で降りて、下道の20号線を進んで行く。

 目当ては大垂水峠。



相模湖-1
 80年代のバイクブームの頃は、峠を攻めるバイク乗りの若者で溢れかえっていたが、誰もバイクに乗らなくなった今では、付近にあった多くの茶屋は次から次へと廃業をし、やがて廃墟化。

 この「峠のお宿」もそんな中の一軒。



相模湖-2
 早朝の山の中ということもあり、車から降りると体の芯にひんやりと冷気が走る。

 枯れた蔦が装飾のように四角を囲い、異界への入り口を形作っているかのよう。
 
 下へ目を向けると、箱物がいくつか並んでいるようだ。



相模湖-3
 もはや定番の、廃墟入り口前に置かれた「日本人形」。

 なぜ、そこかしこの廃墟でも、こうも決まって入り口付近に日本人形を置いていってしまうのか・・・・・・

 かさばるし、売れないし、家を出る時点では本人はとっくにいい大人なので、置いていかれる運命にあるのだろう。廃墟ドロもスルー気味。

 魔除け効果を期待し、侵入者達を少しでも追い払いたいと、最後の最後で、入り口前に置いてみようかなと、思いつくのかもしれない・・・



相模湖-4
 カップルで廃墟訪問だと、気の弱い女の子がこれを見て『やっぱ、やめておこうよ・・・バチが当たるかもよ…』となるのかも。おっさん二人だと、何の問題もないです。

 額には三角頭巾か、それとも禿げてしまっているのか   



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 手前の建物は随分前に崩れてしまって今は芝山状態。



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 事前調査では、茶屋かと思っていたが、名前の通り、山荘のようだ。全部屋が離れという凝りようの宿泊施設。



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 相模湖の廃墟のおまけのつもりで来てみたら、これはとんでもなく広大な物件だ。本棟の背後にはでかい山が控えていて、そこには数々の宿泊小屋があるようだ。



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 これよりずっと上の方にも部屋がいくつもある様子。



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 最大限のアピールが「全館離れ」だった・・・



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 雑談をやめて、二人して耳を澄ます。二階の窓の中に人影が無いのをじっくりと確認。

 この朽ちようにまさかとは思ったが、定住者はいないようだったので・・・



相模湖-13
 この変わり果てた姿からは想像もつかない、温かい家族の肖像の欠片を、いたるところで発見してしまうことになる   



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 一階、居間兼受付だろうか。生活物資が多い。

 普通はそのままにしないだろう、いわゆる夜逃げ当時のその時からの痕跡ががごろごろと転がっている。勿論、まだ確証はないが。

 はやる心を抑えて、まずは台所へと向かう。



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 未使用の業務用ストローがそのまま箱入りで。

 ストローの包み紙に「オレンジエード」の表記。1980年に太田裕子という歌手がオレンジエードのCMソングを歌っていたようなので、その頃の物だろうか。



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 ゆかりお婆さん専用江戸むらさき。



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 数十年未使用のままの湯呑み。



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 細かいレシピ。小麦粉を練ってと書かれてはいるが、料理名は無し。



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 ぶら下がった毛抜き。

 ピカピカに洗ったのにそのまま置いていかれたコップ。



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 居間だか受付であるのか、大量の残留物が折り重なっている。



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 茶箪笥。ゆかりお婆さんの趣味だろうか。起き上がり小法師のような人形だとは思ったが、触れはしなかった。



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 今や、自民党の議員、お笑い芸人の「コアラ」と離婚してからなぜかバリバリの右翼になっていった、「八紘一宇」発言で物議を醸したことでも記憶に新しい、三原じゅん子の「セクシー・ナイト」。1980年の9月21日発売。大ヒットした記憶があるが、オリコンは最高位8位どまり。



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 廃墟でよく見掛ける型の掃除機。



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 近頃、といっても昨年だが、松本伊代とともに線路に立ち入り記念撮影をして大炎上をしてしまった、早見優。

 「夏色のナンシー」は1983年の4月リリース。

 ここから人々が去って行ったのは、1980年頃が濃厚となってきた。


 壁に目を移すと・・・



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 意識低い系の家によくある、相田みつをの日めくりポエム。当たり障りのない誰にも当てはまることを言っているのに、「自分のこと言ってくれてる!」と思ってそうだ。



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 ここで齊藤さんが興奮気味に息を弾ませて「これ、見てくださいよ!!」というので、一冊のアルバムを開いてみることに。



写真アップ-1
 これはもしかして、ここの峠のお宿の御主人の、若かりし頃の写真・・・。というか、夫婦だろう。

 こんな物が、無造作に、放おってあるなんて、どういいうことなのか。



写真アップ-2
 目に入れても痛くない、長女(多分)の赤ちゃんの頃の写真の入ったアルバムを、そのままにして、何処かへ行ってしまう親が、この世にいるとは、ちょっと考えられない。



写真アップ-5
 幼子の溢れるような笑顔とは、まさに、この写真のこと。こっちまで暗い瓦礫の中で思わず微笑んでしまった。

 余白の白い枠部分には小さい字で「生後4ヶ月です」。親御さんの子に対する溺愛ぶりがうかがわれる。


 今は無残な廃墟での、驚くような写真は次から次へと繰り出され、まさかとは思ったが、二階では女子高生と小学生男児の痕跡も、当時そのままに、残されていたのだった   




つづく…

「残留思念と階段」廃墟、家族崩壊のお宿.2

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