富士見ヶ丘レタ-111
 玄関を出たすぐ横、柱にもたれかかっていた、青年家主の愛用だと思われる、薄汚れたママチャリが、まるで、今か今かと、発車の瞬間(とき)を待ちながら、かれこれ、数十年間、そのまま・・・・・・

 暑い夏の日、家まわりの雑草でもむしったのだろう。汗の染み込んだタオルを乾かしてから家の中の持ち込もうと、荷台にタオルが干されたままにされている。清潔好きな家主の一面が垣間見えた瞬間だ。



富士見ヶ丘レタ-113
 もはや堆肥になりそうな、物置の中の書籍類。



富士見ヶ丘レタ-112
 完全に封印される前に、近所の人がスーパーから盗んできたカートの処分に困り、すでに廃屋と化していた家主の家の前に捨てていったと思われる。

 そして、バリケード設置と竹林の急成長により、青年家主の家は、杉並のこの界隈から、徐々に姿を消してゆく。

 背後に見えるのは、もう一つの廃屋   



富士見ヶ丘レタ-114
 フマキラーも相当古い缶のもの。




富士見ヶ丘レタ-116
 この門構えのまま、一棟まるまる、手つかずのまま、時だけが過ぎていったという、奇跡   

 若き家主は、ご近所の信頼をその実直さから勝ち得て、町内会の防犯委員長でも受け持っていたらしい。この家は、近場で空き巣にでも入られようものなら、真っ先に連絡が行く、「防犯連絡所」に指定されていた。

 この家を後にする前に、ちょっと気になる写真を公開することにする。

 実は、コメント欄の返しにおいて僕は、「青年家主のクラスメートにある有名人がいたかもしれない・・・」という、前フリをしていた。あまりにも、この、家主写真に食いついてくれる人がいたので、それならばサービスという意味合いで、期待を持たせる予告をしておき、でも、まぁ、実際は違うかもしれないよというという、あくまでも、軽いノリではあった。

 その写真に映る彼は、実際、ある有名タレントにとても良く似ていた。笑顔が素人ではないというか、口角のこれ以上無い上げ方と、白い歯が見事に剥き出しで露出しているところなど、ブロマイド写真のような爽やかな写真に仕上がっていたからだ。

 いや、それだけなら、単なる他人の空似で済む話なのだが・・・

 先日、僕はこの場所を探り当てた人による訪問報告を受けることになった。「あの空き家群落が、解体の憂き目にあってます・・・」と。

 青年家主の廃屋との直接的な言及は無かったので、言い方としては、手前の数件の空き家が壊されているような説明であったとみるのが正解だろう。

 近い内に再訪問に行こうとは思っていたので、この様子なら全面取り壊しも間近だろうと、翌日、居ても立っても居られずに、青年家主の廃屋へ行ってみることにした。数日後、訪問者の彼から、あの家主の家はまだ何とか大丈夫みたいです、と、連絡があったが、その通り、一部破壊された部分はあったが、辛うじて、まだ家主の家は存在していた。

 再訪問において、僕は青年家主のある証拠を手にした。それが何と、次に紹介する有名人かもしれない人が、実は本物ではないかということを、裏付けてしまうような証拠品なのだ。

 このことは、今回記事にするにあたり、その有名人を調べてみて、たった今、「ええっ、もしかして、本当だったの!?」と、判明したことなのである。



発見
 手前から二番目の、眩い笑顔でゼミの合宿の仲間と、勉強に励む、その場慣れ感から、予備校のパンフレット写真のようにも見えてしまう、圧倒的、芸能人オーラを匂い立たせる、あのひと・・・・・・

 そう、昭和60年、8月12日、御巣鷹山に墜落した日本航空123便に搭乗していた、歌手の坂本九、その人である。

Sukiyaki
JB Production
2014-01-09

 耳の部分の髪の揃え方までそっくり・・・


 年代とのすり合わせができれば、確実になると思われるが、まだLightroomというソフトでデータを現像中なので、僕もまだ数字までは詳細に確認しておらず、再訪問記において、いずれ   



富士見ヶ丘レタ-117
 青年家主が新聞配達をしていた名残りだろうか。



富士見ヶ丘レタ-118
 青年家主の家から少し離れた所にあるもう一軒の廃屋。



富士見ヶ丘レタ-119
 崩壊の進行度は比べようもなく酷い。



富士見ヶ丘レタ-120
 竹が屋根を引き裂き、建物の損傷を早めている模様。



富士見ヶ丘レタ-121
 荷物を纏めたが、そのままにして出て行ったようだ。



富士見ヶ丘レタ-122
 中等国語。



富士見ヶ丘レタ-124
 森閑とした竹林。 

 ここが杉並区だと言っても、誰が信じてくれるというのか・・・



富士見ヶ丘レタ-125
 歴代の盗難自転車がゴロゴロと    



富士見ヶ丘レタ-127
 昔の近所の人が捨てていった電気炊飯器。



富士見ヶ丘レタ-129
 スクラップアンドビルド。これが拝めるのも、これで最後かもしれない。



富士見ヶ丘レタ-132
 天井崩落。



富士見ヶ丘レタ-130
 裏側より。



富士見ヶ丘レタ-133
 野太い竹が天まで突き抜き抜けて行く   



富士見ヶ丘レタ-134
 井戸は枯れてしまったのか。



富士見ヶ丘レタ-135
 窓の横だろうが、ここなら誰にも邪魔されない。



富士見ヶ丘レタ-136
 青年家主の家とはご近所同士。



富士見ヶ丘レタ-139



富士見ヶ丘レタ-140
 竹林の奥   



富士見ヶ丘レタ-141
 ここでも便意を催し、よっぽどしてやろうかと思ったが、一旦出てちゃんとしたトイレでやりました。



富士見ヶ丘レタ-144



富士見ヶ丘レタ-143
 帰り際、手前にあった数軒並びの廃屋の谷。



橋の上で
 この写真を最後にお見せすることで、僕はこの空き家群落に関しては、そっとペンを置くつもりでいた。

 しかし、深まった青年家主の謎、本棚にあった朝鮮人参酒の箱の中の確認、永遠と思われた杉並区空き家群落への迫り来る解体の危機   

 自分で蒔いた種を自ら刈り取るために、あと一度だけ、訪問してみる事にした。

 坂本九かと思われた人は、この集合写真を見て愕然としたが、どうやら上から二番目のボーダーシャツの人のようなので、残念ながら、別人の可能性が大きい。とんだぬか喜びもいいところである。

 次回までこの写真を隠しておき、坂本九だという可能性を勿体ぶって次に持ち越こそうとも考えてみたが、それはあまりにも不誠実だと思い、寸前でやめることにした。

 ふと思い、以前の記事の橋の上の集合写真を確認してみたら、坂本九と疑われた時の写真と全く同じ服装、カーディガンとボーダーシャツで記念写真に収まる彼が・・・そこには、いた・・・・・・

 だからといって、青年家主とのある共通点は、動かしようにも動かしがたい事実であり、再訪問では、そこのところをより深く、重点的に、掘り下げて行く予定である   
 


 
つづく…

「ビンテージ漫画の眠る倉庫」都会の秘境、森の中に眠る空き家群落.9

こんな記事も読まれています