多摩湖-195
 廃墟ラブHOTEL「アリス」の敷地内にて、僕による特大の残痕をどう処理しようかと五分ぐらい悩むことになった。水をどこからか調達して来て、やれるだけ、流した方がいいのか。手を汚しながらも、土をかぶせるのが人道的なエチケットであるのか。 

 まず、普通の人が当分の間、来ない場所であるのは確かである。

 ネパールのカトマンズ、旧市街の、昼なら街でも一番賑やかな通りの真ん中、東京なら原宿の竹下通りのような場所で、漏れる寸前だったので、同様に、特大のをしてしまったことがある。

 あと二秒遅かったら、パンツの中にぶちまけていたことだろう。

 深夜の三時で幸い、奇跡的なぐらいに人がいなかったこともあり、最中の五分間弱、誰にも発見されることなく事を終えたが、もし警察でもいたら、後ろから射殺されかねない、非道徳で不審、かつ疑わしげな、行為であった。

 ちなみに、狭隘な土地に密集して建てられているからか、そこは裏道や建物裏という概念が無いような区画であり、逃げ道、死角が存在しなかった。あれだけの量の物が路上の真ん前にあるのだから、翌朝商店主の間で大騒ぎになることは予想できた。バレるはずもないけど、それから三日間ぐらい、そこの道は避けて通っていたという、気の弱さを持つ、僕   

 無事、カラカラに乾燥してフンコロガシの養分にでもなってくれと、現状の保存を最優先とし、結局、そのままにして、「HOTELアリス」から移動。

バイクに乗って五分もしない距離。

 溢れるゴミ山でフェンスが崩れかかっている、廃墟ホテル「クィン」に、到着   



多摩湖-191
 人のこと言えた義理ではないが、相互監視の眼が無いと、秩序はこうも醜く破綻をしてしまうものだ。



多摩湖-192
 昔の「世にも奇妙な物語」で、高嶋政伸がタイムスクーターというタイムマシンに乗って過去と現在を行き来する話(原作 西岸 良平)があったが、この画も、タイムスクーターで文明社会が崩壊した後の世界に行ったような殺伐とした情景を思わせる。




多摩湖-188
 すんなり、行けました。



多摩湖-91
 開かれた塀の間から敷地内に入ると、乾いたゴムとゴムの片方を水滴で湿らし、それらを擦って音を出したような「キュッ、キュッ、キュッ、」という音が聞こえてきた。

 動物がいるのかと思い、慌てて敷地の外へ出る。



多摩湖-187
 もう一回入って行くと、また同様の音・・・鳴き声だろう。そして、水面には波紋。姿は見えないが、小さいカエルが住み着いていて、たまの人の訪問に驚いている様子。

 カエルの鳴き声程度でも、この静寂の中、気の弱いオッサンのひとり訪問だと、帰ってしまおうかなと思うぐらいに、額に冷や汗がじわりと滲み、動悸も激しくなる。



多摩湖-92
 人の声はしないようので、進んで行ってみる   



多摩湖-93
 ゴスペラーズって、もう解散しているものと思いましたが、まだご活躍中みたいですね。



多摩湖-94
 事務所らしき内部。

 没後、20年といったところか。


多摩湖-99
 オーナーは、サブちゃんファン。


多摩湖-95
 パソコンで作れるぐらいの適応力はあった、オーナー。



多摩湖-96
 歴代の侵入者達のサイン。頭の悪そうな、中学生ぐらいの連中か。



多摩湖-98
 台所には、所帯染みたかき氷機があったので、ご家族で住まわれた可能性が大きい。ラブホテルに家族住まいとは、いじめの理由になってしまことが危惧される。タイガー・ウッズがセックス依存症になってしまった理由は、彼が子供の頃から、お父さんが、昼間から娼婦を取っ替え引っ替えしていたり、家の引き出しにはアダルトグッズがぎっしりと入っていたりと、親と家庭環境の要因によるところが大きいのだという。



多摩湖-100
 立派な神棚がありながら・・・



多摩湖-102
 ラブホテルだけあって、二本のセット販売。お値段は比較的リーズナブル。



多摩湖-103
 約十年前の日付の納品書。ここで現存する最古の物証品というわけでもないが、一応、目安にはなる。



多摩湖-104



多摩湖-105
 何から何まで、テプラ。手書きが信用ならず、印字に強いこだわりを持っていたようだ。



多摩湖-108
 これはまた、無駄に豪華な設備。各部屋との領収書のやり取りに、シューターを用いていた。

 僕がアメリカにホームステイをしていた時、そこのおじさんの親がヨセミテに住んでいるというので、車で訪ねて行ってみると、地図代わりに渡されたメモ「ハイウェイの出口を降りたら、右に曲がって、二十本ぐらいの木を過ぎた左・・・」と書いてあるだけあって、大草原の中の凄まじいど田舎の一軒家だった。北海道でも見かけないような雄大な景色。好き好んでリタイア後にヨセミテの田舎に住んでいるので、当然と言っては当然な田舎風景なのだが。

 驚いたのは、家の中に張り巡らせらた、シューター。昔のアメリカのテレビドラマで見たことがあったので知っていたが、透明のパイプの中には気流が循環をしていて、掃除機のホースだけを各部屋に持って行き、シューターのジョイント部に差し込むと、塵芥を吸い込みシューターを通って一箇所に集めてくれるという便利なシステム。

 その場では「昔からあったけど、こんな未来志向の便利な機械が、なぜ全く普及しないばかりか、こんなど田舎に住む老夫婦が利用しているぐらいなのか」と、疑問に思ったけれど、まず、増築に対応するのが難しいし、そもそも余計に場所を取る。常にシューシューと煩い。デメリットばかりが浮かんでくるので、時代と共に淘汰され、アメリカの田舎の片隅で僅かばかりに生き残っているというのが、実情なのだろう。

 ちなみに、その老夫婦の家はチリ一つ無い、完璧に磨き込まれた家だったが、僕のホームステイ先は、飼っている座敷犬の腹にダニが行進するかのように這っていたり、衛生観念には天と地の差があった。老夫婦は我が息子の家を「あの、ピッグハウス・・・」と言いかけて、途中でやめた。原因は妻にあると言いたげであった。家族がヨセミテの家に来た時に「ソファーを次から次へと子供達が、飛び回るんだよ、ハッハッハッ」と、お爺さんは困り顔で回想する。潔癖な人には耐えられない子供達の振る舞いだったのだろう。三歳の男の子は、近所の友達の親の新車、納車されたばかりのワゴン車を、でかい石でガリガリと腹の辺りを一周傷つけるような度を超えたやんちゃなので、ソファー以外にも、その暴れようが想像できてしまい、同情したくなるところもあった。



多摩湖-109
 まさか多摩湖の湖畔の廃墟ラブホテルで、あの掃除機シューター老夫婦の記憶が呼び起こされるとは、思ってもみなかった   



多摩湖-111



多摩湖-112
 ここまで貼るからには、従業員連中のおばちゃんも一緒に、新宿コマ劇場に行ったのでしょう。



多摩湖-113
 事務所から外へ出てみる。

 最後の最後、追い込まれての苦肉の策で、夜のフリータイムを実地。



多摩湖-115
 多摩の外れの湖、廃墟ラブホテルで、未来世紀ブラジルの世界観が・・・・・・

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多摩湖-117
 シューター会社のセールストークにそそのかされたのか。



多摩湖-114
 表紙と背表紙が内側にして閉じられていたので不審に思い開いてみたら、デロデロと水が滴り落ち、黒いムカデも一緒に出てきた。地味に驚かされて腹が立つ。



多摩湖-119
 文明崩壊感がひたひたと漂って来る   



多摩湖-128
 アリス以上に緑に侵食され、人達にもてあそばれ続けている、このホテルの各部屋に、ノックをしながら最大限の警戒をしつつ、訪れてみる。ドンツキの住居内では、実は女性オーナだったその人と、あの大スターが、一緒に写る大判の写真を、ベッドの奥より、掘り起こすことに成功する   




つづく…

「晒された、廃墟少年たち」湖畔の廃墟ラブホテル訪ね歩き.6

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