明治庶路炭鉱-52
 人の寄り付かなくなった寒々とした森の中で、唯一、人の温もりを残していそうな  最後の老坑夫が、森に消えて行くまでここで見守るのだと、身代わりとして、置いていきでもしたかのか  いまだ刺激臭を発散していそうな、傷ついたヘルメットが、たった、ひとつだけ・・・・・・



明治庶路炭鉱-53
 誰も見ていないのを確認してから、両手を添えて掴み上げ、頭上に高く掲げて、一拍を置いた後、掴んだ両手からヘルメットを離す。

 スコッと、見事に頭に収まった、ヘルメット。



明治庶路炭鉱-54
 虱でも住み着いていたら洒落にならないので、すぐに脱いで裏にして置いてみた。

 今のプラスティック製のライナーと違い、メッシュ地の布を起伏に合わせて貼り付けてある。吸水性は良さそうだが、毎日洗う物でもないし、当時は凄まじい臭いだったことだろう。今は無臭。



明治庶路炭鉱-55
 再び、フラフラと森の中を行くと、丘の上に突き出た建造物が。



明治庶路炭鉱-57
 埋められて、先端部だけが露出しているのだろうか。上に櫓があったらしいが、跡形もない。



明治庶路炭鉱-58
 ここは関東圏だったら、入場料1200円ぐらいは取れる価値がある。

 ザイルで山を登るわけでもなし、タンザニアまで行って、同室の日本人に毎日のようにキリマンジャロに登ろうとの誘いを受けながら「山は遠くから眺めるものだよ」と、頑なに拒んだ面倒くさがりのこの僕が、大して息を切らすことなく、眼下に広がる広大無辺な北の森に点在する閉山した炭鉱の面影残る地を、行ったり来たりの、胸ときめく宝探しのような散策   

 大金を出して海外に行かなくても、視点を変えれば、こんな旅の楽しみ方がある。中国人ばかりでなく、皆さんも、北海道に行かれてはどうでしょうか。



明治庶路炭鉱-56
 あれがズリ山というやつか。



明治庶路炭鉱-59
 ひっそりと、倒れかかっている、祠。 今では物好きぐらいしか来ない、森の奥。絵になりますね。



明治庶路炭鉱-60
 レールを再利用した自転車置き場でもあったのか。



明治庶路炭鉱-61
 日光いろは坂のスモッグまみれにひきかえ、この澄んだ空気、鮮やかな紅葉。



明治庶路炭鉱-62
 坑道への入口だが、当然のように塞がれたまま。



明治庶路炭鉱-63
 核心部が近いのか、ぞろぞろと姿を見せ始める。



明治庶路炭鉱-64
 森に姿を消そうとしている、名もなき産業遺産   



明治庶路炭鉱-67
 叩いてみましたが、崩れそうにない厚さのようでした。



明治庶路炭鉱-66
 自然に溶け込む、こんな大型構造物、滅多に見られない。



明治庶路炭鉱-65
 ことごとく、埋められている入り口。



明治庶路炭鉱-68
 年老いた猫の首辺りがこんなふうでした。



明治庶路炭鉱-69
 閉じ方も様々。



明治庶路炭鉱-70
 電気が通っていた時代があったとは・・・



明治庶路炭鉱-72
 水は飲まない方がいいでしょう。有害物質に汚染されていると思います。



明治庶路炭鉱-73
 川の方は廃棄物とかがそのままになっている。炭鉱会社もこの辺は配慮をしなかった様子。



明治庶路炭鉱-74
 奥深い所はいい加減に処理をしてますね。ここまで見に来ることを想定していなかったとか。



明治庶路炭鉱-76
 川の再生は遠そう。そのままなのが酷い。



明治庶路炭鉱-75
 爪痕。



明治庶路炭鉱-77
 


明治庶路炭鉱-79
 原炭ポケットの縁を歩いたり。



明治庶路炭鉱-78



明治庶路炭鉱-82
 階段を登って行く   



明治庶路炭鉱-81
 壁に沿って曲がり・・・



明治庶路炭鉱-83
強度に不安を覚えたので、中頃まで行って引き返して来た。

 地図も無しに森を彷徨いながら数時間、心地よい疲労とともに車に戻って行く   

 今回もだが、誰ひとりとして、人を見かけることは無かった。それは、いいことなのか。観光客減少のため、鉄路の廃止など、個人的好みは別として、北海道を巡る未来はそう明るくないようである。かつて日本人が買い物を目的として、香港やドバイへ押しかけていたように、中国人だってそういつまでも北海道を好んで旅行をするわけではない。これを読んでいただき、北海道旅行に少しでも興味を持っていただけたら、幸いです。



おわり…

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