人の寄り付かなくなった寒々とした森の中で、唯一、人の温もりを残していそうな
誰も見ていないのを確認してから、両手を添えて掴み上げ、頭上に高く掲げて、一拍を置いた後、掴んだ両手からヘルメットを離す。
スコッと、見事に頭に収まった、ヘルメット。
虱でも住み着いていたら洒落にならないので、すぐに脱いで裏にして置いてみた。
今のプラスティック製のライナーと違い、メッシュ地の布を起伏に合わせて貼り付けてある。吸水性は良さそうだが、毎日洗う物でもないし、当時は凄まじい臭いだったことだろう。今は無臭。
再び、フラフラと森の中を行くと、丘の上に突き出た建造物が。
埋められて、先端部だけが露出しているのだろうか。上に櫓があったらしいが、跡形もない。
ここは関東圏だったら、入場料1200円ぐらいは取れる価値がある。
ザイルで山を登るわけでもなし、タンザニアまで行って、同室の日本人に毎日のようにキリマンジャロに登ろうとの誘いを受けながら「山は遠くから眺めるものだよ」と、頑なに拒んだ面倒くさがりのこの僕が、大して息を切らすことなく、眼下に広がる広大無辺な北の森に点在する閉山した炭鉱の面影残る地を、行ったり来たりの、胸ときめく宝探しのような散策
大金を出して海外に行かなくても、視点を変えれば、こんな旅の楽しみ方がある。中国人ばかりでなく、皆さんも、北海道に行かれてはどうでしょうか。
あれがズリ山というやつか。
ひっそりと、倒れかかっている、祠。 今では物好きぐらいしか来ない、森の奥。絵になりますね。
レールを再利用した自転車置き場でもあったのか。
日光いろは坂のスモッグまみれにひきかえ、この澄んだ空気、鮮やかな紅葉。
坑道への入口だが、当然のように塞がれたまま。
核心部が近いのか、ぞろぞろと姿を見せ始める。
森に姿を消そうとしている、名もなき産業遺産
叩いてみましたが、崩れそうにない厚さのようでした。
自然に溶け込む、こんな大型構造物、滅多に見られない。
ことごとく、埋められている入り口。
年老いた猫の首辺りがこんなふうでした。
閉じ方も様々。
電気が通っていた時代があったとは・・・
水は飲まない方がいいでしょう。有害物質に汚染されていると思います。
川の方は廃棄物とかがそのままになっている。炭鉱会社もこの辺は配慮をしなかった様子。
奥深い所はいい加減に処理をしてますね。ここまで見に来ることを想定していなかったとか。
川の再生は遠そう。そのままなのが酷い。
爪痕。
原炭ポケットの縁を歩いたり。
階段を登って行く
壁に沿って曲がり・・・
強度に不安を覚えたので、中頃まで行って引き返して来た。
地図も無しに森を彷徨いながら数時間、心地よい疲労とともに車に戻って行く
今回もだが、誰ひとりとして、人を見かけることは無かった。それは、いいことなのか。観光客減少のため、鉄路の廃止など、個人的好みは別として、北海道を巡る未来はそう明るくないようである。かつて日本人が買い物を目的として、香港やドバイへ押しかけていたように、中国人だってそういつまでも北海道を好んで旅行をするわけではない。これを読んでいただき、北海道旅行に少しでも興味を持っていただけたら、幸いです。
おわり…
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コメント
コメント一覧 (8)
ねむりんさん。
どうも、はじめまして。
鬱蒼とした森の中からこの構造物が出現したら、不気味ささえ感じるでしょうね。しかし、ブログや個人サイト文化は消滅しつつあるのか、検索をしてもヒットしないとは。
>このまま撤去されずに森に還って欲しいな…
解体されて美術館になることはなく、リゾート施設も考えられなく、かといって整備されて産業遺産の観光地にもなりそうもない。静かに森の遺構として自然に還りそうですけど、それもまた淋しいような気がします。
古い建築物や構造物が好きでフラフラしている者です😆
先日偶然通りかかり、写真を撮りました。
煙突とその手前の建物がホッパに見えるものの、確信がなく。
庶路で検索しても特にヒットせず、
Googleレンズからこちらへ!
奥まで入ってみたかったのですが、一人では怖くて…行けなかった森の奥と、炭鉱遺跡とわかりとてもすっきりしました。
このまま撤去されずに森に還って欲しいな…
事前に予想されたより、今年の冬は厳しくなかったみたいようで、あの廃屋も、延命しているかもしれないですね。コメント欄で行くと連絡をくれた方が、その後音信不通なので、少し気になってはいますが。この時期に積雪がゼロとは驚きです。
>今年は北海道の桜も早いかもしれませんね。
雪が溶けたら北海道に行こうと誓って、はや数年、今年こそは、奇跡を起こせないかと思ってます。
十勝の芽室の近く、と言ってもちょっと距離はありますが、あの、廃墟化したテーマパーク「グリュック王国」がありますね。僕が行った頃より、心地よく朽ちているらしいので、現地で暇で暇でしょうがなかったら、行ってみたらどうでしょうか。
>ホッケ食べたいー。
肉厚で大判のあのホッケは、北海の食の醍醐味でしょうね。有吉がバイトをしたという、函館の有名定食屋でホッケ定食を食べましたが、ご飯の盛りだけが強烈で、魚自体は小さいものでした。やはり、季節なのかも。
>ゴチャゴチャいる上野の花見より 少し遅れて、静かに佇んでいられる人里離れた所に
去年、上野の花見に行きましたが、立錐の余地もないというのは、あのことです。テレビで言うほど、下品な振る舞いをしている人はいませんでしたが。人のいない場所に行ける境遇があるなら、その方が良さそうです。
>炭坑夫の妻は、洗濯が大変そう! 白い肌着の首回りは黒くなって、 汗と、今で言う加齢臭を溶けの悪い粉洗剤で洗っていたのでしょう。
白いTシャツを着てバイクで一日中走ると、灰色に染まるぐらいですから、炭鉱夫の作業着は、濡らして絞ると黒い汁が出そうですね。炭鉱施設の錆びた容貌にも惹かれますが、炭鉱夫やその妻の爪に火を灯すような、情感を伴った生活風景を、画で切り取れたらなと、炭住の廃屋の中でぶら下がっている、軍手や作業着を見るたびに、思ったりしています。
もうそろそろ夏用タイヤに換えても良い頃でしょう。
今年は北海道の桜も早いかもしれませんね。
しかし数日前、北海道の方が気温が高かったみたいで、侮るなかれです。
ホッケ食べたいー。
どうしても食に走ってしまいます。
ゴチャゴチャいる上野の花見より
少し遅れて、静かに佇んでいられる人里離れた所に咲く山桜で花見をしようと思います。
炭坑夫の妻は、洗濯が大変そう!
白い肌着の首回りは黒くなって、
汗と、今で言う加齢臭を溶けの悪い粉洗剤で洗っていたのでしょう。
ポタラ宮は行きましたが、当時、外国人料金という割増入場料があったので許せずに、出口から入って見学しました。田舎町の裏路地にあった文房具屋で買った、無印の学生証に、漓江大学に通う少数民族という設定で適当に書いて、学生の身分で通したり。破天荒でした。
>香箱座りしてる老猫の首と背中のもっさりした感じね
僕の家では猫は飼っていないですが、勝手に庭に3匹も住み着いてます。揃いも揃って、老猫と、しかも黒猫と黒味が多い奴らです。捨てられて、流れ着いたのでしょうね。そんな感じのだらりとだらしない首周りの猫ですが、終の棲家として我が家を、提供してあげようと思ってます。
そうそう、香箱座りしてる老猫の首と背中のもっさりした感じね
もうあんまり遊びにも乗ってこないし、顔も全体に垂れた風になってる猫
うちのチョビちゃんもこんなでしたw