白鳥湖遊園地-52
 僕はこの歳になるまで、東京ディズニーランドに行ったことが一度も無い。

 当初は行かない理由として、あんな混んでいる場所にお金を払ってまで行って長時間並ぶのはバカらしい、と言っていたような気がする。

 次はバイト先で「カイラスさん、ロサンゼルスに住んたことがあるんですよね。本場のに行ったことのある人からすると、日本のなんか見劣りするから、行かないんですよね」とバイト仲間に言われ、そういうわけでもなかったが、そういうことにしておくと、奥ゆかしくて格好良さそうな理由なので、「まぁ、日本のにも機会があれば行こうとは思っていたのだけれど・・・」と、半ば肯定するような答えをしておいた。

 日本のあの狭い土地の中に、普通の日本人が柄にもなく空々しく、王国を作りましたよと、子供らを呼び寄せておき、来た人には、そこの住人になるような、押し付けがましいばかりのうすら寒い演出、弁当の持ち込みは駄目だ、お菓子も駄目だと、夢の国とは名ばかりの言葉の裏で、やたらと金を使わせる仕組みが園内には蔓延っている。

 ロサンゼルスのディズニーランドは、日本のと違い、やたらと夢の国の流儀に従えみたいな、世界観を押し付けて来るような場所ではなく、純然たる”遊園地”であったような気がする。

 実際、僕がロスのディズニーランドで強く印象に残っているのは、風車のどでかいやつの羽の先に宇宙船の乗り物が付いていて、それが、ちょっとした電波塔ぐらいの高さまで上がって行き、やがて物凄い勢いで回りだす。かと思ったら、ピタッと、停止する。地上何百メートルかの場所で回転させられ、場合によっては、頭が真っ逆さまの位置で、静止状態になってしまうのである。日本にあったとしても、庶民的な遊園地にスケールダウンした物があるぐらいだろうから、本場のディズニーランドにはディズニーの世界観とはまた別の、昔ながらの素朴な乗り物があるのだなと、その懐の広さに感心するのと同時に、日本の王国の一員とは名ばかりの、途上国のツアーで行く土産物屋にあるような、店に閉じ込めて買わせるような商法と、あまり変わらないのではないかと感じたことも、東京ディズニーランドに行きたくなくなるような、違和感を持った理由の一つでもある。

 ちなみに、スナック菓子はグレーゾーンのようだが、それをグレーゾーンと行く前に感じてしまう時点で、夢の国に来るのにスーパーで買うお菓子を持ってくるのは、恥ずかしい行為であるという、経営側の思惑、術中にまんまと乗せられているのである。園内でポテトチップスを食べていても咎められないようなので、堂々と、食べたらいいし、僕ならそうする。

 僕が東京ディズニーランドに行かない理由を、因果律で説明させる心理学なら、東京ディズニーランドに行きたくないがために、並びたくないとか、園内の食事が高いとか、運営の仕方が気に食わないなど、そうして理由を自らわざわざ  実はそうでもないのに  作り出しいるということになるが、目下一番の理由は、廃墟めぐりをするようになったから必要ない(東京ディズニーランド)のだと、自身を持って答えるだろう。実際、廃墟探索をするようになり、余興のようなものに大金を費やすことがバカらしくなってしまい、東京ディズニーランドなどは、自分の中で、その最たるものなのある。



白鳥湖遊園地-18
 TDLが陽なら、この廃墟遊園地は、完全に、陰、だろう。向こうは平日でも、数時間待ちのアトラクションがあったりするが、こちらは、湖にも、キャンプ場にも、人影は皆無。湖畔全体に、僕しかいない。これが本州だったら、物好きの二人や三人はいるものである。北海道だから・・・。理由はそれしか見当たらない   

 錆だらけの完全に枯れた廃遊園地なら、往時を思い浮かべ、感傷的になりひとり孤独に、歩けばいい。

 しかし、ここはどうだろうか。

 まだ発色の鮮やかさの残る、ペイント。朽ちて放置されているようで、錆はあるものの、いまにも動きそうな、電動自動車。

 変則的な営業形態で、土日だけ営業をしているとしたら、廃墟ではないということになる。

 オーナーが怒鳴り込んでくることを覚悟しながら、いつでも逃げ出せる態勢で、探索に臨むことになった。



白鳥湖遊園地-21
 大砲ゲーム。

 僕の幼児期の記憶があるかないかぐらいの時に、小規模の遊園地にあった、バズーカだろうか。振動とともにボールが勢いよく飛び出して行く”爽快感”があったのは憶えている。



白鳥湖遊園地-30
 1ゲーム200円。的に命中するとサイレンが鳴り、玉2個をサービスしてくれるのだという。今日びの子供が、そんなことで喜んでいたとは、到底思えない。オーナーが出来る範囲での、せめてもの心からのサービスだったということは、伝わってくる。



白鳥湖遊園地-28
 200円という、子供にとっては決して安くない値段を払い、当てる的というのが、この、ウルトラQに出てくる怪獣「ペギラ」か。下は平成の仮面ライダーのどれか。孫の雑誌から手当たり次第といった感じだったのだろう。



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 やたら強調する、サイレンと玉2個のサービス。的に命中して、大騒ぎして喜ぶ子供の笑顔が見たかった、ただ、それだけのことだった。



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 木の陰にひっそり、写実的なイラストの怪獣。



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 意味もなく、ペギラの的から大砲を見つめて、しばし、佇んでみる。

 こういうカットが楽しめるのも、廃墟巡りならでは。



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 何気なく打ち捨ててある電動自動車ですが、



白鳥湖遊園地-31
 個人の支出としては、バカにならない値段なのでしょうね。東京ディズニーランドとは比べるべくもないですが、ひとりの趣味の域は完全に越えている。



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 アニマルなのか、アニマルカーなのか、統一感はいま一つ。



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 孫を見守るお婆ちゃんにと、ほおずきの造花で飾り立てる気配りも忘れない、オーナー。



白鳥湖遊園地-41
 回転自動車。基本的にはアニマルと同じだが、ボディーが車になっている。



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 営業中なら、一番賑わいのありそうな場所。



白鳥湖遊園地-42
 本来はデパートの屋上とかにあって、硬貨を投入するようになっていたのかも。



白鳥湖遊園地-38
 回転のやつは大量購入していたらしい。これはイケる、みたいな閃きがあったのに違いない。



白鳥湖遊園地-37
 YouTuberがゲームをしながら雑談をして、何億円も稼いでしまう世の中。このお爺さんは、趣味の延長とはいえ、一週間で数千円ぐらいだったでしょう。完全に赤字。時代が変わってしまいました。



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 ミニ列車があり、駅のホームと待合室、椅子の見学スペースも。



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 洋弓。



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 一方で、アーチェリーとも呼んでいた。子供がその辺で遊んでいそうだったのに、事故とかは平気だったのだろうか。高校の槍投げの練習で痛ましい事故のニュースをよく耳にするので、ここが無事故だったとしたら、何より。



白鳥湖遊園地-24
 ピカチュウ。ドラえもん。アンパンマン。普通、射る的って、鬼とか、征伐的な要素があるものですが、人気者が標的になっている。

 誰もやらなさそうなのに、結構な穴が空いてますね。



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 この白鳥湖遊園地、最大のアトラクションが、この「ゴーカート」だろう。



白鳥湖遊園地-50
 高いのか、安いのか。サーキットとも言えないようなコースを走ります。



白鳥湖遊園地-48
 テニスコート、30分、300円。ただの地面なんだから、無料サービスでも良かったのでは・・・。



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 コース横には、オバQの「パー子ちゃん」。平成生まれの人は、知らないでしょう。


※さも俺は知っているぞみたいな書き方をしましたが、「P子」が正解です。故オーナーさんが間違えていたようです。バンビーノさん、ご指摘、ありがとうございました。



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 おそらく、およげたいやきくんの後ろに描かれていた魚達かな。



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 アンパンマンは随分書き慣れている様子。



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 最大の見せ所のコーナー。



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 オーナーのお爺さん・・・いや、売店はお婆さんだったかもしれない。元気に冷たいジュースを売っている時もあったのかと思うと、名残惜しい以外の言葉が出てこない。



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 ゴーカードといい、名前の不安定さは相変わらず。



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 最後に、湖畔沿いを歩いてみることに   



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 無料で、貴重な体験をさせてもらっています。



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 客が来ない時は、釣りでもやっていたのでしょうか。



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 オーナーも天に召されたということで、正直に言いますが、ここでも猛烈な便意を催し、このボート小屋の裏で、済ませました。今は堆肥となっていることでしょう。



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 地元苫小牧の船舶関係の拠点にもなっていたようです。



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 回数券が11枚綴りで1000円。それだけでこれだけ楽しめれば、他に何を求めるのかということになる。



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 お爺さんの代まではここを守ったが、これからの用途は、不明のまま。冬には、凍った湖の上で、ドリフトレースをやっているようだが。



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 それにしても、実に充実していた。廃墟ホテルに、廃墟遊園地、絶景の湖散策   



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 朝方に来て、一体、何時間ここに滞在していたのだろうか。

 車を駐車した場所に戻ったが、周囲に後から車を停めた形跡はおろか、人の来た様子もまるっきり無かった。

 オーナーの大往生後、残念ながら、この遊園地は撤去されてしまったとのこと。

 再訪をしても、狂気じみたキャラで彩られた、でも今では懐かしささえ覚えるこの手作り遊園地には二度とお目にかかれ無いが、湖畔沿いに僅かに残っているだろう、在りし日の遊園地の痕跡と、景色の素晴らしさを堪能しに、再び、紅葉の季節に行ってみようかと思う   




おわり…

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