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 ドラえもんのウェルカム・ドールに迎い入れられ、パチンコ区画を見終え、気負いのない心で、ボーリン場のあった場所へ、静かな足取りにて、電燈が灯らずに若干影の多い館内を、気持ち早歩きで、進んで行く   



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 ちなみに、裏側はこうなっている。入ってくれと、言わんばかり。



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 ボーリング場手前に、時代遅れのプリクラが置かれていた。

 フリュー株式会社の「姫組」という機種らしい。



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 これが「姫組」のパンフレット。

 秋葉のソフマップで撮影会をする、身の程知らずの底辺グラビアアイドル以上でも、以下でも無い、微妙な女性(ひと)達だなと思ってこのパンフレットを眺めていると、あぁ、そうだ、前回発見した、パチンコパーラーの宣伝ポップの人達と全く同じだということに気づく。



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「全員、揃いも揃って平均点以下」と言わしめた通りであるには違いないが、パチンコパーラー側が、宣材資料をパクって流用したのか、それとも、グループ企業傘下で使い回しをしているのか。彼女らも、今は、全員、タレントの夢は諦めて、結婚でもして子供を設け、堅実な家庭生活を営んでいることに違いないだろう。 



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 そうこうするうちに、ボーリング場区画へ   



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 子供心に、ボーリング場とは、何とも、現実感のない場所だなと、行く度に感じていた記憶がある。

 畑のように広くて障害物の無い室内空間、鳴り止むことのない残響音、手前のカーペットのスペースに大概あった、他では見かけない珍しい大型筺体のゲーム機、とっくにボーリング場ブームなど去っていたので、でかさの割には人が少なすぎて、経営は大丈夫なのだろうかと、子供にさえ心配を抱かさせる、大空間の中の虚無感。靴の強制レンタルという、「こんな靴履かされた挙げ句、お金取るの?」といった、戸惑うばかりの勝手な押しつけの独自ルール。まぁ、子供だからそう思ったのだろうけど、実際は、玉を滑らすために丹精込めて磨いた床を、保護するために、特別な靴を貸し出していたのだろう。それでも、せめて子供には無料で靴を貸してあげてもいいのでは?と思ったものだ。



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 既に、大掛かりなグラフィティが施された後だった。



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 周囲のボーリング場が次から次へとホームセンターなどに変わっていったのを、昨日のことのように思い出す。業者のその身勝手で割り切りの良さが、愉快に感じられたものだった。ボーリング場感の残るスーパーやホームセンターを訪れ、無駄に長い廊下に深く頷き、「建物を使い回ししてるよ、そのまんまじゃん・・・」と、皮肉っぽく笑ったり・・・

 地元にあったボーリング場は、ガーデニングやDIYを前面に押し出したホームセンターに変わり、週末は大渋滞を巻き起こすなど、一時は大成功を収めていたものの、近頃、ニトリやイケア、アマゾンなどに対抗出来ずに、完全閉店となってしまった。

 バイクのプラグを買おうとして、楽天やアマゾンでも送料込みでじゅうぶん安かったけれど、ホームセンターならもっと安かろうと、行ってみたら、車で安くないガソリンを消費しつつ買い求めに行ったのに、店頭売りの方が高かったのである。なぜか、リョービのインパクトレンチのセットだけは、アマゾンに比べて格段に安かったことがあったので、その時の成功体験、淡い期待があっただけに、無残にも裏切られ、失望も大きかったのだ。以後、二度とそのホームセンターには行くことは無かったので、廃業してしまったのも  多くの人が似たような経験をしただろうから  当然の成り行きと言えるだろう。何も値段だけが全てではないが、今は口コミ情報が氾濫しているので、実店舗まで行ってわざわ道具の良し悪しを確かめる必要も無く、品揃えも遥かに豊富なネット通販で全てが事足りてしまうのである。



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 グラフィティの画力は今までで一番かもしれない。千原せいじっぽいキャラ。



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 相変わらず、何を訴えたいのかは、さっぱり・・・



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 ニット帽のお爺さん。



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 光沢を失ったレーン。



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 本来この場所に、ボーリングのピンを揃えたりする機械があったはずだが、機械ごと撤去されてしまっている様子。



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 パースは雑だし、決して上手くはないが、時間をかけた力作であるのには違いない。



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 カラフルなボールがごろごろと。

 パチンコの景品倉庫にもあった、ディズニーのスティッチのぬいぐるみがここにも。ミッキーやプーさんだったらヤフオクで売られるところだが、やはり、人気が無いのだろう。



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 話し声が聞こえて来た。大人数では無さそうだ。まだ遠くにいてこちらに来るかはわからない気配   



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 ご多分に漏れず、やってしまいますね、これは。ボーリング場の廃墟に来たならば   



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 話し声は、男の二人組。それも、野太くは無いので、中学生か高校生だろう。



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 ボーリングの玉が出てくる機械。シューシューとエアーの出る隙間もどこかにあるはず。



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 無残にも、サイン色紙が置かれたまま。あの、四人組のだろうか。



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 和気あいあいの楽しそうな職場で、バイトさんとパートさんが記念写真。二度と集まることの無い面々。この際だからと、意図的に残していったことも考えられる。



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 僕が蹲踞(そんきょ)の姿勢で、1ミリも揺らぐことなく、一心不乱にボーリングレーンを激写していると、少年らしき人の話し声が間近まで近づいてきた。

 先程は二人の話し声だったが、今はどうやらひとり言を呟きながら近づいてくる。まるで僕に話しかけているかのよう。頭のおかしい人が徘徊でもしているのかと一瞬思う。

 僕は今しゃがんだ姿勢。障害物の死角により、向こうからは、頭部だけが見える状態なので、先行した友達がいるのだと思い、僕に喋りかけているのだろう。先行した友達は僕を見て、気まずさを感じ、既に別の所へ行ってしまっていると。ちらっと、横目で見たが、小太りの高一か高ニの甲高い声の少年。

『これ以上近づくな、大恥をかくことになるぞ。あんたの友達は気づいて、とっくに下の駐車場にでも行ってるはず。鈍すぎるだろう、おまえ・・・』

 それでも「来てたのかよ、こっちがボーリング場だな、おまえの、、」などと捲し立てながら僕の真横で会話を続けているので、その声、風体、会話内容の幼さから、明らかに格下であり、僕の睨みの威厳で追い払える確信を持ったので、彼の方に振り向いて険しい目つきで睨みつけてみた。実際は睨みつけるというような強い調子ではなく、顎を引いて見つめつつ、口を窄める程度。こっちも気が強くないので、そんなに大きくは出られない。

 彼は僕を正面から見て一瞬怯んだかに見えたが、それを感じさせないように笑顔を取り繕い、再び笑いながら、先に行った友達を『どこに行ったんだよ全く』と探すフリをし、ブツブツ喋りながら方向転換をして、『あなたに声をかけて恥なんかかいてませんよ・・・』とでも言いたげで、哀れな一人芝居をしながら去っていった   



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 バンジーボーリング。どういったものだったのか、ちょっと想像できない。

 ボールに紐が付いていたとすると、コロコロ転がらずに、スイーーーっと、玉はレーンで水平移動を続けることになる。ボーリングの醍醐味はそこには無い。ガターになる直前に、紐で引っ張るのか。話題になっているのを聞いたことがないし、失敗企画だったのだろう。



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 ボーリング場の従業員部屋らしき部屋へ。



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 日陰のメンテナンス要因の人が押し込められ、窓の光と鉢植えの花を日がな一日眺めながら、黄昏れていた。独房のような部屋だったことが窺われる部屋。



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 すっかり、日も暮れようとしている   



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 ここで蘇って来た思い出は、ボーリング場そのものではなく、ボーリング場から転換した、スーパーやディスカウントショップの変わり様の懐かしい思い出であった。その作りはアメリカのショッピングセンターのような、無駄に広い作りであり、異国感のある新鮮な空間に、子供ながら胸が高鳴っていたのだと思う。



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 もう、ここまで探索すればじゅうぶんだろうと、外に出ることにした。



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 思わず手をあわせたくなる、錆びた看板塔が夕暮れに映えていた。



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 人によっては中山律子さん時代のボーリングブームの最盛期、僕はブームが去りかなり経ってからの、ボーリング場再利用の思い出。

 あの高校生二人組は、廃墟ボーリング場の何に思いを馳せるのだろうかと、ここで何を感じ取ったのだろうかと、どうでもいいことを考えながら、傾斜のきつい坂に停めた車のパーキングブレーキを解除し、発車させ、高速のインターの方角に進んで行った   




おわり…

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