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 かわの駅での滞在が思いのほか長引き、こちらへ来る頃にはもう日も暮れようかとしていた。

 対岸の、ここ「みとうさんぐち」駅は、制約のあるかわの駅とは違い、何を気にすることなく、堂々、踏み込んでいって見学できるのが嬉しい。

 車を奥多摩湖目の前にある無料駐車場に駐める。

 上を見上げると、ロープウェイの車両が出発待ちをしているかのように、蔓延る山林の中から控えめに顔を覗かせていた。



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 待っても来ることのない車両、人の行き交うことのないホーム、自然の流入。廃駅の侘しい味わいがある   



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 錆びた鉄塔は、いつまであのように建っていられるのか。

 耐震性が低くて危険だからと、撤去でもされてしまったら、廃墟ロープウェイの魅力は半減してしまうことになるだろう。



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 くもとり号と全く同じ位置にいるのは、同じロープで等間隔に固定されている、ロープウェイだからのことなんでしょうね。



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 錆止め塗料そのものの色に見える。

 コストを削って、白ペイント以外は省いた結果か。



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 コンクリートを突き破り、車両内部まで侵蝕、やがては、駅全体を山に取り込もうかとしている、驚異的な自然の力。

 保存会とかがないと、朽ち果てる一方なのでしょう。その刹那的で儚げな佇まいが廃墟の魅力ではあるのですが。僕にはこうやって、冷やかし程度に、紹介をして問題提起をするぐらいしか、できません。



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 厚盛りはみ出しパテ。用途はわからない。



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 くもとり号と違い、中は空っぽ。好感が持てます。



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 実は、大変悲しいことに、このキャラのマークのようなものに、あちこちと、かわの駅が蹂躙されまくっている。

 承認欲求のモンスターみたいな人達が、やって来たみたいです。



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 おぉ、これは痛ましい・・・

 僕らが来る、数週間前に描かれたらしい。



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 そうやって見ると、この横の爛れ具合は、過去にもイタズラ書きをされて、どこかの有志が消したのだろうか。

 落書きはもってのほかなんですが、それを消してしまうのは、また余計なことなのではないかと。それだとやっていることは落書きと同じく、歴史の改竄、改変、加工と変わらない。あるひとりの個人的な美的価値基準に基づく自己満足。

 なるように任せて、そのまま自然の中に消滅して行く様を見届けるのが、無難ではないかと思う。行政が見世物として、保存を決めたとかならまだしも。



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 そこら中が酷いペインティングに染められてしまった駅内部、機械室に、駅職員部屋、駅前広場、トイレ、川野駅と似ているようで趣を異にする、特に極太の蔦に絡まれ取られようとしている樹林化した屋上などを、詳細に見て回ることになった   




つづく…

「グラフィティ汚染と一瞬の趣き」乱された廃墟ロープウェイ.6

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