津久井-109
 世にも奇妙な空中回廊のある、ソワールデビュース相模湖クラブ内の階段を二階へと上がりながらも、建物を設計したオーナーのその人となりに、俄に興味が移っていったのも自然な流れと言えるだろう。

 よくもまぁ、見渡しても、観光資源の無さそうな場所に、ペンションなんて開く気になったもんだなと。

 当然ながら、当時ペンション内にいる時には、例のホームページを拝見する前であったので、彼の唱える、あまりの多様性に富んだ事業内容は知る由もなかったのだが、それでも、各部屋のネーミングや、放置され一部が崩落した回廊のような設備の存在理由など、通常の価値観とは大きくかけ離れた普通ではない人であるらしいということは、じゅうぶん推し量ることができた。

 総本山であるデビュースのペンションのその前に、彼を掘り下げて知る上での、初期の事業計画でもあった、二つのキーポイントとなる施設への訪問は必須と考え、居ても立ってもいられず、早々に、先日、彼いわく、ダイヤモンドマザー(副題 ボンソワールマザー)のペインティングが掲げられているという、幾つもの肩書きを持っているらしき、文面からは要領をまぁ得ない、用途不明の雑居ビルに、小雨の降る中、行ってみることにした。

 そこで僕は、彼のあのホームページに書かれている内容が、ほぼ根底から覆されるような、とんでもない物的証拠を、それも二つ、決して大袈裟でもなく、大収穫と胸を張って言えるような、ある物の存在を、目にすることが出来てしまったのだった   



津久井-108
 十年以上前にピアノ教室やバレエ教室が行われていたような写真は存在するが、進学予備校が本当にあったのかは疑わしい。



津久井-114
 このパッチワーク的なツギハギ感は共通した、彼独特の継ぎ足し施工法のようでもあるが、当然ながら、違法建築の臭いがプンプンと漂う。



津久井-115
 建築廃材を拾って来ては、重ねてゆく。

 バレエに加えて、舞踏や琴も。

 ハッタリでもいいから、とにかく盛り込むというのが、ホームページ同様、彼のやり方なのか。



津久井-106
 すぐ後方が高校。いかにも危なっかしい素人施工は、地震などの災害時には細心の注意が必要となるに違いないだろう。



ビル-1
 HPではしつこいぐらいに多目的ビルとして宣伝していたが、人がいるような気配は感じられず。

 外付け階段は三階までしかないだろう。三階から上は階段に拾って来た雨戸を目隠し用のカバーとして付け足しているようにも見えるが、急斜面過ぎるので、三階より上の外階段は存在していないと思われる。

 では何のために、後付の雨戸のような物が上に伸びているのかというと、おそらく、雨戸で板切れを挟み込み溝を作り、人ひとり辛うじて通れる通路を、手作りの非常階段として設置したのではないか。



津久井-110
 津久井湖近くの、国道413号線。

 子供の落書きみたいな絵が並ぶ、得体の知れないこのこ汚いビルを見て、せわしなく行き交う人々は何を想う   



ダイヤモンド
津久井-95
 題名「ダイヤモンドマザー」 副題「ボンソワールマザー」

 若干色褪せている様子。



説明
 この絵を飾るにあたっての説明。

 このオーナーは、相模原市の市長さんにこれらの地元の山を世界遺産に登録申請しろと、手紙を送っているので、これはその手紙の一文だと思われる。

 名前を名乗って、二行だけ自分と相模原市の関係性を手っ取り早く説明したかと思ったら、いきなり「さいごに、」と来る支離滅裂な手紙を読んだ相模原市の市長さんが、まともに取り合ってくれなかったとしても、責められるものではないだろう。



披露2
 どう見ても廃墟になってからそこそこ経過しているらしいビルなのに、日付はなんと去年である。

 あの取り乱したかのようなHPは、苦闘の末の焼け跡のようなものだと認識していたが、違うのだろうか。

 彼はとうに活動を終えてどこかで隠遁生活を送っているか、またはお亡くなりになっているものばかりと思っていたが、これを読んで、まだ現役なのかと、思わずこの場で、背筋がシャンと伸びて、慄然とする思いがした。



観音様
津久井-96
題名「観音様・涅槃山」 副題「地域の守護神山の世界自然風景遺産登録の提案」

 もっと纏めた方が、意図は伝わりやすいような気もするが。



ジェンヌ
津久井-97
題名「白百合ジェンヌ生のデビュー」 副題「ジェンヌ生の春 津久井湖湖畔の桜が満開」

 ジェンヌ生(なま)のデビューってちょっと卑猥な表現かな思ったら、ジェンヌ生(せい)という、生徒を指しているらしい。



マザー
津久井-98
題名「ドリームマザー デビューの里」 副題「お母さん頑張ります。」

 相模原市の市長も、これには苦笑いしかない。



アルプス
津久井-99
題名「東洋のアルプス・ドリームマザー」 副題「津久井湖プラザに ようこそ いらっしゃいませ。」

 描かれた当時からみると、汚れが目立ちますね。



ダイヤモンド
津久井-100
題名「ダイヤモンド富士・高尾山デビュー」 副題「ボンソワール グランドファーザー」

 夫の暴走を妻が止められないのなら、子供がどうにかできなかったのか。



津久井-102
 HPによれば、豚骨と魚介系のダブルスープのラーメン屋がやっているはずだったが、扉は鎖で固定されていた。



津久井-116
 こちらもロープで縛って固定してある。



津久井-111



津久井-112
 バレエ教室の見学でもと考えていたが、これでは無理のようだ。



ピース
 このビルの下でウロウロしていれば、もしかしたら、最上階からこんな笑顔でピースサインをしてくれるかも!?なんていう考えは、甘かったのかもしれない。

 去年のグレートマザーの絵の展示を最後に、オーナーの足取りは掴めないようだ。



津久井-119
 震度5ぐらいの地震には、耐えられそうにもない様子。



津久井-117
 耐震基準、満たしていないでしょうね。



津久井-105
 誰か管理人でもいいから、降りて来ないものかと、目立つような咳払いなどしてみる。



津久井-104
 誰もいないのか・・・・・・



津久井-113
 窓の一つ一つの動態を抜かり無くチェックする。



津久井-107
 編み物まで・・・

 盛り込み過ぎにもほどがある。



津久井-101
 ふと、ある一点に、手繰り寄せられるように目が吸い込まれていったのだった   



ビル-2
 あろうことか、二通の封書は、XーXーXX債権管理回収株式会社からのものだった・・・

 一体、オーナーの身に、今、何が起こっているというのか   




つづく…

「デビュースの庭、大崩落」空中回廊のある、廃墟ペンション.4

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