入舟-32
 もう敷地内の大抵の物件は見終わり、残すところは、正門と接する月極駐車場付近にある、損傷の度合いが激しい建物群だけになった。

 なぜそれらを最後に残してあったかと言うと、入船の正門は現在当然ながら塞がれているとはいえ、駐車場利用客が正門の横からちょっと首を伸ばせば、容易に中を覗くことが出来てしまう。おまけに、その正門近くの建物は崩壊が進行していて、内部の露出が激しく、建物内を探索中でも、駐車場からは丸見えとなるので、『変な人がいますけど~』なんて、ことになりかねない。

 リスクの多い物件は後回しにして、その前にやるべきことを思う存分、やっておけ、これは、廃墟探索における鉄則なのである。



入舟-29
 書いても書いても、何のリアクションも起こらず、一体、自分はどの方向へ向かって進めばいいのだろうかと、始終思い悩んでいた、ブログ開設から一年目ぐらいの、深夜の森を彷徨っているようなあの毎日・・・

 今では、ドイツにまで当ブログの読者がおり、わざわざ割烹入船の歴史と背景をリサーチしてくれ、メールで送ってくれるという、なんとも恵まれた、この頃   

 ドイツ在住といっても日本人の方ですが、その人がご丁寧によくメールで感想をくれるので、僕としては、気楽にコメント欄からでも全然構わなかったが、何か国として特別な理由か規制でもあるのかなと考えてみたところ・・・・・・大変迂闊だった。

 僕は幅広く海外からの読者の意見も貰おうと思い、ブログの管理ページが初期設定では『海外からのIPアドレスは拒否する』がONになっているところを、OFFにして、あらゆる国からのコメントを受け付けることにした。

 しかし、ブログの規模がある程度になってきた頃から、凄まじい、連射砲のような矢継ぎ早のスペイン語だかポルトガル語のスパムコメントが来るようになってしまったのだ。

 英語のスパムなら、管理設定で拒否できるのだが、スペイン語だかポルトガル語だとそれが出来ず、あれよあれよと言う間に、コメント欄が、怪しい言語による怪しげなサイトへの誘導コメントで溢れてしまう事態となった。



入舟-129
 そんなことで、海外IPアドレスを受け入れることは出来ない中、それならばと、感想やリサーチ結果をわざわざメールで送って下さるという、有り難いご厚意に甘えさせてもらいまして、まもなく地上から消滅するだろう、綱島の「割烹入船」の歴史を、送られた情報を元にして、紹介させて頂きたいと思います。

 カン様、ご協力、誠にありがとうございました。


 横浜の北部にある綱島は戦後、一時期米軍の慰安所となり、昭和30年頃までは東京の奥座敷(都市近郊の温泉街)として利用されていたが、交通の発達により、その座を熱海に譲り、その後、徐々に衰退の一途を辿ったという。
 
 最盛期には、300名の芸者がいた色街であった。



入舟-28
 東急東横線「綱島駅」すぐ近くの一角にある、今は廃墟のこの「割烹入船」。創業は大正初期。綱島の旅館としては古い方で、その歴史から考証すると、二代か三代は続いたと思われる。

 敷地内に火気厳禁の看板があった理由は、近隣のラドン温泉が冷泉のため、加熱するするためにガスが使用されていたことから用心のためだろうか。

 僕が入船内に舞い降りられた理由に、隣の敷地がコンビニやマンションではなくて、あきらかに区画整理で取っ払われて、その後、猶予のある間、一時的に立体パーキングが設置され、それが世間からの好奇な目を遠ざける結果となっていたことは間違いないだろう。

 その入船の並びにある、もう壊されたラドン温泉の隣にあった新水パーキング(旧 料亭新水)が、僕が訪れた時には工事の気配はあったものの、まだ姿を完全にとどめてはいた。が、現在、遂に閉鎖され、取り壊しが開始されたようだ   
 


入舟-130
 最後の難所へ突撃する前に、敷地内を周遊して、見逃した場所などの最終チェックを行う。



入舟-132
 ここまで繁殖してしまう。



入舟-133
 割烹入船、いつまで、時間は残されているのでしょうか。



入舟-134
 誰か侵入して落ち葉掃きでもしているのかと、一瞬、ギョッとしたが、屋根のおかげに違いない。



入舟-14
 今思えば、ここへ降り立った、胸が搖さぶられるような高揚感を味わった、あの瞬間が、数ヶ月も前のことにように感じられる。

 すぐ入った建物には、こんな小窓もあったなと   



入舟-93
 社長室手前の秘書室の壁には、何か細々と張り出されていたようだが、他に忙殺され、調べるまでには至らなかった。



入舟-135
 最難関箇所に行く前に、先程と違うもう一つのガラスの間、ここがまだ残されていた。

 ここまで来たら入らない理由は無いので、どうにか忍び込めないものかと、辺りを探ってみることにした   




つづく…

「消える、駅前廃墟旅館」駅前に眠る、廃墟旅館.7

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