轟音と共にはじけ飛ぶLEDランタン。一体・・!?

ブラックアウト-1
金城から大声で呼ばれ黒岩が背後を振り返ったその瞬間、凄まじい衝撃音と共に部屋が一瞬で暗転した。

“LEDランタンが壊れた?”

黒岩は本能的に身をかがめて、息を止めた。


アクシデントに場慣れした薄昏のメンバーたちは、衝撃の瞬間に澪がひッと大きく息を吸ったほか、誰も大きな声は上げなかった。

暗室の中を一瞬の沈黙が流れる。

「・・何、いま・・」

おずおずとホイさんがしゃべりかけたその瞬間、再び大きな衝撃音と共に板張りの床が振動した。

“・・何かが天井から落下してきている?”

だがその原因について深く考えている余裕はなかった。

「出るんだ!今すぐ外に!・・天井が崩れてきているぞ!」

黒岩が大声で叫んだ。

廊下-1
漆黒の部屋の中を障害物に躓きながら出口へ走るメンバー。思い出したように黒岩が懐中電灯のスイッチを入れて入口へ向かう床面を照らした。


黒岩が入口を走り抜けると、入り口から少し離れた位置で心配そうに寄り添うメンバー達の姿が月明りに映った。

大きくひとつ息をつくと、急いでメンバーの顔を見渡す。だれも怪我はしていないようだ。だが・・

「・・サブロウは・・・?」

サブロウの姿だけがそこに見当たらなかった。


黒岩達が慌てて入口に向かって走り出しかけたその時、サブロウの黒い影が入口に姿を現した。

右手には大きくひしゃげた何かの器具の残骸。左手には大きな塊を持っている。

「サブロウ、怪我はないか?」

安堵のため息とともに黒岩が声をかける。

サブロウはそれには答えず、なぜか憂鬱そうな足取りで皆の方へゆっくりと歩を進めると、両手に持った何かを無造作に地面に放り投げた。


ひとつは破損したLEDランタン。もう一つは直径20cm程の白樺の切り株だった。

切り株-1
「壊れたランタンのそばに転がってた切り株に、ランタンの破片が刺さってる・・」

つま先で切り株を転がした。


「・・・天井の崩落なんかじゃない。誰(・)か(・)が(・)俺たち(・・・・)に(・)向かって(・・・・)切り株(・・・・)を(・)投げたん(・・・・)だ(・)・・。」


「だ、誰かって、おい・・」

ホイさんが噴き出して笑う真似をしたが、上手くいかなかった。

その時、突然金城の頭に先ほどホールで見た奇怪な情景が蘇ってきた。


テーブルから転がったビールの空き缶。

数年前から放置してあると思われたその空き缶には、未だ飲み残しのビールが残っていた。そして流れ出たビールには、まだ炭酸の泡がパチパチと残っていたのだ・・。

それが意味するものは・・

「そ、それで黒岩隊長!おかしいんです・・」

言いかけた金城の言葉は再び遮られた。

鳥居-1
「あ、のさぁ!」

突然、Qが叫ぶように皆に呼び掛けた。

弧を描いたホイさんの懐中電灯が、青ざめた顔のQ越しに銀色の鋼壁を照らした。

「・・ロープ君が消えちゃったのらょ・・」

その声の震えが、強いて作ったおどけた口調を裏切っていた。

ホイさんがQの脇に駆け寄って懐中電灯を鋼壁に向け、狂ったように光輪を左右に振り向けた。

壁-1
ない、どこにもない。外界とこの山荘を繋ぐ、ロープの下端が・・。






おわり

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