やきにく-69
 鼻粘膜を綿棒で擦るような、朝の堆肥のような、軽めの塩素臭はするが、むせ返って気管支をゴッホゴッホとやるまではいかない。生ゴミの不法投棄が無いことが幸いしているようだ。

 いや、あったのかもしれないが、自然の力により処理分解されて、それが若干の異臭の元となっているのかもしれない。



やきにく-73
 多摩湖の無料産廃ランドへようこそと、皮肉の一つでも言いたくなってくる、この惨憺たる有り様。

 僕の家の近くの高架下でも、闇夜に白いベンツから降りてきた婦人が古い電化製品を捨ててゆく光景を間近で目撃したことがある。周囲は照明が届かず暗いので、不法投棄者には都合が良いのだろう。帰宅途中の僕の姿も彼女には直前まで見えていなかったらしく、彼女が違法廃棄行為をしているさなかに僕が露骨に真横を通ってやると、無実をアピールするかのように、その女は急に辺りをキョロキョロしだした。道に迷っているフリなのか、『ゴミ捨て場ここであっているわよね?』の演技のつもりなのか。実にわざとらしい。

 その女性の容姿は、最近、ZOZOの前澤社長といる剛力彩芽の奇抜なファッションが話題になった  ペットのサルを連れているイタリア人女性デザイナーみたいな姿  が、ネットでは「BBクイーンズのボーカルの女かよ」と指摘されていたように、まさにそれと奇妙なぐらい酷似していた。別に妬むわけではないが、前澤社長の腕には、一億円以上もするスイス製の高級腕時計がはめられていたとか。

 日も暮れた都下の郊外でそんなサングラス、普通するかよ?みたいな。今思えば、あのサングラスも偽装工作の一環だったかと思うと、僕が酷くあの女から侮られていたみたいで、今更ながら怒りが沸々と込み上げてくる。

 張り倒してやろうかなと思うぐらい、空々しく、ふてぶてしい、安いグレードのベンツに乗り精一杯見栄を張りながら、僅かな処分費用を浮かせるために違法行為に手を染める、嫌悪感を催させるその中年女性に、一言の注意もすることの出来なかった弱い僕自身にも腹が立ってしょうがない。

 そんな反省もあって、この多摩湖の産廃ゴミの告発に、特に力が入ってしまうのかもしれない。



やきにくR-1
 これだけのゴミ山の上に車が捨てられているということは、重機か何かを使用した業者の仕業に違いない。



やきにく-70
 別の車もあった。

※ホンダのアコードインスパイアの初代('89~'95年)モデル。グレードはAX-i。バブル真っ最中のモデルだけにダッシュボードに貼ってある木目パネルが本物の木だそうです。

さくらエボ様、ご指摘、どうもありがとうございました。



やきにく-71
 違法産廃の毛布に包まれて安らかに眠る、お人形   



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 高度成長期の日本なら、そこら中にあったような風景だが、いまだにこんなのが残されているとは。それも静寂極まる、風光明媚な湖の周遊道路の一角に。



くるま-1
 瓦礫というジャッキに持ち上げられていてとても不安定な状態だ。



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 紛れもない事故車両。

 業者はユーザーから処分費用を貰っておきながら、山に車を捨てて、お金はそっくりそのまま懐へとおさめたのだろう。

 元の所有者を確認出来る書類でも無いかと、助手席のグローブボックスを開けてみようと思ったが、廃車両が今にも崩れ落ちて来て、下敷きになりそうだったので、深追いは止めておいた。

 車に押し潰されたまま、発見は二十年後とかだったら、僕の人生、あまりにも情けなさ過ぎて親もきっと言葉を失ってしまうことだろう。



やきにく-74
 白い車は一台だけではなく、複数台が折り重なっていた。もう、やり放題。



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 この時は、こんなにも急峻な山の上によく焼肉屋を作ったものだなと、違和感を覚えながらも、膝付近まで生い茂った緑の山を荒い息を吐きながら、登って行った。



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 荒れた草木の中に、白いスクェアな二階建ての学生アパート風の建物。その横には三角屋根、倉庫だろうか。

 焼肉屋には見えない。



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 山頂に建ち、付随施設を従えるその様は、確かに「要塞」の名前に相応しいようにも思えた。



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 森の付随物となりかけていた、焼肉要塞と呼ばれる建物に、入ってみようと、口の開いた入り口の前、渡し板の上に、



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そっと右足を置く   




つづく…

「朱の祭壇と地下室」産廃山脈の頂き、廃墟焼肉屋.3

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