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 名付け親は誰なのか、焼肉要塞という名称とはかけ離れているようにも思える建物の中に入って行った。

 正面に赤い階段があり、右には一階の三分の二を占めるぐらいの広い部屋。

 部屋といっても、本館に併設の別館のような存在。外からみた限りでは。

 色合いといい、間取りといい、どう見ても元焼肉屋には見えない。

 違和感を特に感じる大部屋の別館の方をまずやっつけてみれば、何か少しわかりそうなもんだろうと、僕はまず右の方を選んだ。



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 赤いジュータンで統一されているようだ。

 室内調度品などは持っていかれた後らしく、廃棄物しかない。いや、建築の途中の未完成な姿であって、それらの資材が置かれたままなのだろうか。

 奥に入り口がある。



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 鮮血のような色で塗られた祭壇らしきものがあった。

 焼肉屋ではないことは確実だろう。

 宗教施設か、結婚式場か。

 結婚式場だったら、外観を一戸建て住宅のような地味なものにしないだろう。この赤い祭壇のようなものがある建物は三角屋根で、教会を模したものに見えなくもないが、用途が結婚式場なら外観はもっと夢のある華やいで派手なものにするはず。



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 落ちている物を調べても建築関係の資材ばかり。

 赤い棚には使用感が無い。ここはオープンすることのなかった、未完成物件なのだろうか。



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 中央壁際にパイプオルガンが置かれていたらと、頭の中で想像を掻き立ててみる。

 神父と花婿花嫁。

 ロッジ風の三角屋根は質素で地味かもしれないが、教会を意識していると言われれば、納得できないこともない。



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 ここが元焼肉屋でないことはよくわかった。



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 トイレへ。



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 ウオシュレットタイプだな、というぐらいで、至って普通。

 結婚式場だとして、会場にしてもそのトイレにしてもこの規模なら、こじんまりし過ぎだ。



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 正面入口から入って奥の部屋。

 金箔タイプの壁紙。



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 先日、廃墟化した行川アイランドに行って来た。そこに描かれていたグラフィティはどれも上手でレベルの高いものばかりだった。昔のファミ通の表紙みたいな感じ。強者が強者を呼んで強者が集う場所なのだろう。

 ここは無名の廃墟だけあって、落書きのレベルとしては最底辺ではないだろうか。



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 多摩湖湖畔にある廃墟ラブホテルを順番に見て来たが、ここの前を通りかかった時、敷地内から喚いている複数の男子高校生達の声がしたのである。

湖畔の廃墟ラブホテル訪ね歩き

 次はこちらを見ようとしていたが、先客がいるようなので、僕はこの場所を避けてひとまず別の目的地へと行った。

 別の場所の探索に時間がかかったので、その日は帰ってしまい、再び戻って来たのは半年ぐらい経ってからの今。

 ヤンキー以外にも、育ち盛りの中高生が学校帰りに暴れているとしたら、この荒廃ぶりもわかります。



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 クセのある内装は規模的にも、宗教施設ぐらいしかないような気もする。



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 正面入口を入った左側へ。



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 元の建物がなんであったかの手掛かりが、ことごとく失われている。



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 フレームのみ。



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 地下室があるようだ。

 コストのかかる地下室をこんな田舎にわざわざつくるとは。



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ここは、やばいよ、きおつけろ。

 地下への階段の壁に警告をする書き込み。

 正直、そんな物があるなら、千円ぐらい払うから見せてくれよといつも思う。

 事故物件住みます芸人とか、心霊動画など、思わせぶりで緩すぎて底が見え透いていること甚だしい限り。



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 今の日本に、でっち上げのヤラセではなく、純然たる超常現象のたぐいで、僕の肝っ玉を縮み上げさせる刺激はないものかと、期待もせず、降りていった   
 


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 長期ではないにしろ、ホームレスが寝ていたらしきマットレスが置いてあった。

 この本によると、退屈した廃墟マニアはいつしか廃墟で寝るようになり、それに飽きると地下鉄の廃駅探し、閉鎖された地下施設探検、やがて建築中や大都市のランドマークのビル登頂を目指すようになるらしく、欧米ではそのコミュニティーが活発。ロシアでは高層ビルからのティーンエージャーの落下死が社会問題化しているとか。







 廃墟で寝るぐらいはあっても、その先が日本で見かけないのは、外れた行動をする人を死ぬまでメディアも含む総出で叩くような風潮があるからでしょう。

 ネットで公開されている、ある廃墟のオーナーの画像を資料として引用しただけで、「それはどうなんだ」と、長々とクレームを言ってくる人がいるぐらいなので、この日本で暮らすのは、息の詰まるようなことが多いのを覚悟しないとならないようです。
 


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 二階へ行ってみます。



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 展望台からの山の緑が、目にも鮮やかだった   




つづく…

「偽装宗教法人事件の舞台に立つ探索者」産廃山脈の頂き、廃墟焼肉屋.4

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