行川アイランド-57-28
 第一のトンネルの中を、蝿が肩にたかるぐらいのゆったりとした速度で進んだ。

 トンネル内は荒れている。

 懐中電灯なんているかい、と、ひとり強がってみせたが、歩き出して早くも三メートルほどで自分の姿さえ判別できない暗闇に心もとなくなり、左の胸ポケットに入れておいたLED懐中電灯を取り出し、我が足元を照らし、地面の凹凸を確認しながら、慎重に歩いて行った。



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 入ってきた方を振り返る。

 防空壕でもないし、この中途半端な大きさのトンネルの意味は?

 下は整地されていなかったのか、デコボコだらけで子供が歩くには危険が伴っただろう。

 天井に証明器具の跡も無い。

 こんな暗くて足元の悪い洞窟みたいなトンネルをお客に利用させていたのか。



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 トンネルをくぐり抜けた先には、避暑地で有閑マダムが寛いでいそうな白い椅子が。

 すぐ右にまたトンネル。



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 椅子の背後に木陰があって、そこにはカバの滑り台が大口を開けたままで待ち構えていた。

 

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 滑走距離一メートルもない滑り台。当時のちびっ子は満足していたのか。



行川アイランド-97-35
 草原の先は斜面があり、そこには産業廃棄物らしきゴミが大量に捨てられていた。

 斜面を下ったところには柵が立てられていて、柵を隔てた向こう側は先程までいた駐車場になっているようだった。

 一時期は柵もなく、トラックで乗りつけた業者が好き勝手に産廃を捨てていたのでしょう。



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 キルリ文字のアクリル看板。

 ロシア館か、マトリョーシカなどを売るロシアの土産物屋でもあったらしい。



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 これらのトンネルはショートカット用のトンネルだろう。

 園内の行く先々でトンネルをくぐってその先に行ってしまうと、見逃す部分が出てくるだろうと考えて、来たトンネルを引き返して元のメインルートらしき道を順に辿って行くことにした。これなら近道せずに、行川アイランドの全てを見ることができるはずだ。



行川アイランド-58-29
 バリケードのあった入り口まで戻る。



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 進めど草木ばかりだった道に山がありその上に人工物が見えたので登ってみることにした。



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 険しい山に予想外の体力を消耗する。まだ敷地内に入ったばかり。先は長いので体力は温存しておかなくてはならない。

 大物物件でもあればいいが、しょぼそうな雰囲気がアリアリだった。



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 波の音がきこえる。海が目の前にあるようだ。

 かつてここに展望台があって、台風で被害を受けたまま放置されているのだろうか。



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 草や枝に阻まれてこれ以上進めなかった。

 切り立った崖の上だった。遥かに霞む青い海と岩場が見渡せる。

 大した成果も見出だせなかったのに、500mlのペットボトルの水を三分の一も既に消費してしまっていた。

 ここは外界から閉ざされた空間。飲水の分量など考えて飲まないと、持ってきたペットボトルの水などすぐに使い果たしてしまい、熱中症になって一人園内で倒れて、野垂れ死ぬなんていうことも、充分有り得そうな気がしてきた。

 スマフォをみると、格安SIMのDMMだからなのか、電波は繋がらない。

 意識朦朧として地面に伏したら、例え腕が動いても、助けは呼べない。

 全ては自己責任だ。



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 またトンネル。



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 歩いて行くと途中で壁の内装が無くなり、素の掘削跡が露出する。

 まさか、親子連れで懐中電灯を持っているわけもなく、貸出しもしていなかっただろう。ということは、この僕でさえ暗闇に少なからず恐怖心を抱くのに、当時の子供連れはこの暗い中を親が子供を励ましながら、通り抜けたのか。

 子供心にトラウマになりそうなトンネルだ。



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 蛇までいた。



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 白い椅子が別方向から見える。



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 密林地帯を抜けて、視界がひらける。

 どこにも出没しますね、彼らは。



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 やっと、行川アイランドに来たと感じさせてくれる風景に出逢いました。

 幼少の頃に訪れてみたかった   



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 古代の壁画みたいに馴染んでます。



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 この下手さだと、まだ昭和のヤンキーの卑猥なスプレー文字の方が心に訴えるものがあって印象に強く残る。



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 険しい道がなおも続く。

 無数の蜘蛛と蜘蛛の巣との闘い。

 電車で来たなら、帽子は必須です。無帽なら、鳥の巣みたいな頭で、通勤ラッシュの中、好奇の目で見られながら帰宅することになるでしょう。



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 畑があってお百姓さんでもいるのかなと見つめるが、そんなはずあるわけがない。



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 ゴーカートでもあったのかな。



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 暑い、坂道はきついは、当初の廃墟遊園地に来るような優雅なイメージとは違っていた。



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 抜け目が無い、至る所のコンクリートに書きたがる、グラフティーアーティスト、、、とはいえない、手前の人達。



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 行川遺構、そんな言葉が似合うぐらいに朽ちかけのコンクリート壁。



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 ルートをそれて、土の上に僅かに残る人為的な痕跡を追って行くと、見逃しがちな奥まった場所に、遺跡のような階段を発見する。

 客用の施設ではないだろう。

 僕はこの階段を見て、海外ドラマ「ロスト」の一場面を思い出さずにはいられなかった。

 地図に存在しない島に不時着したジャンボジェット機。

 無人島だと思われた島を、水や食料を求めて探索する乗客達。

 突然、一人の男性乗客が、狂ったように地面を掘り出す。

 数メートル、数十メートル、日毎に深くなる。

 絶望的な島に残されて、気がふれてしまったのかと、冷ややかな目で土をかき出す彼を遠巻きに見る、他の乗客達。

 ところが、地中の奥深くで、コツンと手応えが。

 人工の建造物があった。地下施設があったのだ。

 僕がロストみたいなのを期待してしまうのも当然の流れと言えるだろう。

 かなり疲労は蓄積していたが、とどまるところを知らない並々ならぬ探索意欲が、僕を上へ上へのこの千葉にあるはずもないユートピアの幻想へと押し上げようとするのであった   




つづく…
「グラフィティの真実」落日の廃墟、行川アイランドに行って来たよ!.4

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