初詣などもう十数年もいっていない僕。
廃墟探索にかこつけてお参りもできたらさぞ都合が良いだろうと、そんな虫の良い物件はないものだろうかと探してみたところ、無理して遠出をすることなく、わりと近場で廃寺なるものが存在することがわかった。
正直、今の僕には、『一生に一度でいいから軍艦島に行きたい』『マヤカンが憧れの地!!』というような心の中の聖地みたいな場所がない。そんなのが見つかれば借金をしてでも行くが、これといったのが無いので、ならとりあえず、近場の目ぼしい自分好みの所を虱潰しに行っておこうと、今回も近場を条件に探してみたのである。
東北あたりの僻地の限界集落の村にあるお寺ならわかるが、横浜の東急東横線の白楽駅を降りてすぐにその廃寺はあるという。
廃寺というだけあり、既に住職はお亡くなりになっている。後継者もおらず、寺の維持管理は近所の方によって細々て行われていて、堂々と寺を見学をしたい場合には、週に一度の公開日に行くと参拝者とともに敷地内に入れるそうだ。
ただ、それで入っても本堂で手を合わせてハイ終わり、となるだけに違いないだろう。
狙いは、旧本堂と元住職さんの住んでいた家。
抱負な残留物で溢れているという話である。
僕は団体行動が本当に嫌いで、それが極まって、北朝鮮観光でさえ一人で行ってしまったぐらいなので、この廃寺「吉祥寺」とてそれは同じこと。
平日の誰もいない静かな時間をみはらかって、神妙な面持ちで、この「吉祥寺」にお参りをさせてもらうことになった。
年明け一発目の更新だったので、初詣と話を合わせてみたが、実際にここに訪問したのは十二月の下旬。その時、来年の初詣のことなんか実はこれっぽっちも僕の頭の中には無かった。
新しい年を迎えるにあたり、続き物のシリーズで幕を開けるのは手抜きのような気がするし、よくある去年のまとめみたいな記事にしてお茶を濁すのはせっかく読んでくれる人にたいして不誠実であるような気がして、あぁ、そういえば廃寺に行ったっけか、ならその記事を初詣と絡ませて更新すれば世間は今まさにその最中だし注目度も高くなるだろうと、新年のスタートに廃寺訪問を持ってきたというわけなのだった。
境内はかなり広いが、まず人は入ってこないだろうから、心にはゆとりさえ生まれる。
ちなみに、正門は閉鎖されていた。
赤い前掛けをつけたお地蔵様が並ぶ。
新石器時代のインドでは既に卍模様は生まれており、仏教やヒンドゥー教で頻繁に使用されてきた。卍はサンスクリット語でスヴァステイカと呼ばれ、吉祥(良い前兆)の印として仏教でも「幸せ」「めでたい」という意味を持つ。
今回の目的は本堂ではないので、遠目から眺めておくだけにしておいた。
どんな意味があるのか、全くわかりませんが、住職の廃屋にお邪魔する前に、少しだけ、敷地内見学を。
これは、ネコの仕業でしょうね。
無縁仏が増えているそうですが、日本中のお寺もここみたいになってしまうのでしょうか。
新四国八十八ヶ所講
巡礼ができるようになっている。
大正九年九月。
この建物とその並びにあるのが今回目的の物件。
まあまあ擦られているこの物件。
僕独自の結果を出すことが求められるだろう。
建物裏に回る。
中途半端な長さの灌木の千切れたのは洗濯用の物干しか。
紙みたいな材質がめくれ上がっている壁。
お悔やみ広告が掲載されている新聞の断片だが、相当古い時代のものだ。
※この「小網源太郎氏」は、大正から昭和にかけて日本橋から築地へとお魚の市場を移転する際に大きな役割を果たした方のようです。平成22年の都議会の議事録を見ると、ある委員会でお名前が出されています。ヨーロッパや北米の市場を視察した直後に急に亡くなられたようですが、その後の築地移転に見聞が活かされたとのことです。
ししょう様、お調べいただき、ありがとうございました。
戸口は盛大に開かれたままになっていた。
旧本堂、及び並びに建つ住職の廃屋にて、執拗かつ丹念な探索作業の結果、聖職者とはいえ男なら誘惑に負けてお読みになるのも致し方ないだろう、艶めかしい本の数々、そして、貴重な大変古い時代の写真アルバムも新年に相応しく今回発見の運びとなった
つづく…
「溢れる残留物」廃寺参拝に行って来たよ!.2
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コメント
コメント一覧 (31)
ヨーロッパや北米の市場を視察した直後に急に亡くなられたようですが、その後の築地移転に見聞が活かされたとのことです。
カイラス
がしました
カイラスさんのブログ、そして読者から寄せられるやり取りを拝見するのが楽しくて(あれ?というのもあったりだったので)こちらに書きます。
実家の寺に 跡取りがなく、そこの近所の寺に同じ宗派のお寺の次男坊が 補佐役として派遣されてます。(お嫁さんがまだなので 一緒に暮らして居られるそうです)
カイラスさん、皆さま
よい年になりますように
カイラス
がしました
解った事だけ報告します。
吉祥寺は正式名を海浦院 新源山 吉祥寺と言い、新義真言宗寺院です。
明治の廃仏棄釈まで東神奈川駅前の金蔵院の末寺で、金蔵院歴代住職が隠退した際に住む隠居寺でした。開かれた年代は未詳。
本尊は大日如来、門を入り左に庚申塔、右に稲荷社の祠が在ると文献に記されてますが、位置関係合ってましたか?
昔の白楽駅辺りの地名は小伝馬町と言ったらしいですが、その辺りは古代の店屋(駅伝制の基地)が在り日本武尊も滞在しました。
神大寺地区はその名残り地名と思われる寺院も戦国時代までありました。
六角橋宝秀寺は日本武尊が滞在した大伴氏の大伴久應邸蹟の聖地を寺院化した場所と伝わります。
一帯の江戸時代の名主は石井源左衛門の子孫で名前からして源氏の石井家、官途は左衛門尉。小田原北条家臣で室町時代は津久井郡藤野町沢井の領主でした。左衛門尉は関東最強の武将の大船駅前に在った玉縄城主北条綱成公の左衛門大夫の部下の証拠で、一帯は北条綱成公付家老の間宮家が斎藤分町やイオンの辺りを領していたので間宮家の与力に後から配属され神奈川に移住し安土桃山時代を迎え北条家の滅亡で江戸時代に庄屋に成ったようです。
六角橋に石井さんて地主が今もいれば吉祥寺の事も情況が解ると思います。
金蔵院の御住職は御不在でしたので日を改め取材してみますね!
カイラス
がしました
夏辺りにこちらのブログを読ませて頂いて以来、カイラスさんの生き方、人柄を思わせる様な文章にすっかり虜になりました。
機械オンチでして、パソコンもまともに使えないくらいなのでスマホを扱いなれず、ラインもせずに「インスタバエ?」という超アナログな私ですが、お陰様で色々と興味を持つようになりつつあります。
酪農の仕事が忙しく、お正月も何もありませんが…!毎晩、時には2時や3時に眠りにつくこともあるので、「少女の日記」のキョーコさんの事が少なからずわかり、他人事でない感じです。
どの話も楽しみで、これはもはや依存か中毒と言えるくらいです。
(外国の絵葉書も興味があります!怪しい食べ物も大好きです。自伝もいずれは…?)
皆様のコメントも面白い!勉強になる事も多いです。
一昨年亡くなった叔父のお墓参り(近くに廃墟があり気になり調べた)から繋がりたどり着いたプレゼントの様です。大切な時間を分けて頂き有り難うございます。
どうかお怪我をしないように気を付けて、健康第一で(私もですが)日々、楽しんでください。
ファンの方々と高麗人参酒(?)を酌み交わす事がありましたら是非…!(笑)
カイラス
がしました
今年もカイラスさんの御健闘お祈り申し上げます
廃寺に初詣とはさすがと思いました
私は一日に高幡不動に初めて行きましたが、あまりの行列でやめて帰りました
やはり、こういう人の少ない(?)とこの方がいいですね
神様いるかわかりませんが・・・笑
カイラス
がしました
私も廃墟は興味ありますが、実際に行ったりする勇気はないので、このブログで楽しませて貰っています。
今回の廃寺も今後の展開が楽しみです。これからも応援させて頂きますので、宜しくお願いします。
カイラス
がしました
本年も無病息災・御活躍をお祈り申し上げます。
いやぁ、随分と近くに来られていたんですね。
ここの白楽ともう一個先の駅の丁度真ん中ぐらいに住んでいるのでもろ近所です。
こっちに移り住んで10年程ですが、だいぶ前に一度だけ見に行った事があります。画像を見る限り変わってない感じです。近所のおじいちゃんおばあちゃん達がたまに手入れしに来ているみたいです。すぐ近くに駅や賑やかな商店街があるのにこの寺のある周辺だけ時が止まったような不思議なとこです。白楽界隈は戦前からある古い街だからかこう行った雰囲気の場所がちらほらあります。
廃墟ではないですが、隣の東白楽駅近くの桜の名所でもある孝道山と言うお寺も孝道教団と言うちょっと聞き慣れない宗派のお寺で一風変わった?雰囲気のあるお寺があります。
カイラス
がしました
今年も宜しくお願いします‼
まだ初心者でビビりの散策者もの為に、周囲を気にせず散策出来ません。
特に、侵入時と何より脱出時が緊張します。
それと、侵入可能な廃屋と不可の廃屋の見分け方って無いでしょうか…
ずっと廃屋だと思って居た場所の蛇口から水が出て、焦った事が有ります…
カイラス
がしました
さて、間違いを指摘させて頂きます。
無住職は廃寺ではありません。
廃寺は本当に廃した御寺で檀家もいません。
拝見すると檀家様が御手入れに来られてますよね。
それは他の寺と兼務の御住職がいらっしゃるはずですよ。
あと御寺の住職は世襲であっても実は檀家さんに雇われている身分で御寺を廃する権利は根本的にありません。
例えば曹洞宗では、この御寺の様に先代御住職に跡継ぎの若様がいない場合、定年退職してから僧籍を得た和尚様を赴任させるシステムに成っています。
他の仏教宗派も同じ様な場合が多く、廃する場合は更地にしてしまいますよ。
カイラス
がしました
古い家なら基礎も無いので縁の下からの風も畳の下に新聞紙敷き詰めてそう?
僕もここ暫く初詣行ってないですね。昔は無料で振る舞われる、御神酒や甘酒目当てに高校生の分際でスーツ着て成人のふりして行ったのを思い出します。
キョーコさんも今回帰省して、集体をしたあの学校前の山にある神社へ初詣行ったのではないでしょうか?
カイラス
がしました
明けましておめでとうございます。
今年もカイラスさんのブログでタイムスリップを楽しませてもらえる予感がありありですね!
怪我などされないようにしてくださいね(^^)
カイラス
がしました
嫌いな時もよくあるけどこのブログ好きです(*´-`)
カイラス
がしました
艶めかしいものとは一体…
廃墟とエロはきっても切り離せない存在ですね!
カイラス
がしました
今年も楽しみにしています
カイラス
がしました