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 僕がいま立っているのは、界隈では「焼肉要塞」と呼ばれる建物の二階バルコニー部分。

 登記がされていた名前なら「大古久山御所院」となるのだろうか。現在書類上は個人名になっているかもしれないが。

 事件に関わった、このお寺の住職、暴力団関係者、元町議、などは逮捕され、宗教法人も破産手続きが行われたようである。

 次の買い手がつくはずもなく、土地や建物の権利者は以前のままであり、失意の中の所有者による無管理状態が続き、このような荒廃ぶりに拍車を掛けているのか。



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 二階の窓には合板が打ち付けられていた。つまり、廃墟を荒らす侵入者を防ぐ対策は講じられていたようである。対策を講じた人が元住職の人かどうかわからないが、到底カタギの人ではないのは明らかであり、この建物にある背景をよく知ると、ケリで壁に穴を開けていたヤンキーや高校生などによる無秩序な破壊行為は、減るというより、見回りに来た時に出くわしたら大変なことになると、無茶なことはしなくなるのではないだろうか。



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 何かの同好会みたいですが、追い込みをかけられないように、御用心ください。被害の全ての責任を負わされたりして。

 これを読んで、行ってみるか、なんて思った人、くれぐれもお気おつけください。廃墟で怖いのは、心霊現象でも陥没した床でもなく、そこに住まう人間、もしくは、関係者、つまり、人の存在なのです。



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 所有者がどうであれ、この好き放題のやられよう。多少の同情も湧いてこないことはない。

 一階に降りる。



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 法衣を纏った偽住職、ほんの数年前まで、ここを歩いていたんですね。

 廃墟には、管理された壁の外ではとうに失われた、いかがわしいロマンがまだ残されている。



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 先日コメント欄で、このブログにも何回か出てくるナショナルの製品「ハイハイ見張り番」の中にある音源ICチップが今では希少価値があるのだと、ご指摘を受けました。ということは、廃墟にある「ハイハイ見張り番」をこじ開けて、チップを取り出せば、ヤフオクなどで高く売れるということなのでしょう。廃車のOPのホイールや、ハンドルに価値があるのと同じように。

 時代が進むにつれて価値のあがる潜在的なお宝も、廃墟には眠っているということになる。

 リアルなロマンが、充溢してます。アニメじゃな、、、いや、、危ない、危ない・・・。

 軽はずみに「君もおいでよ!」とは言えませんが、夢のないこの時代、演出のされていないファンタジーが、廃墟にはゴロゴロと眠っているのである。



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 借景も、楽しめる。



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 もう出涸らししかないだろうと、外へ出て、木造建築のはずの焼肉屋の残骸を探してみることにする。



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 風通しが良いと、雨や雪は入り込み放題。痛みは格段に早い。



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 誰も守っていない、警告表示。



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 山の下まで降りるが、それらしきものは見当たらない。

 傾いて朽ちかかったかろうじて原型を保っている木造の建物があるはずなのだが   



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 大量の汗を流しながら山の下を探してみるものの、焼肉屋の残影すら見つけることはできなかった。

 結論としては、産廃でここに山を築いた時に埋められてしまったのだろう。



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 山の向こうには何があるのかなと、



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 越えてみることにした。



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 森を突き進んでみる。

 先は見えて来ないので、距離はだいぶありそうだ。



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 正しくリサイクル料金を払っている人間からすると、なんとも腹立たしい行為。



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 三十分は歩いただろうか。

 途中にソールが浸かるぐらいの川もあった。



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 大きな期待をしていたわけでもなかったが、肩透かしのような、民家の裏に出ただけであった。

 見所も特に無く、しいてあげれば卵を売る店があったぐらいのものか。



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 偽装宗教法人による偽装寺のある前の看板。皮肉だろうか、お地蔵様が「不法投棄は許しません」と柔和な表情ながら厳しい口調の警告を発していた。

 僕は焼肉要塞を背にバイクを出発させ、紅葉の中の車の通行の一台も無い静かな道を走り抜けていった。

 この場所が事件の舞台になっていたことを知るのは当然ながら、だいぶ後のことである。

 

 
おわり…

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