鴻之舞-159
 開閉式の窓枠はだらしなく開け放たれていた。ほぼ全ての窓ガラスは消失している。それがヤンキーの仕業ではないことは、落書きが無いことや花火の燃えカス等が見当たらないことで大体察することができる。

 豪雪など、過酷な自然の仕業でしょう。

 これ幸いと窓から入ろうとするも、そんな必要は全く無さそうだった。



鴻之舞-106
 煙突からはそんなに離れていない。



鴻之舞-108
 回り込むと離れのような建物。

 屋根は抜けていた。



鴻之舞-149
 企業側は資料を廃棄してしまっているので詳細が語られる機会は少ないが、炭鉱や鉱山関係の本を読むと、嫌でも戦前戦中における朝鮮人や中国人の徴用、強制労働に目がいく。

 このような極めて小さな窓の部屋に夜は監禁。作業場までは繋がれて移動。服も満足に与えられず、彼らは拾ったムシロを服代わりに体に巻き付けていたとか。靴も支給される場合もあるが、大概は職員に搾取され、極寒期などマイナス30度にもなる日があるというのに有り合わせの布を足に巻いて寒さをしのいでいた。

 そんなだから凍傷が絶えず、食事も満足に与えられないので、衰弱して死亡する者や脱走者が大勢いた。脱走しても朝鮮人らは地理に疎いため、大抵は途中で捕まって戻される。すると、見せしめのために、大勢の鉱夫のいる前で気絶するまでのリンチ。水をぶっかけられて意識が戻ると再びリンチ。リンチにより命を落とす者も少なくなかった。

 日本の敗戦が伝えられると、炭鉱会社の職員は朝鮮人作業員の報復を怖れてさっさと東京の本社に帰って行った。倉庫には、本来なら支給されていたはずの作業服や作業靴が山のようにあったという。

 ここ鴻之舞でも多くの朝鮮人労働者が作業に従事していた。三井の関連会社のある九州の炭鉱へ鴻之舞から移動させられた朝鮮人労働者も大勢いた。

 この建物はタコ部屋では無いと思うが、仮にそうだったとしても、窺い知るものは全て取り払われているのである。


遺骨は叫ぶ―朝鮮人強制労働の現場を歩く
野添 憲治
社会評論社
2010-08-01



鴻之舞-107
 不明の建物周りに沿って行く。



鴻之舞-109
 いつぞやの、ツーリングマップルのカラー写真ページに写っていた、お目当ての建物と遂に御対面。

 これがそうなのかと、しばらく余韻に震える。

 ツーリングマップルを発売している「昭文社」の業績が悪化しているそうです。希望退職者を募っているとか。そういえば年々ツーリングマップルのクオリティーが低くなっているような気がする。紙質や内容。車の旅行でも、ツーリングマップルは細かい情報が載っていて便利にしているんですが、先は長くなさそうです。



鴻之舞-126
 窓から入る必要なんてなかった。

 建物の中の機械を撤去する時、重機を使用するために壁ごと崩したのか。

 とにかく天井までの大穴が開いていた。



鴻之舞-132
 中は空でも、こんな豪奢なコンクリート造の建物が、森に隠れているとは、行き当たりばったりの旅だと、わからないものです。

 構内を二階まで見回った後、僕だけの秘密の場所「週間ベースボールハウス」へ訪れることになった   



つづく…


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