回廊ペンション-109
 雪崩のような轟音とともに崖下に崩れ落ちていったデビュース・オーナーの夢の結晶、多層階コンサート・ステージ。

 これなら我を見失って、あることないことを吹聴しているあのホームページの壊れたような言葉もついつい口からなだれ出てきてしまうのかなと、デビュース・オーナーに多少なりとも同情を抱き始めている僕が、ここにいた   



回廊ペンション-110
 独力で、いや、ご夫婦で廃材を拾って来ては毎日コツコツと作業されていたのか。

 目も霞む、気の遠くなるような作業だ。
 
 

回廊ペンション-111
 空中回廊ではなかった。

 ステージ中央部が崩落を起こし、周縁部分がまるで渡り廊下のようにコンパネ縦一枚分づつ残ったものだった。



回廊ペンション-112
 夫婦二人でやられたとして、どれほどの歳月をかけられたのか。

 壊れるのは一瞬だった。



回廊ペンション-113
 口が半開きになり声が声にならない。



回廊ペンション-114
 これほど器用にコンパネを使いこなす人が他にどれだけいるだろうか。



回廊ペンション-115
 森のピラミッドとまでは言い過ぎか。



回廊ペンション-116
 デビュースオーナー、しばらくは放心状態だったことでしょう。



回廊ペンション-117
 批判ばかりでなく、最後には相手の懐へと入ってゆくのが僕の今までのやり方でもある。



回廊ペンション-119
 捨てられたこけし。



回廊ペンション-118
 ステージに関しては思い残したことはもう無いと判断。

 階段を下る。



回廊ペンション-120
 残された廃墟。

 必至な売り込みを図る針の振り切れたホームページ。

 休眠状態のけばけばしい装飾のツギハギビル。

 債権管理回収会社に追い込みをかけられながらも、強い絆で結ばれているご夫婦。

 知ろうとすればするほど、答えから遠ざかってしまっているような気がしてならなかった。



回廊ペンション-121
 まだ地下が残っていた。



回廊ペンション-124
 入っているはずはないけれども不気味さを感じて思わず施錠確認。

 鍵は閉められていた。



回廊ペンション-123
 


回廊ペンション-122
 文字通り地下なので懐中電灯が必須。

 ここ以外にも、広々とした地下一面は風呂だったりサウナ室のような部屋ばかり。石造りの床と壁はどこも綺麗に掃除してあって残留物は一切無し。



回廊ペンション-21
 息の詰まりそうな空間を早々と抜け出して一階に戻って来た。



回廊ペンション-15
 息を落ち着かせようと床に腰を下ろしてぼんやりと前を見ていると、見逃していた残りの子供の落書きを発見する。

 デビュースからの眺めとお母さんを描いたのだろうか。



回廊ペンション-129
 お母さんは犬を連れていた   



回廊ペンション-127



回廊ペンション-141
 軽く一礼をして、いつもだったらこれにて探索は全終了となるわけだったが、数々の疑問は一切解明出来ておらず、それらを確かめてみたいという気にさせられ、その高揚感はここへ来る時以上に高まっていたのである。



津久井-35
 気づくと僕は、廃墟ではないかとの噂もある、ソワールの本山とも言うべき場所に、バイクを走らせていた   




つづく…

「御主人の心を映し出す白壁」空中回廊のある、廃墟ペンション.10

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