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 わたし、演劇部所属で目下文化祭に向けてダンスの猛練習中の三崎真琴。今、片思いの男の子がいるの。よりによって大の仲良しの”のん”の片思いでもある、若松武人君。

 武人君も同じ演劇クラブ所属よ。一年生の頃はツッパっていて成績も酷かったそうだけど今ではテストの成績が毎回80点以上もとる努力の人。

 私には一年前まではお互いに心を寄せ合っていた上杉耕平っていう彼がいたんだけど、今じゃ顔を合わせると私の方から突き放してしまうような仲。

 のんには悪いけど武人君のことを想うと、耕平のことを忘れていられるの   



読み方に彼女流の特殊性があり、左から縦読みとなるので、ご注意下さい
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   一年前、真琴と耕平が仲良く談笑する今では想像もできない二人の姿が・・・・・・

真琴は耕平との思い出を断ち切るように   

「そうよ・・・・・・ 関係ない・・・!」

邪念を振り払うかのように文化祭に向けて一心不乱にダンスの練習に打ち込む、真琴。レオタード姿も凛々しく。

「ハイ、そこまで! いいわよ、マコト!」

「さんきゅう    ♡」

ガラッ(戸を開ける真琴)

「あれ・・・・・・」



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そこには、若松君の姿が・・・

「やあ  」

「・・・・・・若松くん・・・・」

「マコ・・・・・・まってたんだ・・・。」

「何・・・・・ ?」

「マコ・・・・・」

「好きなんだ。つきあってくれ。いいよな・・・」

「!」


つづく



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 インターミッションのような間が設けられる。

 細部までの書き込みに余念が無い、和香子ちゃん。

 前回同様、アゴのライン、そして今回はロングヘアーが風にたなびく表現にこだわりをみせる。

 

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つきあってくれと真琴に告白をした、若松君。不意を突かれた、真琴   

「若松くん・・・」

「どうかな・・・・・」

「ごっ・・・・・ごめん。一日まってくれない・・・・・?」

真琴から快諾を得られず、放心状態の若松君   

「あ・・・・・・・・・・」

「ん・・・・・・ わかったよ。」

ピシャッ・・・・・(戸の閉まる音)

「じゃ、明日・・・ いい返事をまってるよ・・・・・。」

「ええ・・・・・・」



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「ああ・・・・・・! どうしよう・・・・・・!」

ガラッ(戸が開く音)

「真琴・・・?」

「耕平・・・・・・・・」

「真琴・・・・・ 泣いて・・・・・?」

ゴシッ(真琴が耕平にビンタ)

「なっ・・・ なんでもないわ!」

ハッ!

「ううん・・・・・・」

「あなたのせいよ・・・・・」

「えっ!?」

逢えばよそよそしく冷たい態度をとっていた真琴が、実は僕のことをまだ・・・・・・

この一年彼女とのすれ違いを思い返して、なんで僕は気づいてやれなかったのだと、頭の中が真っ白になる、耕平であった   



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 また中断してしまう。

 登場人物紹介にもあった、仲よし 4人組のうち真琴をのぞく「クマ、ノン、カオ」だろうか。   



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 上流階級の貴婦人といった女性も登場予定なのかもしれない。



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 そうかと思えば、カジュアルなミニスカートにショートカットの妹風のキャラクターも。



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 物語の方向性に揺れている、和香子ちゃん。

 どんな方向へも描ける一番楽しい時だったことだろう。

 残念ながら、真琴と耕平、若松武人の三角関係を描いた恋物語は、仲良し四人組を構成する、クマ、ノン、カオ、らが登場することなく、別の物語の始まりを示唆するようなコンセプトアートを登場させて、ここで途絶えていた。

 すぐ次項より始まっていた物語はうって変わって、上流階級の御婦人の不貞の恋により生まれし”罪の子”を巡る愛憎劇であった。

 自殺、国際結婚、戦争、皇室なども絡んだ壮大な恋愛活劇がいくつかの予備的な前段階の作品群を経てそこには描かれていた。

 うら寂しい峠の中程にあるお宿の二階の一室にて、一体どうしてそこまでの逞しい創造力が培われたのであろうか。

 少女漫画の描かれた大学ノートをパラパラと捲りながら僕は遠い昔に少女が机に向かって夢物語を思うさま紙面に描いていた頃に想いを馳せて、一字も漏らすまいと、繰り返すように読み耽ってしまう。気づくと窓の外は白んでいて鳥の囀りが聴こえてきた。

 和香子ちゃんは今どこでなにをしているのだろうか。地平線の向こうの西の山の方を探すようにいつまでも見続けていたけれども、彼女の手掛かりなど一向に掴めそうな気はしなかった   




おわり…

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