廃墟アパート-2
 鉄骨を蝕む錆。経年劣化で砕けゆくコンクリート。行き交う近所の住人は、腫れ物に触るか汚物を避けるがごとく、あっちの方に視線をやり、存在に蓋をしようとしているのか。生と死の間を漂流する二棟続きの廃アパート   



廃墟アパート-3
 長期に渡って放置されているものばかりと思ったが、モルタルの染みた真新しい軍手を発見する。

 借金で首の回らないヨボヨボのオーナーが、独力で再興すべく、傍から見れば無駄な努力をしている、もしくは、やってますよという、うわべだけのポーズ、意思表示なのだろうか。



廃墟アパート-7
 どこも窓が開いていて中が丸見え。

 ほぼ空っぽだ。

 適当にチョイスして入ってみることにした。



廃墟アパート-8
 見事に整頓された室内。

 対策は講じられているようだ。しかし、あまりにも長期間放置したため、建物があちこち痛み始め、グラグラしてきたドアから侵入を許してしまったというのが実情のようである。

 こうなると、もう歯止めがかからない。



廃墟アパート-10
 途中で放っぽり出したバスやトイレなどは黴の繁殖が酷くて見れたもんじゃないが、ここのは実に綺麗なもの。



廃墟アパート-9
 入ってすぐ横の下駄箱の上にムカデの死骸があるのはわかっていたが、気色悪いので目を逸らしたままにしておいた。

 心が落ち着いてくると、ゴムのおもちゃだということがわかってくる。

 子供のいい遊び場になっているようです。



廃墟アパート-5
 ベランダは自然のすだれ状態。

 ライター一吹きで、火の帷が降り、ノートルダム大聖堂のようになりかねないでしょう。



廃墟アパート-12
 二階にも行ってみます。



廃墟アパート-19
 端の部屋は屋根が抜けて激しいダメージを受けている。

 入室は断念。



廃墟アパート-20
 外からのぞいて、手応えのありそうな部屋があった。



廃墟アパート-13
 きな臭い匂いが鼻をつく。



廃墟アパート-14
 ホームレスが廃墟アパートの一室を寝床にするのはよくあることだが、この襖を見れば一目瞭然、ボヤをやらかした様子。



廃墟アパート-16
 これはいけない。

 一歩間違えれば大惨事になっていた。

 寝タバコでしょう。

 消化器使用の痕跡が無い。消防車も来ていない。

 ホームレスが深夜に燃え盛る火に飛び起きて慌てて必死に消火活動をしたに違いない。

 室内に煙が充満して窓の隙間から煙も漏れたはずだが、深夜だったため近所の住人が騒いで消防車を呼ぶこともなかった。



廃墟アパート-17
 焼けただれたクッション。ボックスティッシュ。

 炭化した燃えカスはエロ本やコンビニの弁当、ジュースなどか。



廃墟アパート-18
 寝床はその汚れようから、結構前のもの。

 あわやアパートを全焼しかねなかった失火未遂事件に罪の意識を感じ、彼は翌日にはここを去ったか。



廃墟アパート-15
 居間も確認。

 真っ暗なのでフラッシュで撮影。

 コンビニで弁当やペットボトルの飲み物を買って来ては、ここで食っちゃ寝をしていた模様。その量からして長期滞在をしていたと思われる。

 巷では好景気だと一部で囁かれてはいるものの、都会の街中の廃墟アパートで、その日暮らしの生活を送る世捨て人が肩を震わせ、美味くもないコンビニ弁当をつまんで、雑巾みたいな毛布に包まれ、希望の無い明日のために夢をみることもなく、閉じたくもない眼を閉じて、時に涙を滲ませ目を腫らしながら、毎晩、眠りについていたようです。

 心切り刻まれるような、足元の寒々とした光景に、しばらく足を動かすことのできなかった、僕。

 伝えていこう。出来ることからやっていこう、そう思うと、両足は自然にほぐれてきて、前に進むことができたのです   



廃墟アパート-4
 好きなものを写して、好きなことを書いている僕は、まだ、恵まれている方なのかもしれない   



廃墟アパート-21
 胸塞がれるような部屋を後にして、足取りも重く階段を下る。

 一階の方からガサゴソと音が聞こえた。

 直後、乾いたコンクリートの廊下を摺り気味に足早に去ってゆく慌てたような足音が   

 まさか、二階で大火事を起こしかけた世捨て人が部屋からは去ってはいたが、二階から一階に部屋を移しただけで、一階で僕がウロウロしている時には出づらいので身を潜めていて、二階に行ったのをいいことに、今がチャンスだと、逃げ出したのか?


 

つづく…

「世捨人に逃げられた、探索者」世捨て人をかくまう、廃墟アパート.3

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