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 敷地背後に控える山の中にも住宅地を造成していた田浦廃村。

 家の前の坂は思いのほか傾斜がきつくて少し登っただけで息切れがした。持参したペットボトル入のミネラルウォーターを口に含んで喉を潤す。

 かつての住人はこれが毎日だったので、さぞご苦労をされたことでしょう。

 デベロッパーとしては一世帯でも多く入居してもらいたかったからこんな山中にも家を建てたのだろうけど、たった十数メートルの違いで不便過ぎる。

 山の区画は破格値で売りに出されていたのではないだろうか。



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 壁の板の多くが剥がれ落ちている。壁板の中からのぞく断熱材はグラスウールではなくて藁みたいな植物の繊維を乾燥させたもののようだ。平地にあった住宅より相当古そうな建物。まさか、山に元々昔からの集落があって、麓にあった森が後になって住宅地として造成されたとか。そうであったなら、なんともロマン溢れる話ということになるが、たぶん違うでしょう。

 建売ではなくて土地だけの販売だったため、住人の好みや経済格差により、工法も様々であるのか。

 今となってはどうでもいいことを、壁の前で数分間、立ち止まったまま考え続けていた、僕。

 最奥部ということもあり、世捨て人の住処になっていないことを祈りながら、忍び足で中に入って行った。



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 世捨て人が住むどころか、耕作放棄地のようになっていた。

 今の化学物質ばかりの建築物と違い、見るからにオーガニック。良い堆肥となってくれそうです。



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 ライムグリーンの掃除機、イケてます。



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 火鉢。

 室内道具もファミコンがあった宗典君の家とは時代が相当かけ離れているような。

 住人がお年寄りでたんに古い様式を好む人であったのか。



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 火鉢とコタツが蟻地獄みたいに床に飲み込まれかかっていた。



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 殺伐とした廃墟で、心温まる瞬間。

 自然との共生が着実に進行していました。

 老夫婦が愛用したちゃぶ台。



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 SANYOのポータブルラジカセ。

 お婆さんの詩吟でも録音されていたのかも。
 


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 梅が描かれたご自慢の襖もこの通り。



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 映画「万引き家族」を観ましたが、こんな畳の下の地面に樹木希林を家族総出で埋めてましたね。これを見て、よっぽどのことがない限りバレそうにないなと思いました。



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 玄関のガラス戸は何者かによって割られていた。



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 台所へ。



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 冷蔵庫は床に沈みかかって傾いている。室内の痛みも激しく、少しのショックで天井から組材がさらに崩れ落ちて来そうであった。



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 ハタキが昭和。



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 夜逃げや突然死ではなく、計画性が感じられる。



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 慎ましい老夫婦の台所です。



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 この後、田浦廃村探索史上誰も注意を払わずに撮らなかったであろう老夫婦の風呂場の撮影も律儀にこなすことになる。

 そして次なる廃屋へ。

 山の住民はやはり坂に苦しめられていたのか、この家以外の各家には今となっては懐かしい、でも田舎に行くとお爺さんがピカピカなのを乗っている80'sスクーターなどが放置されたままにあった   




つづく…


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