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 台座の上には肩からもぎ取りでもしたような腕のような流木。

 この事務所内まで海水が浸水して来て、潮が引くと台座にはごろりと流木が。時間の経過とともに乾燥して、まるで置物としてメルカリでも売れそうな観賞用の流木として人知れず再生したのか。

 いや、台座の上までなみなみと海水が侵入したとは考えにくい。そのような可能性がある場所にこういった施設など建設しないだろう。東日本大震災の震源地近くで、津波にでも襲われたなら別だが、そういった過去の災害情報は聞かない。

 行川アイランドの事務所職員が、海岸に打ち上げあられていた流木を拾う。アク抜きをし、自然乾燥させる。期間はおよそ、一ヶ月。殺伐とした事務所に潤いをと、お手製インテリアとして飾ったと。

 ネットで「流木」を調べると、海岸で拾ってきた流木を乾燥させてメルカリで売って大儲けをしている人がいるという記事が山のように引っかかる。元手はただで大儲けだと。ドングリや松ぼっくりも狙い目だとか。しかし、実際はアク抜きや乾燥に数ヶ月も要し、手間暇がかかるどころか、メルカリは基本出品者が送料持ちなので、売れた商品の値段には送料が含まれているということになる。山ほどのドングリや松ぼっくりのメルカリでの購入価格を見ると大体500円とか800円。物によっては300円。らくらくメルカリ便で送ったとして、送料が700円。まあまあの量を送れて一番安そうな送料の”レターパックプラス”で510円。裏でメルカリから宣伝料が払われている記事を鵜呑みにして、一日中山でドングリや松ぼっくり拾いをして大量に集めたとしても、儲けなどたいして出ずに、虚しくなるのは目に見えているというものだ。

 なお、自分もメルカリの会員になって、川原で石でも拾ってきて売ってみようか、という人は、会員登録時に XVGKYZ の招待コードを入力しますと、メルカリ内で購入時に使える300ポイントが貰えます。まずはメルカリのアプリをダウンロードして、挑戦してみてはどうでしょうか。

 流木は3800円や5000円なんていうのもあるが、最安値の60サイズではとても送れないような、巨大なオブジェ級のビッグサイズなので、ヤマトや佐川と契約をしているような、業者でないと、購入価格から送料を差し引いた値段で利益を生むのは難しいと思われる。実際、流木を売って利益を上げているような人は、大量の流木を乾燥して保管出来る倉庫を持っている業者がほとんどのようである。

 病気のリハビリとして、かつ、家から物を減らそうと、メルカリで売り始めたが、正直、身を削るほどして値段を下げた物しか売れないという現実に突き当たってしまった。フリマらしく、ヤフオクと違って値引き要求が横行しているのである。四千円もしない、僅か数千円の売り値の商品、元は一万円以上もする、まだ新品に近い光沢さえ放っている物に、再三の値引き要求どころか、箱の正面を写してアップしろとか、地図は何年度だとか、Bluetoothには対応かなど、挙げ句、渋って買わなかったり、たかが流木に五千円と聞くと、それどこの話だと、耳を疑わずにはいられなくなる。検索をして一番上に来るような儲け話を披露する記事には、何かしらのお金が渡っている記事だとみて、ほぼ間違いないでしょう。話半分に聞いていおいたほうが賢明なので、くれぐれもご用心下さい。そう安易に石やドングリで生計が立てられるほど甘くは無さそうです。



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 かつては立ち入り禁止だった高電圧室。

 咎める者は誰もいない。



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 若潮太鼓の文字が描かれた法被(ハッピ)。

 イベントがあると職員が駆り出されて、この法被姿で若潮太鼓を大勢のお客の前で披露していた。着替えは、高電圧室の中で、といったところか。皺は気にしない、次回着やすそうにと、手に取ってすぐ腕を通しやすい造形のまま脱ぎ捨てられたものが、そのまま数十年間、廃墟化して今に至ったと。



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 足元には、額に入れられた毛筆の色紙。

 行川アイランドの職員達、読めただろうか。



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 若潮太鼓の法被を尻目に、奥へ進んで行くと、厳かな機器が並んでいた。



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 営業当時ならとてもじゃないが近寄れなかった機器類。

 大丈夫なのに、触れようとする手の感触を一応試すように、まずは指先だけをチョンとこわごわとタッチ。静電気も無ければ、残っている電気が流れるはずもない。やはりここは廃墟なのだった。



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 ここへも入ってみる。



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 薄暗い部屋に、文字通りタンクがあるだけの部屋だった。



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 ハングルに見えたが、おそらく、水産会社の屋号のマークだろう。「大丸水産」のような。



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 一旦施設を出た。



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 海岸線を少し散策してみることに。



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 このままの状態だと、これを拝めるのは、廃墟マニアか密猟者ぐらいのもの。

 大勢のの千葉県民の憩いの場となることを願ってやまない、僕   



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 ここで、猛烈な便意を催す。

 というより、施設内からその兆しはあった。廃墟化し、自然との共生が進行しているとはいえ、中でやるのには気が引けたので、とりあえず外に出てみたわけなのであった。

 海岸線は絶好の場所にも思えたが、先程も遠目に船が通っていったこともあり、いつ魚釣りの船が来ても不思議ではないので、ちょっとためらわれる。全くの無人島ならまだしも、ここは房総半島。漁船以外にも往来は激しいことだろう。

 海から死角になる、園内の遊歩道のアスファルトの上で堂々やってやろうかと思ったが、後から同業の廃墟マニアがやって来ることも考えられる。今の時代、写真や動画を撮られて即座にネットに拡散されてしまう。廃墟でウンコをするのにも、こんなにも気を使う時代になったのかと、息気苦しさを感じずにはいられない。毎回言及しているわけではないが、僕は廃墟探索時には、各現場で毎一回はウンコをしている。家を早朝に出発しているということもあるのだろう。都内の街中や関東近県でホームレス以上に野糞をしている僕みたいな人間も珍しいと思うが、大地の肥やしとなっているということもあるので、大目に見てもらうしかないのだろう。



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 ウンコを我慢しながら、施設を離れ、山に至る坂を登ろうとする。その手前にトンネルがあった。入り口にはアルミサッシの戸口。

 中を見ると縦型のロッカーが並んでいた。バイト用の更衣室だったのだろうか。

 廃墟探索者として、屋内でやるのは御法度であるという強い自覚がある。臭いがこもるし、倫理的にも許容される範囲を逸脱していると思われ、理解は得られそうにないであろうことはひしひしと自分でも肌で感じる。それをやってしまったら、抗議を受けるだろうなと。庇の下でもいいから、せめて、屋外でやらなければと、それだけは是が日でも守らねばいけない一線であると思っている。

 トンネル入口前には破損した家具などが散乱していた。その影に隠れれば、海と遊歩道からは死角となる。この広い沿岸部でありながら、ここしかないなと、最適の場所を見つけ、やっとのことで便意から開放されることとなった。額に浮いた脂汗もサラッと引き、あと数十キロも歩けそうな活力さえ漲ってきたような気がした。



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 施設背後の山の斜面を登ってゆく。

 その昔、この先に何があったのか。



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 躓いたら反転して転がり落ちそうな傾斜。熱く乾いた息。額に溢れ出る先程とは別の汗。

 中腹には何かしらの遺構。草木が険しく生い茂り、とても歩いて確かめに行ける距離では無い。グラフティーアーティストはよくあんな場所に描けたものだと感心する。



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 頂上手前付近で振り返ってみた。

 大の男でも息が上がって言葉も出ないのに、夫と妻、幼子でこの山を登っていたりしていたのだろうか。



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 横には跡があったが、ここも、判別不能。

 今やグラフティーアーティスト達の表現スペース。



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 数時間かけたような力作も。

 これ以上、収穫もなく、引き返すことに。



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 再び、施設前。

 僕が来た方向を見渡すが、後続はいまだ現れない。本日の探索者は、僕ひとりだけなのだろうか。

 格安SIMだからなのか、電波が入らない。

 日射病で今ここに倒れてしまったら、どうなるのか。

 あまり深いことは考えないようにしよう。



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 施設の地下に降りてゆく。



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 排水口。



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 男子トイレ。

 さらに行くと、脱衣所やお風呂の施設も粉砕されることなく奇跡的に原型に近い形で残こされていた    




つづく…


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