おもむろに部屋に入ってみる。
天井部分が抜けて空が見えて隙間から日が差し込んでいる。
壁が眩しく照らし出されて幻影のように浮かび上がって神々しくも見えた。
しばらくその場で身動きが出来ず、立ちすくんだままかすみがかったような壁を凝視し続けていた、僕
東京の街中の広大な敷地に、残されているものですね。
普通、誰も首を突っ込まないだろうが、素通りしてしまうと夜気になって寝付きが悪くなることもしばしばなので...
倉庫だったようだが、特筆するものは残されていない様子。
絶命間際の二度と拝めないだろう情景を独り占めできる幸せに打ち震える、僕
剥がれた壁の断熱材に書かれたメッセージ。
判読できなかった。
80年代の暴走族か同系列のヤンキーによる仕業かと思ったが、『ウラ』とあるので、職人さんの業界用語かもしれない。
103号室。
ジャングル化した森に飲み込まれつつある、元米軍施設。
独りでの鑑賞は贅沢すぎた。
一歩間違えれば、顔面を貫通して串刺しになりかねないカメラアングルで挑む、僕。
顔面を貫かれても、本望ではなく、仕方がないという程の思いれも陶酔感もなく、一応、根拠ははなはだ薄いながらも、まだ崩れては来ないだろうというそういう読みは働いていた、ということになるか。
廊下を通る人影もなく、この広大な禁域の元軍事施設に、僕、一人ぼっち
早速開けて中を調べてみるのが”僕”という男。
カセット式のカーステでした。
どういう経緯でここにあるのやら・・・・
それをあれこれ推察するのが、廃墟の楽しみ方の一つでもある。
一瞬、細かくカットされた動物の皮でも貼り付けてあるのかと思いゾクッと身震いして緊張感が走る
冷静になって考えればそんなことあるはずがないので、張り詰めた緊張感はすぐに解けた。
自宅から直線距離にして僅か数キロばかし。
思わず口が開きっぱなしになるようなこのような奇景が残されているなんて、戦後はまだ終わってませんね。
ただの木片さえ意味があるように思えてくる。
飽きさせないです。
次から次へと。
細切れのスキンを貼り付けたかした、精神異常者による偏執的な行為にしか見えなかったが、
じっくり見た結果、これは強力な接着剤で貼り付けられた壁のタイルを剥がした際に、タイルの接着面の素材が接着剤の付いた部分だけ千切れて壁に残ってしまった、ということではないだろうか。
まあ、それしか考えられなく、数十秒見つめれば誰でも思いつきそうなことではあるが。
消音効果がありそうなタイル。
単なる出口でも異国情緒に溢れすぎている。
消防ホースとて同じ。
肉は腐りかけが美味いというが、それは廃墟にもいえそうだ。
工場廃液でも垂れ流したような階段を上へ。
そこでもまた、目を疑うような光景が眼下に広がっていた
つづく…
「見えてきた大ホール」実はまだあった府中米軍基地跡に行って来たよ!.7
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コメント
コメント一覧 (6)
カイラスさんは好きだけど…
カイラス
がしました
私もステンシルのNo.にグッときました!
白とペパーミントのツートンの壁、木枠の格子の窓、
観音開きの大きなドア、どっしりとしたオイルヒーター。。。
さぞかし素敵な建物だったでしょう。
カイラスさん、いつもロマンあふれる素晴らしいレポートをありがとうございます。
お怪我だけはお気をつけて!
カイラス
がしました
どこか懐かしい匂いまで感じられるようです。
カイラス
がしました