羽幌小-0347
 教室後方に飾ってある顔のオブジェに近寄ってみる。

 プールで溺れかかって助けを求めて必死の形相で水面から顔を出している少年達の苦痛に歪んだ顔にしか見えないが、おそらく、歌を歌っている時の顔なのだろう。
 


羽幌小-0352
 極端にデフォルメ化された猫か。



羽幌小-0353
 時過ぎて、もぎられたかのように下に落ちた片腕。
 
 切断面がなんとも痛々しい。

 悲しげな虚ろな眼をして『拾ってよ・・・・』と、まるで僕に訴えかけているかのよう...



羽幌小-0359
 長期に渡って雪に閉ざされる環境ゆえ、芸術作品作りに励んだ学校だったのか。



羽幌小-0357
 教卓の上にビニールの被さった胸像。



羽幌小-0360
 一息つくために朽ちた壁の開口部から外に出てみる。



羽幌小-0361
 よく見ないとわからなかったが、錆びたゴールポストが生い茂った草に半分ぐらい埋まっていた。

 ここが校庭で、かつて、サッカーが行われたこともあったとは、もうイメージすら出来ないぐらいに秋の紅葉とともに荒廃が深まっている。

 廃校の現実というものをまざまざと見せつけられた瞬間だ。



羽幌小-0363
 また入って、探索再開。

 上からか、染み出しているのか。

 廊下が湿っていて窓からの明かりを照り返して鈍い光沢を放っている。

 こういった蟻の一穴から建物の崩壊は徐々に蝕むように進行していくのを何度も僕は目の当たりにしている。

 先は長くなさそう。



羽幌小-0364
 職員室。

 卒業式や閉校式の日程が書き残されたまま。

 記念にと、そのままにしておいたのだろう。

 さすがの侵入者も、これに落書きをするのは心が痛むのか、手つかずで、当時そのままに残されている様子。

 いつか『排卵日...』とか、書き込むバカが出てくるのだろうけど。



羽幌小-0365
 羽幌町選挙管理委員会の灰皿。

 ここが投票所になるぐらい町民で賑わっていた時代もあった。

 昔は教師が平気で授業中に教室で煙草を吸っていた、そんな時代の名残り。



羽幌小-0362
 歯科標本。



羽幌小-0366
 校訓が書かれた額は床に下ろされていた。

 紙テープは閉校式の時の装飾だろうか。



羽幌小-0367
 学校の修繕に使用するペンキを小分けに入れる容器としてコカ・コーラの缶を溜め込んでいた模様。

 今では珍しい、太缶の250mlサイズ、コカ・コーラ。

 関東のロング缶だったら不安定なので適さなかったと思われる。
 


羽幌小-0369
 脈絡なく、様々な像や人形やらがあちこちに残されている。



羽幌小-0373
 ここの生徒に加えて、町の人も大勢参加していたのでしょう。

 今では祭り自体がもう存続していないのかもしれない。

 人口減少、自治体の財政破綻、主要鉄道路線の廃止、採算性の取れない新幹線計画...

 北の地の行く末を誰よりも心配してやまない、僕    
 


羽幌小-0374
 昨夜も先生が寝ていたかのような、一糸乱れない布団とベッド。

 宿直室に違いない。

 こんもり盛り上がっているのは枕だった。

 今では信じられないことだが、昔は先生方が持ち回りで学校に泊まって警備員のようなことをやっていたのだ。

 ただ、僕の時代でも既にその制度は無くなっていて、宿直室で泊まり込む先生の姿などテレビのドラマでしか見たことがない。



羽幌小-0376
 時間を守ろうという紙。



羽幌小-0377
 廃校に来ると、まるで自分の母校のように感じてセンチメンタルな気分に浸るのはなぜなのだろうか    



羽幌小-0378
 廊下の先はトラクターで行き止まりだった。



羽幌小-0383
 毎度まいど、廃墟探索病と言うべきか、ここでも腸の具合が思わしくなくなり、大きい方をしたくなってしまった。

 探索者の矜持として、廃墟屋内では死んでもやらないと固く心に誓っている。

 ならその辺でやればいいわけだが、廃校とはいえ、誰が来るかわからない。

 卒業生がやって来る確率は極めて低いだろう。平日でもあるし。廃墟マニアの数なんてたかが知れている。九分九厘、今この場で僕がやっても、誰も来ないのはほぼ確実ではあるが、万が一ということがある。

 最適な場所を求めて、荒涼とした廃校のグラウンドらしき場所を、そわそわしながら内股気味で歩き回る。



羽幌小-0379
 廃トラクターを見つけた。

 これはいい死角になってくれるに違いない。

 自分でも感心するぐらいの、溶岩みたいな山が出来上がっていった。

 分身を産み落としたぐらいの排泄感があった。

 この大きい空の下で味わう開放感は格別としか言いようがない。



羽幌小-0385
 用を足しているところを見られるどころか、終始人の気配は感じられず、訪問者の可能性は限りなくゼロに思えた。

 それほど静まり返って時間の流れが止まって感じられたのである。

 車のルームミラーに映るくすんだピンク色の曙小学校はいつまでもその場所を動かずにそのままであり続けた    




おわり…

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